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むらやま・まさのり/理化学研究所 脳科学総合研究センター 行動神経生理学研究チーム チームリーダー
1977年宮城県生まれ、埼玉県育ち。プロのサッカー選手を目指し、サッカー推薦で埼玉県立伊奈学園総合高等学校に入学。しかし、高校二年のときにプロの道を断念し、生物学の道を歩む。2006年、東京薬科大学大学院生命科学研究科博士課程修了。2010年までベルン大学生理学部で博士研究員を務め、2010年より理化学研究所(理研)に在籍。理研では行動神経生理学研究チームのチームリーダーを務め、2015年5月には「皮膚感覚を知覚する脳の神経回路メカニズム(感じる脳のメカニズム)」を解明した。

理化学研究所 脳科学総合研究センター 行動神経生理学研究チームHP

プロのサッカー選手を目指し、サッカー推薦で埼玉県立伊奈学園総合高等学校に入学。しかし、高校二年のときにプロの道を断念し、生物学の道を歩む。2006年、東京薬科大学大学院生命科学研究科博士課程修了。2010年までベルン大学生理学部で博士研究員を務め、2010年より理化学研究所(理研)に入所。理研では行動神経生理学研究チームのチームリーダーを務め、2015年5月には「皮膚感覚を知覚する脳の神経回路メカニズム(感じる脳のメカニズム)」を解明した。

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むらやま・まさのり/理化学研究所 脳科学総合研究センター 行動神経生理学研究チーム チームリーダー
1977年宮城県生まれ、埼玉県育ち。プロのサッカー選手を目指し、サッカー推薦で埼玉県立伊奈学園総合高等学校に入学。しかし、高校二年のときにプロの道を断念し、生物学の道を歩む。2006年、東京薬科大学大学院生命科学研究科博士課程修了。2010年までベルン大学生理学部で博士研究員を務め、2010年より理化学研究所(理研)に在籍。理研では行動神経生理学研究チームのチームリーダーを務め、2015年5月には「皮膚感覚を知覚する脳の神経回路メカニズム(感じる脳のメカニズム)」を解明した。

理化学研究所 脳科学総合研究センター 行動神経生理学研究チームHP

プロのサッカー選手を目指し、サッカー推薦で埼玉県立伊奈学園総合高等学校に入学。しかし、高校二年のときにプロの道を断念し、生物学の道を歩む。2006年、東京薬科大学大学院生命科学研究科博士課程修了。2010年までベルン大学生理学部で博士研究員を務め、2010年より理化学研究所(理研)に入所。理研では行動神経生理学研究チームのチームリーダーを務め、2015年5月には「皮膚感覚を知覚する脳の神経回路メカニズム(感じる脳のメカニズム)」を解明した。

1) 「行動神経生理学研究チーム」とは、具体的にどのような研究を行っているのですか?

「あらゆる行動が、どのような神経活動で成り立っているか」を研究しています。そもそも行動とは非常に幅広く、ボーッとしたまま無意識のうちに行動することもありますが、ほとんどは外界からの情報を受けて動いています。私のラボでは、その一連の行動──外界からの情報を受け取り、受け取った情報を処理し、過去の情報と参照しながら、次にどう動くか──をくまなく調べることを目的としているんです。
しかし、最初から一連の動きを研究できないので、まずは情報を受け取る「知覚」を研究しています。たとえば私たちは、ものに触れたときに「触った」と感じることができますよね? これを「皮膚感覚の知覚」と呼びますが、皮膚感覚の知覚は非常に主観的。他人から見て触っているように見えても、実際に触ったかどうかは本人しか分かりません。こうした主観的な体験が、どのような神経活動で成り立っているのかに興味があり、現在はそのひとつとして、皮膚感覚の知覚について研究しているわけです。

2) もともとプロのサッカー選手を目指していたとのことですが、どのような経緯でいまの仕事に?

サッカー推薦で高校に入学したものの、まわりには自分よりも上手い人がゴロゴロいるんですよ(笑)。同じ体格、同じ走力なのに、ボールの受け取り方や一瞬で周りを見回す能力など、直感的なところが大きく違う。生まれ持った素質なのか、あるいは頭の出来が違うのだと思いますが、とにかく自分のレベルでプロを目指すのは難しいなと気づかされたんです。
だから当初は、体育大学に進学して運動生理を学び、体育教師になろうかな……などと考えていました。しかし、生理学を勉強するならとことん極めたくなったんです。プロのサッカー選手になれなかった分、せめて科学者としてJリーガークラスになってやろうって。そこで思い切って理系に転身することに決めました。

3) 「サッカー選手」から「科学者」……かなり大きな進路変更ですね。

サラリーマンになりたくなかったんですよ(笑)。毎日、満員電車に揺られて、時間に拘束されて……という自分の姿が想像できなかった。当時、私が抱いていた科学者のイメージは「自由人」。堅物で時間に縛られず、世俗に興味を持たず、我が道を行くというイメージです。実際に科学者となった現在、理研で自分の好きなテーマを研究できているので、「こんなはずじゃなかった!」といったイメージの差異はありませんね。
ただ、良い意味で裏切られたのは、仕事を通じて“武者震いするほどの体験”に巡り会えたこと。つねづね新しい研究結果に触れていますが、そのなかで何度か本当に武者震いが起こったことがありました。とくに印象に残っているのは、脳の神経活動の観察です。スライスした脳に特別な色素をかけてから光を当てると、跳ね返ってくる光の変化から神経活動が観察できるんです。光がブワーっと広がったとき様子を目の当たりにしたときは、とんでもなく感動しました。

4) 昔から知的好奇心が強かったのでしょうか?

自分でやらないと気が済まない性格でしたね。たとえば「落ちているものを食べたら、お腹を壊しますよ」って当たり前のことでしょ?でも、私は身をもって体験するまでは「本当にお腹を壊すのか?」と疑ってしまう。そこで小3のとき、道端に落ちているアメを拾って食べてみたことがありました。袋に入っていたアメだったので、少なくとも外気には触れていない。大丈夫だろうと思いましたが、やっぱりお腹を壊しました(笑)。そこで初めて「ああ、本当だったんだな」と実感する。そんな子どもでしたね。

5) その行動力は、なかなか特殊な部類かもしれませんね(笑)

そうかもしれません。基本的には痛い目に遭うことの方が多いのですが(笑)、この行動力が生かされたのが大学3年のときのこと。当時、スイスのベルン大学に博士研究員として留学する話があったのですが、大学側もお金がなくて私の給料が保証されていなかったんです。
そこで私は、ベルン大学の教授と行う計画だったものを先にひとりで進め、その記録を教授に見せて「僕を招いてくれないなら、ほかに持ち込むけど、どうする?」と掛け合いました。まあ、半ば脅しに近い感じでしたが(笑)、結果的に給料が保証されてベルン大学に留学することができました。
この記録は「動物の行動中における特定の神経活動を記録する」というもので、記録方法の開発も世界で初めてのものでした。当時の私は貧乏で、記録に必要な光ファイバーやレンズを輸入するため、妻から30万円を借りて、夜な夜な実験を繰り返していましたね。ともあれ、無事に留学したしたあと、スイスで得た成果を『Nature』誌や『Science』誌に出し、帰国後に理研へと入り、現在に至るわけです。

6) 「皮膚感覚を近くする脳の神経回路メカニズム」の解明を発表しましたが、これはどのような内容なんですか?

これまで、皮膚感覚の知覚は「(刺激の情報が)低次領域である感覚野に到達することで起こる」「(刺激の情報が)感覚野から高次領域に達することで起こる」という二説が議論されていました。しかし、我々が研究した結果、刺激情報が感覚野から高次領域に到達したあと、再び感覚野へと戻ってくることが分かったんです。つまり皮膚感覚とは、刺激が感覚野に到達した時点でもなく、また高次領域に到達時点でもなく、「感覚野→高次領域→感覚野」の回路を経て初めて知覚されるのではないか……と推測できるのです。
今後、私の研究をほかの人が追試しますが、たぶん私は正しいと信じています。これまで不明のままだった知覚の神経メカニズムを突き止めたと確信しています。

7) 行動神経生理学は私たちの生活において、どのような応用が可能となりますか?

「外界からの情報をどのように処理し、どのように行動するか」という神経活動が解明されれば、さまざまなことに応用できると思います。たとえば、事故で脳が損傷して感覚能力・行動能力が低下した場合、それらを改善できるかもしれない。また、高齢により感覚・行動能力低下の改善も期待できるでしょう。私たちの研究をもとに、製薬会社は改善するための薬を開発するかもしれないし、IT企業ならば人工的な回路をつくりだすかもしれない。もちろん、ただちに実現できるわけではなく、将来的に可能という話ですけどね。

8) やはり、今回のような大発見こそが仕事の醍醐味でしょうか。

そうですね。研究職は「二番じゃダメ」なんですよ。あと少しで論文を出そうとしても、ほかのグループが先に出してしまったら、これまでの苦労が水の泡になってしまう。乱暴な言い方になりますが、一番を逃したら、何もやっていないのとほぼ同じなんです。私たちは、いつだってそんなプレッシャーと戦い続けながら研究を続けています。だからこそ世界初の発見というのは、研究者の醍醐味であると同時に、自らに課した使命でもあると言えるでしょうね。

9) 今後の目標は、行動神経生理学の解明ですか?

当面の目標は、まず知覚の全容を解明することです。脳って、本当に分からないことだらけなんですよ。研究すればするほど分からないことが出てくる。今回の発見にしても、なぜ高次領域に達した情報が感覚野へと戻ってこなくてはいけないのか? この往復は、無駄なエネルギーを使っているように思えますが、もしかしたら進化の過程で必要だったのかもしれない。その理由も分からない状態ですからね。
だから、まずは「知覚」を解明したい。その先にある「行動」まで研究できず、知覚で留まり続けたまま生涯を終えるかもしれません。どう転ぶかは分かりませんが、いずれにしても自分が満足できるところまで突き詰めていきたいと思っています。

TEXT:松本晋平

PHOTO:森弘克彦

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