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くぼ・ゆか/東京大学大学院 情報理工学系研究科 特任研究員、シンデレラテクノロジー研究者
1978年、東京都生まれ。2000年慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科卒業。2006年東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。博士(環境学)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師などを経て、14年より東京大学大学院 情報理工学系研究科 特任研究員に就任。専門はメディア環境学。

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1978年、東京都生まれ。2000年慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科卒業。2006年東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。博士(環境学)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師などを経て、14年より東京大学大学院 情報理工学系研究科 特任研究員に就任。専門はメディア環境学。

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くぼ・ゆか/東京大学大学院 情報理工学系研究科 特任研究員、シンデレラテクノロジー研究者
1978年、東京都生まれ。2000年慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科卒業。2006年東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。博士(環境学)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師などを経て、14年より東京大学大学院 情報理工学系研究科 特任研究員に就任。専門はメディア環境学。

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1978年、東京都生まれ。2000年慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科卒業。2006年東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。博士(環境学)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師などを経て、14年より東京大学大学院 情報理工学系研究科 特任研究員に就任。専門はメディア環境学。

NEWS | ニュース

1) シンデレラ・テクノロジーとは一体、どのような概念なのでしょうか

「シンデレラ・テクノロジー」とは女の子が、もとの姿から変身し、新しいアイデンティティを作り上げるための技術と定義しています。女の子にとってのアイデンティティ、すなわち“美”を獲得する加工技術は、従来からの化粧のみならず、近年のテクノロジーの進化に伴い急激に進化を遂げた画像技術処理とマテリアルをも含みます。前者はプリクラやスマートフォンアプリに、後者はつけまつげやカラーコンタクトなどに代表される“プラスチック・コスメ”というカタチで独自に進化を続けています。これらはともに、日本の女の子たちの感性から生まれ、そして普及していった技術と言えるでしょう。

2) それらのテクノロジーが進化を遂げた背景はどのように考えていますか?

「シンデレラ・テクノロジー」が進化していった背景には、まずひとつにSNSの普及があげられます。そこで展開されるバーチャルな世界において彼女たちは、リアルではないもうひとつの顔、すなわちバーチャルなアイデンティティを持つようになっています。それは個人情報としての素顔をさらすことに対する抵抗感と、同時に発展をしてきた画像処理技術を楽しもうという思いがない交ぜになった結果と言えます。
ところがリアルな顔とバーチャルな顔との間にあまりにも差をつけるのは恥ずかしい。だから、よりナチュラルに仕上がる加工技術がもてはやされるようになっています。映画におけるCGやロボットと同様、限りなく人間に近づけようとすることでテクノロジーは進化を遂げていくものです。その一方で、“プラスチック・コスメ”を利用することで目を大きく見せたり、まつげを長くするなど、リアルの顔をよりバーチャルに近づけようとする傾向もみられます。まさに、彼女たちはバーチャルとリアルの境界をより接近させることで、新たな組み合わせとしてのアイデンティティを作ろうとしているのです。

3) 久保先生は、シンデレラ・テクノロジーをベースとして、どのような研究を行っているのでしょうか

日本の女の子の美意識とテクノロジーの進化が連動しているのは明らかです。というよりも、むしろ彼女たちの美への欲求がテクノロジーの進化を推し進めていることは間違いありません。その関係性を明確にして、彼女たちの感覚を知ることで、女性の美に対する“ものさし”を作り上げたいと考えています。感覚的なモノではなく、工学的なアプローチによって分析し、しっかり数値化していきたいのです。美というものに対する感覚は誰もが何となく持ってはいますが、明確な基準はありません。特に男性は女性の生まれ持った顔で判断する傾向がありますが、それは非常につまらない話だと思うんです。一方、女性同士であれば、持って生まれたものではなく、どれだけ努力をしているか、どれだけ知識を持っているかという部分で評価をし合っている。そして、その努力をしてプラスした部分を“盛れている”と表現しています。多くの人々がプライベートな素顔ではなくパブリックな顔で触れ合っているのであれば、どれだけ“盛れている”かが重要ですし、“盛れている”度合いが数値化できれば、美の基準が普遍的なモノになると考えます。

4) “盛れている”基準が数値化されることでどのような社会的効果が生まれると考えられていますか?

“盛れている”とは、すなわち加工を施したあとの完成した顔の状態を指す言葉ですが、素顔とその完成後の顔の差を、どれだけ“盛れる”のかという数値で捉えることができるようになります。その“盛れる”度が明確になれば、プリクラやプラスチック・コスメなどそれぞれの商品やサービスを利用することで、それだけ盛れるのか、すなわち“盛れる”度が明確になっていきます。要するに、A社のプリクラは5段階盛れる、B社のコスメは4段階盛れると、ディビジョンが生まれることで、感覚として処理されていた美が明確となり、誰もが自分のなりたい、獲得したいアイデンティティのラインに確実に到達することができるようになるのです。私が追求したいのはマーケティング的なトレンドではなく、もっと本質的な美の感覚なのですが、難しいことにこの美の基準というものは常に変化しています。だからこそ、研究者としては追求しがいのあるものともいえるんです。

5) 久保先生は、どうしてこのような研究をはじめようと考えるようになったのですか

小学生低学年の時には、走るのが遅いという理由で、何となくクラスの中で低い評価が与えられていました。それは、体格など生まれ持った要素でランクが決定づけられるという理不尽な原体験でした。ところが高学年になって勉強ができるようになると、一気に環境が変わり、周囲の見る目が変わる……。まったく同じ人間であるにも関わらず。この体験は非常に強烈で、その時から生まれ持ったもので決まるものさしで人間を測ることは本当によくないことだと考えるようになりました。特に女性は大人になっても生まれ持った顔でキマってしまう部分もある。こんなに進化した現在においてそのような理不尽は許されるはずもなく、努力が報われるべきだと考えたのです。
んまた、それと並行して日本の伝統美に興味を抱いており、すばらしいモノがたくさんあるにも関わらず、そのよさを明確に伝えきれていないと歯がゆく思っていました。たとえば映画であればアメリカが作ったアカデミー賞という基準があるから同国の作品が評価されるし、ノーベル賞も同様、アカデミックな世界でも、北欧の学者のほうが優位なシステムになっている。日本も日本に合った基準を設けて世界に流布させるべきという思いがずっとありました。そういう意味では、「盛る」という感覚も日本独自の感性であり、日本の女の子たちの美意識が詰まった観念なので、その言葉自体を世界に伝えていければと思っています。
世界中を見渡してみても、美の基準を明確に数値化している例はありません。ファッションの世界のように、権威ある機関や人が決める基準ではなく、たとえば「カロリー」のようにもっと普遍的な、誰もが納得するような基準を導き出していきたいと思っています。

6) 研究におけるこだわりがあったら教えてください

常にフィールドワークを大切にしています。詳しい人に会って話を聞くことを基本としていますが、このジャンルのいちばんの専門家は女の子ですから、彼女たちのリアルな声を拾うよう心がけています。ただサンプリング数を集めればいいのではなく、突き抜けている女の子に会って話を聞くようにしています。なぜなら、私が知りたいのはマーケティング的な今の状況ではなく、未来なのです。突き抜けている子は直感的に一歩も二歩も先を行きます。とはいえ、天才的なアーティストの話を聞きたいわけではありません。進化を作っていくのは突然変異で生まれ、そして継続的に進化していく物体ですから、一代で進化が終わる天才の話は必要がないのです。

7) 最後に今後の研究ビジョンについて聞かせてください

2025年にはネット人口が70億を超えると予想されています。女性のみならず、老若男女誰もがバーチャルアイデンティティを必要とする時代が間違いなく到来します。日本の女の子がすでに、そのような感覚を先取りしているのですから、先々の時代を読み取るヒントや、ネット社会の中で生きていくためのヒントというものが見つかるはずです。
また、プラスチック・コスメにせよ、プリクラにせよ、日本の女の子たちの型破りともいえる感覚がプロダクトの進化に与えた影響は大きく、この破壊的なパワーの中に技術革新の可能性が大いに秘められているとも思っています。平安時代の女性貴族の間で使用され、多少見下されてマイノリティであったひらがなが、こうして日本の歴史の中で文化として定着してきたように、「シンデレラ・テクノロジー」も、普遍的な文化として定着する可能性があります。しかもそれは、日本にとどまらず、世界中の女の子に流布し、彼女たちをハッピーにする。大いなる可能性を秘めている研究であると思っています。

TEXT:伊藤秋廣

PHOTO:森弘克彦

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