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ふくだ・しんじ/腸内環境研究者
2006年明治大学大学院農学研究科を卒業後、独立行政法人理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、12年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授。11年にはビフィズス菌による腸管出血性大腸菌O157:H7感染予防の分子機構を世界に先駆けて明らかにし、13年には腸内細菌が産生する酪酸が制御性T細胞の分化を誘導して大腸炎を抑制することを発見、ともに「Nature」誌に報告。13年文部科学大臣表彰若手科学者賞、15年文部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術への顕著な貢献2015(ナイスステップな研究者)」受賞。同年、バイオサイエンスグランプリにてビジネスプラン「便から生み出す健康社会」で最優秀賞を受賞し、株式会社メタジェンを設立。専門は腸内環境システム学、統合オミクス科学。

株式会社メタジェン公式HP

慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授。11年にビフィズス菌による腸管出血性大腸菌O157:H7感染予防の分子機構を世界に先駆けて明らかにし、13年に腸内細菌が産生する酪酸が制御性T細胞の分化を誘導して大腸炎を抑制することを発見、ともに「Nature」に報告。2013年、文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞。15年、第1回バイオサイエンスグランプリにてビジネスプラン「便から生み出す健康社会」で最優秀賞を受賞し、株式会社MetaGenを設立(慶應義塾大学と東京工業大学のジョイントベンチャー)。

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ふくだ・しんじ/腸内環境研究者
2006年明治大学大学院農学研究科を卒業後、独立行政法人理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、12年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授。11年にはビフィズス菌による腸管出血性大腸菌O157:H7感染予防の分子機構を世界に先駆けて明らかにし、13年には腸内細菌が産生する酪酸が制御性T細胞の分化を誘導して大腸炎を抑制することを発見、ともに「Nature」誌に報告。13年文部科学大臣表彰若手科学者賞、15年文部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術への顕著な貢献2015(ナイスステップな研究者)」受賞。同年、バイオサイエンスグランプリにてビジネスプラン「便から生み出す健康社会」で最優秀賞を受賞し、株式会社メタジェンを設立。専門は腸内環境システム学、統合オミクス科学。

株式会社メタジェン公式HP

慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授。11年にビフィズス菌による腸管出血性大腸菌O157:H7感染予防の分子機構を世界に先駆けて明らかにし、13年に腸内細菌が産生する酪酸が制御性T細胞の分化を誘導して大腸炎を抑制することを発見、ともに「Nature」に報告。2013年、文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞。15年、第1回バイオサイエンスグランプリにてビジネスプラン「便から生み出す健康社会」で最優秀賞を受賞し、株式会社MetaGenを設立(慶應義塾大学と東京工業大学のジョイントベンチャー)。

1) 現在の主な研究内容を教えてください。

私が今目指しているのは「病気ゼロの社会を作る」ことです。当たり前ですが、病気にならなければずっと健康でいられるわけです。東洋医学の概念では、健康と病気の間に「未病」という状態があります。これは、まだ病気まではいっていないけれど、健康ではない状態のこと。この状態の時にいち早く対応ができれば、手術や薬の投与をしなくても日常的な生活習慣の改善でもとの健康状態に戻ることができるわけです。実はここに、私が研究している「腸内環境」が深く関わってきます。この腸というのはとても重要な臓器で、栄養素を吸収する機能のほかに、実は近年の研究でたくさんの細菌が腸管内に生息しており(これらを腸内フローラと呼びます)、そのバランスが実は健康や病気と深く関わっていることがわかってきました。つまり腸内環境のコンディションが悪くなってしまうと、いろいろな病気を発症してしまうわけです。ということは逆に言えば、腸内環境をよい状態に保っていれば、腸内環境の乱れが原因となるような病気にそもそもならないという理屈なんです。
 腸内環境は例えば、ヨーグルトやサプリメント、食物繊維の摂取など、普段の食習慣で日常的にコントロールすることができるんですよ。腸内環境を良い状態に保てば、たとえば本当はその人に病気のリスクが80%あったところを20%くらいまで下げられるかもしれない。そうすればクオリティ・オブ・ライフ(人生の質)の高いまま、人生をまっとうできる人が増える。そういう社会を作りたくて、腸内環境の研究をしています。

2) 「腸内環境システム学」は、福田さん命名の学問だそうですね?

命名というか、私が注力している研究分野をあえて言葉にするならそういう名前になる、という感じでしょうか。私は、誰かが既に行っていることは、別に自分がやらなくてもいいかなと思ってしまうタイプなので、その分野はその道のプロに任せればいいかなと。でも私にしかできなくて、なおかつこれまでに存在しないような重要な部分を突き詰める必要があったりすると、結果的にその時点でオンリーワンの研究分野が生まれるわけです。ある程度形づくられた学問に沿うよりも、ニッチであまり着目されていない部分に自分の知識や経験、得意なことを注ぎ込む方が魅力的なんですよね。そうして進めてきた研究が最終的にひとつの学問分野として立脚できたら、また次のニッチを探す。その繰り返しですね。腸内環境システム学は、腸管細胞や細菌など、異種生物で構成される複雑で洗練された腸内環境を一つの生態系(エコシステム)と捉え、腸内エコシステムがどのように構築され、その恒常性を維持し、またどのような要因により破綻するのか、そのメカニズムをシステムとして理解し、最終的には制御することを目標にしています。

3) 腸内環境の研究は、具体的にどう進めているんですか?

当然のことながら、人間のお腹をバッと開いて腸内環境を調べることはできないので(笑)、「便」を調べるんです。私の研究室には、フリーザーいっぱいの便がサンプルとして保管されており、国内に留まらず世界各国から便の分析依頼があります。便をわれわれの持っている最先端の分析技術で調べると、いろいろなことがわかります。だから私は便を「茶色い宝石」と呼んでいます(笑)。みなさんも、普段の生活で何となく「いつもより便の出が悪い」とか「おならの匂いが何か違う」などと感じることがあると思うんですよ。これは、すごく重要な情報なんです。普段は捨てられてしまっている便ですが、実はその人の腸内環境に関する情報をたくさん含んでいる、つまりこれは究極の個人情報の固まりなわけです。ですので、きちんと科学的にその情報を抽出し、有用な情報をフィードバックすることで、例えば「この物質の量が多いから、あなたの体はこういう状態です」とか、「この物質が足りないので、これを食べて増やしてください」とか、的確にアドバイスできるようになれば、最終的には未病状態をいち早く察知し、腸内環境を改善することで“健康”を長く維持することができると思うんです。

4) もともと、理系に進んだきっかけは?

小学生の頃から理科が好きでした。理科の中でも、特に生き物とか天体とかが好きでしたね。一方で、歴史とかはあまり興味がなかったんです。確か小学5年生の時だったと思うのですが、誕生日プレゼントに顕微鏡をもらったんです。覚えてないのですが、どうやら私が「ほしい」と言っていたらしいんですよね。木の葉っぱをピッと切ってはスライドガラスに乗せて、見たりしていました。ただ動物や微生物は昔から好きでしたが、植物はあまり好きじゃなかったんですよ。なぜなら、動かなくてつまらないから(笑)。小学6年生の時は誕生日に天体望遠鏡をもらって、夜な夜な月のクレーターとか見てましたね。そんな幼少時代でした。
 腸の研究を始めたのは実はただの偶然なんです。たまたま大学1年生のときに履修していた講義の中で、あまりにも難しくてわからない事だらけの教科が1つだけあり、担当の先生の研究室に毎回質問に行っていたんです。そうしたらその先生が、ちょっと研究やってみるか?と誘ってくださって。その先生が私の大学時代の恩師の日野常男教授でした。日野先生は当時はウシやヤギなどの胃の中にいる微生物の研究をしておられたのですが、私が研究室に配属されたときからペット動物の腸内細菌の研究を開始して、それがきっかけで私も現在まで約16年間おなかの中の微生物の研究をしています。

5) 福田さんは研究者であり、さらに起業もされていますよね?

私は元々農学部出身ということもあり、研究で見出した知見をできるだけ社会に還元したいという気持ちを常々持っていました。大学時代の恩師である日野常男教授のお言葉で、「科学者は人類に選択肢を作ることが使命だ」と仰っており、私もそう思っています。ですので、われわれが便の解析で見いだした知見をベースに、便からその人の健康状態などを評価し、さらにはそこからどういう食生活に改善すればいいかなどの情報をフィードバックできるような、そんなサービスを一般の方にも広く利用いただける「選択肢」を作れたらと思っています。

6) 福田さんがされている研究って、さまざまな分野で役立ちそうなですよね?

腸内環境は健康や病気だけでなく、体内時計や脳機能にまで影響する可能性が示唆されています。もちろんこれらについては今後より精密に調査される必要があるとは思いますが、腸内細菌がリズムにまで影響するのであれば、例えば腸内環境の改善によるうつ病の予防や治療とか、あるいはコンディションの調整が重要なスポーツ選手などにも役立つかもしれませんね。あと近年は糞便細菌叢移植という治療方法が脚光を浴びています。これは何かといいますと、腸内細菌叢の乱れが病気の原因と考えられる疾患の患者さんに対して、健康な人の糞便細菌叢を内視鏡を用いて移植するという、いわば腸内環境を丸ごと交換してしまう治療方法です。偽膜性腸炎という腸管感染症では、抗生物質を投与して病原菌を殺菌する治療方法よりも、糞便細菌叢移植の方が圧倒的に効果が高かったという報告もあります。ですので、もしかすると将来的にはみなさんの便が薬として使用できるかもしれないわけです。こういった観点からも私は便を「茶色い宝石」と呼んでいます。大事なことなので2回目の登場ですね(笑)。

7) 今後やりたいことを教えてください。

世の中を健康にしたい、というと大げさに聞こえるかもしれませんが、人間は食べ物を食べないと生きていけません。そして食べ物を食べるということは定期的に便を排泄します。この繰り返しで生きているわけですから、これがいかに重要な繰り返し作業なのかは言葉にするとわかっていただけるかと思います。ということは食べ物が重要になってくるわけですが、では何を食べれば腸内環境を良い状態に保ち、病気にならず健康でいられるのか、という問いに対して、明確な答えを持っている方はほとんどいないのではないかと思います。もちろん私も現時点では答えはわかりません。ですが、その人が何を食べたかという情報と「茶色い宝石」の声を聞くことで、少なくともどういった食べ物を食べるとその人にどういった影響を与えていそうか、ということを知ることができます。そういったデータを積み重ねることで、最終的には何を食べたら健康に寄与するのか、というこの難解な方程式の解を導きたいと考えています。 
 世の中を健康にできたら、その次は学校を作りたいですね。私自身、いろいろな方と出会い、そして教えていただいて学んだことが今の自分を作っていると思っています。われわれが持っている経験や知識を次の世代に伝えることで、日本だけでなく世界全体の学問の発展に貢献できたらいいですよね。

PHOTO:神藤 剛

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