「社会で通用する子ども」の育て方、教えます【中編2/2】

2015.7/2

Hakunetu titlekyoiku
自分で考えさせるにはどうしたらいい?

吉田 沼田先生はひとりひとりの子どもをすごく観察して、指導をしているんですね。

沼田 そうですね。いまは毎日クラスの子ども全員と交換日記をしています。

吉田 毎日ですか!?

沼田 はい、毎日出すルールにしていて、親にも伝えない決まりとなっています。男子はほとんど悩みなんてないので、一言書くくらいですね(笑)。女子は、恋愛の話題や、人間関係でよく悩んでいます。そこから、いじめや人間関係のこじれなども早めに知ることができる場合もあります。

吉田 沼田先生のクラスの児童は幸せですね。

沼田 僕は僕で、子どもたちに支えられていますからね。今日もこの取材があったから、子どもが授業準備をしてくれているんですよ。

――子どもたちが自主的に動いているんですね。

沼田 そうそう。こんなこと言うと怒られちゃいそうだけど、最近は僕、授業していないです(笑)。この前は卑弥呼の話題を出して、「卑弥呼って魏志倭人伝にしか載ってないらしいよ。じゃあ仮説卑弥呼を考えてみようよ」って伝えて。

 mg 0330
ただ学ぶんじゃない、自ら学ばせることが大切

――仮説卑弥呼ですか!?(笑)

沼田 みんな卑弥呼をすっごい調べるんですけど、結局魏志倭人伝の情報しか出てこないんですよね。ここが狙いなんです。気づいたら、卑弥呼についてすごく詳しくなってて。それで学習は成立しているんですよね。
仮説、超おもしろかったですよ!「卑弥呼、美肌疑惑!」とか(笑)、「卑弥呼がもらった銅鏡をに映っている自分の素顔を見てみたら、顔が茶色くて、日焼けが嫌になって外出しなくなったから、人と会わなくなった」とか、「卑弥呼は未来から送られたアンドロイドで、政治の仕方を伝えにきた」なんてものもありました。でも、仮説を出す上で「卑弥呼はなんで人と会わなかったのか」という事実をもとに妄想しているので、結果的にすごい学べているんですよ。

吉田 巻き込み力、ハンパないですね! 先生というか、社長業みたいですね(笑)

中竹 自分の頭で考えさせているわけですね。

沼田 そういえばラグビーって、監督はベンチにいなくて観客席にいますよね? ほかのスポーツと比べて、監督は選手を信じて任せるようなイメージがあって。

中竹 そうですね。ルールで監督はベンチに入れないんです。もともとラグビーって自立を重んじるスポーツなんです。審判すらいなかった。全部自己申告だったんですよ。それくらい誠実でフェア精神があるスポーツだった名残で、今でも監督はベンチに入らない。そういう意味では、いかに選手が「個」として自立して、普段の練習から自分で考えて判断することを促すかは重要ですね。

沼田 自分で考えて動いてもらうって、効果が高いですよね。

吉田 自分で考えさせることは、企業経営においても重要だと感じてます。会社が大きくなるにつれて、大企業から中途で入ってくるような社員も増えました。うちのようなベンチャー起業の場合、仕事の枠組みができていない、丸投げする仕事もあるわけで、これまでは決まった枠の中で仕事をしてきた社員だと考えることができないといったことがあります。
おふたりは、どのように自分で考えて動くことができる子どもや選手を育成しているんですか?

 mg 0306

沼田 僕は最初、塾講師をしていた時は、おもしろい授業をして惹きつければいいという考えでした。それこそ、声が枯れるまで毎日教えまくる。だけど、ある時「先生、私授業をやってみたい」と言ってきた子がいた。それで、「おお、やってみろ」って任せてみたんです。そうしたら、その子は教えるためにものすごく勉強してきたんですよ。

吉田 すごいベンチャー魂のある子ですね(笑)

沼田 この経験から、子どもたちには「1日キャプテン」をさせています。キャプテンは担任の僕より偉いというルール。その日一日にあったいいこと、悪いこともすべてキャプテンがクラスの代表として責任を持つんです。

吉田 いま閃きました! うちの新卒社員に「1日社長」をやらせます(笑)。午前中に任命して準備させて、午後から社長ということにしようかな。

中竹 いや、準備にはもっと時間をかけたほうがいいですよ! 1ヵ月間くらい。「1ヵ月後の今日、『1日社長だぞ!』」みたいに任命しておく。すると、ものすごい準備しますよ。

吉田 なるほど! いや〜、勉強になるな。定期的にこの回を開きましょう!(笑)

そして話題は「答えのない問いに挑戦し続けていく、自立した人材を育てるにはどうしたらよいのか?」
次回の最終回で、いよいよその答えに迫ります。

Interview/Text: 宮嵜幸志
Photo: 大根篤徳

このページが気に入ったら「いいね!」

Qreatorsの最新情報をお届けします

中竹竜二

なかたけ・りゅうじ/日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター、U20ラグビー日本代表監督。
1973年、福岡県生まれ。93年、早稲田大学に入学し、同大ラグビー蹴球部に入部。4年次には主将を務める。2006年清宮克幸氏の後任として早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。全国大学選手権2連覇を成し遂げる。

http://qreators.jp/qreator/nakatakeryuji

沼田晶弘

国立大学法人 国立大学法人 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭、学校図書生活科教科書著者、ハハトコのグリーンパワー教室講師
1975年、東京都生まれ。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、アメリカ・インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士を修了後、同大学職員などを経て、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校へ。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が話題に。教育関係のイベント企画を多数実施するほか、企業向けに「信頼関係構築プログラム」などの講演も精力的に行う。

http://qreators.jp/qreator/numataakihiro

吉田浩一郎

よしだ・こういちろう/株式会社クラウドワークス 代表取締役社長 兼 CEO。1974年、兵庫県生まれ。東京学芸大学卒業後、パイオニア、リードエグシビションジャパンなどを経て、株式会社ドリコム執行役員として東証マザーズ上場後に独立。ベトナムへ事業展開し、日本とベトナムを行き来する中でインターネットを活用した時間と場所にこだわらない働き方に着目、2011年株式会社クラウドワークスを創業、14年マザーズ上場。15年には経済産業省 第1回「日本ベンチャー大賞」審査委員会特別賞受賞。著書に『クラウドソーシングでビジネスはこう変わる』(ダイヤモンド社)などがある。

http://qreators.jp/qreator/yoshidakoichiro

SERIES

Shutterstock 95088592

今ドキ女子に人気の「ハイジニーナ」って何?気になるアレコレを一気に公開!

SPECIAL

Jinro top2

ブームはまだこれから?著名人も巻き込む「人狼ゲーム」の人気の秘密に迫る!後編

SPECIAL

4108447491 8e0853d1e6 b

テレビやネットで話題沸騰。ディグラム診断で視る、あなたの新春・結婚期待度!!