「社会で通用する子ども」の育て方、教えます【中編1/2】

2015.7/2

Hakunetu titlekyoiku

前回に続き、一層白熱する教育・人材育成論。
社会で生き抜く人材とは、どんな環境で育まれるのだろうか?
3名が考える教育の根幹に注目です。
前編「今こそ本当に必要な教育について」はこちらから

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失敗体験と成功体験の両方が必要なワケ

中竹 吉田社長の話を聞いて、相当おもしろいなと思ったことは「失敗から多くを学んでいる」ということですね。
僕の根本的な教育観は「いかに失敗させるか、失敗体験を積ませるか」なんです。人は失敗からじゃないと学べないので、選手には事前の指導をせず、まずは挑戦させて失敗させる。で、失敗したら何が足りなかったんだろう?と振り返って考えさせることが重要なんです。
だから、吉田社長は人生を賭けて失敗体験を積んでいらっしゃるからすごいな! と(笑)

吉田 アハハハハ! そうですね〜(笑)。企業だと人数によって教育の仕方も変わっていくなと実感するようにもなりました。
社員が30人くらいの時は要望せずとも成長していくような環境でしたし、私も気づきを与えたり指導できたりしましたが、上場して人数が150人を越えた今は、社員に期待を込めて要望し、後は見守るというスタンスです。沼田さんは、要望したり、期待したりっていうのはどうされているんですか?

沼田 僕はめちゃくちゃ期待してますね。失敗体験を積ませることと同じくらい、成功体験を積ませることに重きを置いていて。失敗すると、自己効力感が高くない子は沈んでいっちゃうんですよね。自己効力感って、自己に対する信頼感や有能感のことなんですけど、現在の子どもたちは自信がない子が多い。
だから、「やればできる!」「俺だってできるじゃん!」という感覚をまずは持たせたいんです。私の仕事は、1~2年で受け持つクラスが変わり、関わる子どもたちが変わっちゃうんですよ。この点は、会社などとまったく違いますよね。

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吉田 確かに!

沼田 そのため、担任クラスが変わったばかりで信頼関係がまだできていない4月の段階では、なんでも誉めるようにしています。

――どんなことを誉めるんですか?

沼田 本当になんでもですよ。たとえば、給食を全部食べたら誉める。「よく食べたな! すごいなー!!」みたいな(笑)。4月の一ヵ月間で、子どもの自己承認欲求を満たしていくんです。

――中竹さんは、選手に失敗させることが大事ともおっしゃっていましたが、「やればできる!」と思わせるような仕掛けも設けているんですか?

中竹 はい。早稲田大学で監督をしていた時には、毎週練習試合があるんです。ここで、1軍~6軍までの選手を上げたり下げたりするのです。これについて「試合に勝てるようなチームづくりをするためですか」と聞かれることがあるんですが、私は練習試合を選手のモチベーションを上げるためのツールとして使っています。4軍にいた選手をいきなり2軍にしたりすることもあります。本人はもとより、周囲の選手も「頑張れば報われるんだ」と実感できますよね。

吉田 企業だと、降格などさせると「理不尽だ!」という声が聞こえてくるものですが、そういったことはないんですか?

中竹 ありますよ。でも、文句を言ってきたらそれもチャンスなんです。面談で、「どうして2軍に降ろされたと思う?」という問いかけから始まり、「あのミスは覚えているか?」といった感じで掘り下げるなど、選手個人に合わせて対応を変えています。降ろされたことに頭に来て、黙々と打ち込むヤツはそれはそれでよい。どちらにしろ、選手にとっての成長になるのです。

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人を評価する、その最適な方法とは

吉田 ちょうど相談したいことが(笑)。実は、9月末までにマネージャーを30人排出するプロジェクトにコミットしておりまして、今そのための準備に奔走しているんです。マネージャーの行動指針を25項目で作成しまして、毎月評価しランキング化しようか悩んでいるんですよね。誰が評価するべきなのかっていうことも悩みで。

中竹 究極的には誰でもいいんですよね。

吉田 え! 誰でも?

中竹 大切なのは、何のために評価するのか? ということ。この評価制度を取り入れた理由はなんですか?

吉田 マネージャーに頑張って欲しいということですね。

中竹 それであれば、数字評価はただのツールなんです。頑張らせたい者の評価を操作するのでもいいんですよ。

沼田 僕も似たような話がありますね。たとえば、体育の授業でハードル走の練習をする時、頑張ってる子には、たまに「神の手」が発動して、タイムを少し早く出すとか。

吉田 アハハ! これは大丈夫なんですか!?

沼田 別に早く走らせることが目的ではないんですよ。目的は頑張らせることですから、実際のタイムは、モチベーションのためのツールだなと。子どもがいちばん頑張れるように、勉強でもスポーツでも楽しんで取り組んでくれるように上手に使っています。

次ページ「子どもの自主性を育てるには?」につづく

Interview/Text: 宮嵜幸志
Photo: 大根篤徳(人物)

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中竹竜二

なかたけ・りゅうじ/日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター、U20ラグビー日本代表監督。
1973年、福岡県生まれ。93年、早稲田大学に入学し、同大ラグビー蹴球部に入部。4年次には主将を務める。2006年清宮克幸氏の後任として早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。全国大学選手権2連覇を成し遂げる。

http://qreators.jp/qreator/nakatakeryuji

沼田晶弘

ぬまた・あきひろ/国立大学法人 国立大学法人 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭、学校図書生活科教科書著者、ハハトコのグリーンパワー教室講師。1975年、東京都生まれ。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、アメリカ・インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士を修了後、同大学職員などを経て、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校へ。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が話題に。教育関係のイベント企画を多数実施するほか、企業向けに「信頼関係構築プログラム」などの講演も精力的に行う。

http://qreators.jp/qreator/numataakihiro

吉田浩一郎

よしだ・こういちろう/株式会社クラウドワークス 代表取締役社長 兼 CEO。1974年、兵庫県生まれ。東京学芸大学卒業後、パイオニア、リードエグシビションジャパンなどを経て、株式会社ドリコム執行役員として東証マザーズ上場後に独立。ベトナムへ事業展開し、日本とベトナムを行き来する中でインターネットを活用した時間と場所にこだわらない働き方に着目、2011年株式会社クラウドワークスを創業、14年マザーズ上場。15年には経済産業省 第1回「日本ベンチャー大賞」審査委員会特別賞受賞。著書に『クラウドソーシングでビジネスはこう変わる』(ダイヤモンド社)などがある。

http://qreators.jp/qreator/yoshidakoichiro

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