お茶の間よもう一度! トップクリエイターが考えるヒットとは?【後編2/2】

2015.6/29

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多方向からの意見を織り交ぜたもの。それこそが「マス」

佐藤 でも、そういった紅白ばりに認知度のあるCMを作るのって大変ですよね。クライアントさんとやりとりするのも、相当な労力がかかるんじゃないですか?

福里 広告界以外の人は知らないだろうなと思うのは、CMってめちゃくちゃムダが多い作業なんですよね。100本企画出して実現するのは1本とか。年間キャンペーンだと3方向くらいから考えて、それぞれの方向性で一年間分提案するのですが、提出した瞬間にクライアントから「ピンとこないな」みたいな。「アハハ、やっぱりピーンとこないですよね〜」とか言いながら、何度もやり直しして。

水野 へぇ〜!

福里 企画が通ったら通ったで、今度は出演するタレントさんのご意見というのもあって、「それは難しいなー」となったり。いろいろ厳しいんです。だから、そういう意味でも自己表現なんて言ってる場合じゃないですよね(笑)。ただ、コミュニティが細分化して、いろんな人がいるからこそ、そうしてつくるプロセスの中で多方向からの意見が入ったものが、より多くの人に伝わるものになる可能性もあると思うんです。

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佐藤 水野は楽曲を作る際、いろんな人の話を聞いて、ブラッシュアップされたなって思う? それとも、最初のほうがよかったなって思うことが多い?

水野 僕も基本的に人の意見を聞いたほうがプラスになると思う。ただ、どこを曲げたくないかだけ、その境界線を決めておけばいいかなと。

佐藤 なるほどね。

福里 さっきの昔の紅白の話に戻りますけど、みんながテレビの前で同じ歌を口ずさんでいたという、やっぱりあれはあれで楽しかったなと思っていて。
僕は「あの人最後までお茶の間を信じていたよね」と言われるプランナーもいいかなと思っているんです。最近はテレビを世の中の人が見なくなっていると言われていますけど、たとえばソフトバンクの犬のお父さんという存在を、相当な人が知っているというのも事実です。
CMはその力があると思うし、時代の先端を走るようなタイプでもないので、最後までお茶の間をワイワイ楽しませる、みたいな昔ながらのことをずっと目指していたプランナーと言われたいな、と。なんか自分にはそういうことが向いているような気がしているんです。

水野 分かります。みんながワイワイガヤガヤやってるのを見るのっていいですよね。もちろんその人数が多ければ多いほうが嬉しいんですよ。だから、これからもヒットを追い求めるというよりは、たくさんの人がワイワイできる曲を、たくさんの人に届けていきたい、そんな感覚ですね。

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いいモノ、売れるモノ、反対で日の目を見ないものもある……
いろんなモノ・コトが世の中に出てくる日々を過ごし、私たちは「どうしてそれを作るのか?」「どうしてそれを世の中に送り出すのか?」など、本質を忘れがちになる。
だからこそ、今回「ヒットについて」業界の一線で活躍するおふたりからお話を聞けたことは、とても貴重でした。
おかげさまで、佐藤も「ヒットを飛ばすぞ!」と意気込んで(?)おります。
おふたりとも、ありがとうございました!

Interview/Text: 末吉陽子
Photo: 神藤 剛

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水野良樹

みずの・よしき/3人組音楽ユニット「いきものがかり」のギター&リーダー。メジャーデビュー10年目の幕開けとなる全国ツアー「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2015 〜FUN! FUN! FANFARE!〜」を開催中。30枚目のシングル「あなた」も絶賛発売中。

http://ikimonogakari.com

福里真一

ふくさと・しんいち/CMプランナー、コピーライター、文筆家。1968年生まれ、神奈川県鎌倉市出身。一橋大学社会学部卒業後、92年電通入社。2001年よりワンスカイ所属。これまでに1000本以上のテレビCMを企画・制作。主な仕事に、樹木希林らの富士フイルム「フジカラーのお店」、サントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ」、トヨタ自動車「こども店長」「ReBORN 信長と秀吉」「TOYOTOWN」など多数。著書に『電信柱の陰から見てるタイプの企画術』(宣伝会議)、『困っている人のためのアイデアとプレゼンの本』(日本実業出版社)。月刊『創』に「このすばらしき、ろくでもないCMプランナー」連載中。

http://qreators.jp/qreator/fukusatoshinichi

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