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いまテレビに必要なのは、情熱をもったアホなやつ【中編1/2】

2015.6/25

Hakunetu title tv

おもしろい番組をつくるためのキーとなるのは若手の存在。
4人のテレビに対する熱いトークはさらに熱を帯びていく。
前編はこちらから

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テレビは「メインカルチャー」になってからつまらなくなった

吉田 結局、凝縮性の高いコンテンツを作り続けていけば、テレビは持続していくんですよね。気になったんですけど、テレビ業界の中にいるおふたりは、いまの状況を憂いているのか、意外といけると思っているのか、そこを聞いてみたいです。

西田 世代的なところはあるでしょうけど。僕らは若い人を見て、アホなやつ減ったな〜って感じがしますね。

吉田 いい意味で? 悪い意味で?

西田 悪い意味で。

吉田 アホが減った……

西田 なんか、やっぱりテレビってアホなヤツがやらなアカンと思うんですよね。物事の理屈なんか分かったらダメなんですよ。物事の理屈は分からへんけど、こんなんオモロイやんって言って、やりきっちゃうパワーがないと。理屈を分かってるヤツが作る映像って、説教くさいというか、なんちゅうか……。なんかパッションがないんですよね。そういう、たぎるような演出をするためには、若手をたぎるような人間にするのか、たぎってる人間を業界に入れるしかなんですよ。どこに行ったら、たぎってるヤツいるんだろ。

ーー昔はたぎっていた人たちが、たくさんいたんですか?

西田 僕ら世代で言うと、いっぱいおったんです。20年くらいたっても、当時のたぎったヤツらとの横のつながりがあって、いまでもそういう人らと会うと、あの時しんどかったなぁとか言いながら、楽しくってしゃーない。
けど、中島くんの横にどんだけそういう人がいるかっていうと、意外と腑抜けになってて、ひとり孤軍奮闘でがんばらなあかんようになってる。これ、どないすんのやろっていうのはありますよね。

吉田 僕は、テレビがつまんなくなったのは、「サブカル」じゃなくて「メインカルチャー」になったからっていう話を聞いて、納得したことがありまして。

ーーはい。

吉田 どうやってサブカルかメインカルチャーかを分けるかと言うと、東大出てその会社に入社して、がっかりされるのがサブカルなんですって。昔って東大からテレビ局入ったらがっかりされてたのが、いつのまにか東大出てテレビ局に入社したら素晴らしいねって世間が言うようになってしまった。もしかしたら、その時点でテレビがメインカルチャーになり、おもしろくなくなっていったんじゃないかと思うんです。さっき西田さんが言ってたアホが減ったていう意味でいうと、当時は東大卒業してテレビ局に入る人なんていないから、アホばっかりだったのかなと。

ーーなるほど、おもしろいですね。

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めんどくさい人がおもしろいものを作り出す

吉田 中島さんは、同世代やまわりの人を見て、もの足りないと感じますか?

中島 物足りないとは思わないですよ。やっぱり先輩に育てていただいてるので。アホというか、思いが熱い人っていうか、テレビ局の人って、やっぱりめんどくさい人が多いんですよね。

吉田 えっと、それはいい意味で?

中島 いい意味で(笑)! 僕はそっちが好きなんです。必要以上に、執着心が強かったり、普通に考えてそれは無駄だろって思うことをする。でも僕が教えられてきたことは、その無駄と思えるところに人の心を動かす何かがあるということなんです。番組とかドラマをつくることって、たぶん、マーケティングとか数字的な概念が適応しにくいと思うんですよ。エンターテイメントをつくりだすには、西田さんがおっしゃっているように、人の思いとか熱くたぎるものが重要なんだと思います。

ーー中島さんは、テレビ離れが言われはじめた頃に、入社されたと思うんですけど、その時どんなことを期待してテレビ局に入りましたか?

中島 期待というか、エンターテイメントの仕事がしたいっていうだけですね。番組やドラマを作って、人の心を動かすっていうことが、いちばん楽しくできそうだったのがテレビ局だったんです。ずっとテレビを見て育って、テレビからたくさん影響を受けていましたし、いろんな人に自分の作ったもの見て欲しいっていう思いもあって。それ以外のことはあまり考えてなかったですね。石油の資源を日本に貿易して、年収何億っていうより、番組を作っているほうが僕にとっておもしろいんです。

吉田 ちなみに、中島さんはめんどくさい人なんですか?

中島 ぼく、めんどくさい人です(笑)

西田 こだわりがすごいですよ。いま、ネットっていうのを相手にしていて、デジタルの使い手みたいな話もありますけど、作るってことに関するこだわりは、たぶん、この世代でズバ抜けてる。

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Interview/Text: 橋村 望
Photo: 神藤 剛

尾原和啓

おばら・かずひろ/1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人口知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業などを歴任。近著『ザ・プラットフォーム:IT企業はなぜ世界を変えるのか?』が絶賛発売中。

http://qreators.jp/qreator/obarakazuhiro

西田二郎

にしだ・じろう/テレビ演出家。 1965年、大阪府生まれ。89年、讀賣テレビ放送株式会社入社。『11PM』『EXテレビ』を経て、93年放送開始の『ダウンタウンDX』を演出。98年、製作会社「ワイズビジョン」に出向し、さまざまな放送局で番組を制作。2002年、よみうりテレビに戻ってからは、意欲的に新しいジャンルの番組を手掛ける。15年1月より、営業企画部開発部長に就任。新たなビジネスフレームやクリエイティビティの誘発に取り組んでいる。

http://qreators.jp/qreator/nishidajiro

中島啓介

なかじま・けいすけ/TBSテレビ 番組プロデューサー。2009年にTBSテレビ入社。「マッチング・ラブ」「リアル脱出ゲームTV」「ジンロリアン〜人狼〜」など、ネットやテレビの融合などを積極的に取り入れた企画を多く手がける。

https://twitter.com/nkj0903

吉田尚記

よしだ・ひさのり/ニッポン放送アナウンサー。第49回ギャラクシー賞DJ・パーソナリティ賞受賞。著書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)が発売3ヵ月で10万部を突破。 99年の入社以来、今に至るまでオールナイトニッポンほか深夜放送のパーソナリティを務め続けている。現在は毎週月曜日から木曜日深夜24時から放送中のワイド番組『ミューコミ+プラス』を担当中。

http://qreators.jp/qreator/yoshidahisanori

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