子ども、選手、社員を育てる3人が語る、今こそ本当に必要な「教育」について【前編2/2】

2015.6/23

Hakunetu titlekyoiku
子どもをやる気にさせる「成功体験」の演出

吉田 振り返ると、私自身は経営への熱意を持ち続けたからこそ、ここまでやってこれたと思っているのですが、子供にはどうやって熱意だったり、やる気を出させたりしているんですか?

沼田 小学校は義務教育なので、ラグビー部や会社のように、「同じことをやりたくて来ている」というわけではないんですよね。たとえば、運動会。運動神経がよくて運動会をすごく楽しみにしている子もいれば、できれば運動会には参加したくないと思っている子までいるわけです。

吉田 確かに。私も運動会は苦手だったなぁ。運動できないとまわりに迷惑かけるって思ったりして。

沼田 そうなんです。だから、みんながやる気あるわけじゃないことを理解しないといけない。スポ根アニメみたいに、「お前ら何のためにここにいるんだ!」って鼓舞しても、子どもにはまったく響かない(笑)

吉田 では、どうするんですか?

沼田 うちは徹底的に役割分担します。運動会だと足が速い子が目立ちがちですが、足が速くなくても体格があって力持ちな子には、棒倒しの棒を支える役割だったり。そうした頑張っているところをしっかり観察して、すかさず誉めていくということがポイントだと思っています。カメラマンもそうした姿をしっかり押さえてくれるので、後で写真を見て、再度「頑張ったねー!」と誉めてあげると、運動会が苦手だと思っていた子でも好きになっていくんですよ。

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吉田 なるほどな〜。

沼田 クラス対抗の全員リレーの時には、足が速くない子の順に走らせていきます。すると、スタート時はどんどんほかのクラスに引き離されていきます。でも、「よし! 差は半周で抑えられたぞ、よくやった!」などと誉めるんです。後半からは、足が速い子しか出てきません。その子たちも、他クラスを追いかける役割として十分に活躍します。しかも、保護者の方にもウケがよくて。お子さんがリレーで抜かれてしまうようなことがないので、「うちの子がすいません」みたいなことにはならないんです。

中竹 すごく戦略的にやられているんですね。

吉田 えーっと……うちの会社の組織図を(笑)。ご相談させていただければ(笑)

沼田 僕は、子どもたちに成功体験を積ませることが大切だと思っています。実は今日、1年間漢字テストで100点を取れなかった子どもが初めて取ったんです。もう、クラス全員でスタンディングオベーションですよ。お母さんにも電話して「大げさに驚いて誉めてくださいね!」と伝えました。「がんばったらみんなが誉めてくれた」「お母さんが喜んでくれた」そんな成功体験ができたら、子どもはまた頑張ろうと思うんです。だから、私はあらゆる場面で誉める仕組みを盛り込んでいます。

中竹 その通りですね。学校現場であれ、会社であれ、そして部活であれ、日々モチベーション高く取り組むのは難しい。だからこそ僕は、モチベーションを高く保ち続けられる「仕組みづくり」が重要だと思っています。モチベーションに火をつけるための、全体のルール作りと、各個人への対応のふたつを重視していました。

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ルールや情報の「見える化」が信頼を作る第一歩

——早稲田大学のラグビー部は6軍もあると聞きますが、個人とは、どのようにやり取りしていくんですか?

中竹 僕は選手全員と話すことを心がけ、フォーマルな面談を定期的に行い、インフォーマルな面談も数限りなく実施しました。選手たちの気持ちを吐露させ、支えたり意欲を高めたりしていきます。一方で、今は私がアプローチをしないほうがよいと判断し、あえて声をかけないという選択をすることもあります。

沼田 6軍もあると、全員で何名いるんですか?

中竹 選手は120人くらいですね。

沼田 僕らでいう、一学年の人数ですね。

吉田 なるほど。会社においてもモチベーションマネジメントは重要なんです。しかし、厳格なルールが決まっているスポーツと異なり、ベンチャーの企業は勢いで立ち上げていることが大多数なので、定まった就業規則がない会社がほとんどです。ルールがないために、不平が出てモチベーションの低下を招くといったことがあります。
たとえば、最初に問題になるのは出社時間。外に出て仕事をしている社員もいれば、会社のなかで昼夜問わずに仕事をしている人もいる。少人数のときはそれが気にならないけれど、人数が増えるとトラブルが発生しがちです。また、喫煙者が禁煙者よりも、休憩時間が多くなるということも同じように問題になりがちで。

——キリがなさそうですね。

吉田 そのため、クラウドワークスを創業するにあたっては、はじめにルールを「見える化」しました。おかげで不平不満が出ることを未然に防ぐことができたと感じています。その上で、今は毎日30分社員と面談を繰り返していて、内部の信頼関係を構築するために取り組んでいます。

中竹 それは絶対に大事ですね。ただ私が面談を続けていると、次第にコーチにも選手にも「グラウンドに出てこなくていいので、ずっと面談やっていてください」って言われはじめて(笑)。「あ、いいの?」みたいな(笑)。でも、結果的にチームがうまく回り、選手のリーダーたちが自発的に考え、練習するようになっていきましたね。一方で僕は考えが全体に正しく浸透するよう、大事な戦略ミーティングなど、リーダーたちとの擦り合わせに時間を割いていました。実際にグラウンド上では監督ではなくリーダーに聞くのでね。

吉田 なるほど。私も非常に共感するところで、クラウドワークス創業以前、以後で大きく異なるのは、トップダウンで経営していたスタイルから、「任せる」というスタンスに変えてうまく行き出したということです。社員に100%預けてみることで、モチベーションにもつながりますし、失敗した経験がみんなの糧になり成長していくことを実感しましたね。

さまざまなキャリアを積まれたお三方の教育鼎談。
業界は違えど、一対一でのコミュニケーションを大切にするということは、教育の本質なのだろう。
鼎談はさらに盛り上がり、刺激的な持論も飛び出すように!
中編にも乞うご期待。

Interview/Text: 宮嵜幸志
Photo: 大根篤徳

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中竹竜二

なかたけ・りゅうじ/日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター、U20ラグビー日本代表監督。
1973年、福岡県生まれ。93年、早稲田大学に入学し、同大ラグビー蹴球部に入部。4年次には主将を務める。2006年清宮克幸氏の後任として早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。全国大学選手権2連覇を成し遂げる。

http://qreators.jp/qreator/nakatakeryuji

沼田晶弘

ぬまた・あきひろ/国立大学法人 国立大学法人 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭、学校図書生活科教科書著者、ハハトコのグリーンパワー教室講師。1975年、東京都生まれ。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、アメリカ・インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士を修了後、同大学職員などを経て、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校へ。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が話題に。教育関係のイベント企画を多数実施するほか、企業向けに「信頼関係構築プログラム」などの講演も精力的に行う。

http://qreators.jp/qreator/numataakihiro

吉田浩一郎

よしだ・こういちろう/株式会社クラウドワークス 代表取締役社長 兼 CEO。1974年、兵庫県生まれ。東京学芸大学卒業後、パイオニア、リードエグシビションジャパンなどを経て、株式会社ドリコム執行役員として東証マザーズ上場後に独立。ベトナムへ事業展開し、日本とベトナムを行き来する中でインターネットを活用した時間と場所にこだわらない働き方に着目、2011年株式会社クラウドワークスを創業、14年マザーズ上場。15年には経済産業省 第1回「日本ベンチャー大賞」審査委員会特別賞受賞。著書に『クラウドソーシングでビジネスはこう変わる』(ダイヤモンド社)などがある。

http://qreators.jp/qreator/yoshidakoichiro

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