子ども、選手、社員を育てる3人が語る、今こそ本当に必要な「教育」について【前編1/2】

2015.6/23

Hakunetu titlekyoiku

ひとつのテーマについて、専門分野が異なるクリエイター同士が語り合う企画「白熱QA教室」。
今回は「教師」「監督」「社長」という立場で、子どもや選手、社員を教育する3名に、「教育」について熱く語っていただきました!

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子ども、選手、社員を育てるそれぞれの教育論

——みなさんは初対面ということですので、まず自己紹介からお願いします。

沼田 東京学芸大学附属世田谷小学校で先生をしていて、9年目になります。普通の学校とはちょっと違っていて、かなり自由にいろんな取り組みをやらせてもらっています。大学院ではリーダーシップ、モチベーションコントロールやコーチングを専門で学んでいました。

吉田 クラウドワークスの吉田と申します。教育と聞くと、失敗した経験ばかり浮かびますが(笑)。大学時代は劇団で食べていこうと思っていたんですけど、うまくいかず、その後も社会人として管理職や、役員として上場を経験、その後自ら起業したりしたのですが、いずれも人の部分で失敗しておりまして。そんな裸一貫の状態からクラウドワークスというITの会社を立ち上げて、3年で上場させることができました。
いまは、急速に増えた社員をどう育てていくかという課題と日々格闘しています。なので、今日は楽しみです!

中竹 僕は大学時代にラグビーをやっていて、卒業後は普通のサラリーマンをしていました。ですが、突然母校の早稲田大学のラグビー部の監督に依頼され、コーチング経験がないままに就任するという経歴があります。今は日本ラグビーフットボール協会でコーチングディレクターと、20歳以下のラグビー日本代表チームの監督を兼任しています。「フォロワーシップ」という言葉を提唱していて、おかげさまで、フォロワーシップについて、日本の中での第一人者となっています。

——ありがとうございます。では、さっそく本題に参りたいと思います。唐突ですが、みなさんにとって、「教育」とはなんですか!?

吉田 アハハハ。教育とはか〜。

沼田 そうですね〜。僕の考えを話すと、先生という職業にとって、教えるという行為は当たり前のことですよね。でも、先生が「子どものためになる」と思って教えていても、ほとんどの子どもにとっては、それが何の役に立つのか分かっていないんです。たとえば、dL(デシリットル)ってみなさんも習ったと思うんですけど、一回も社会で使ったことないと思うんですよ。

吉田 あ〜、確かに。

沼田 もちろん教えないわけにはいかない。でも、僕は何とかして「生徒がやりたいことをしていたら、いつの間にか勉強しちゃった!」というように持っていきたいんですよね。足し算、引き算を教えたいと思ったら、「3万円の予算を渡すからカレーを作って」と言えば、生徒は必死でカレーの具材を計算し始めて、知らない間に足し算、引き算を学んでいる。こうした体制を作ることが、僕は教育かなと。だから、どっちかというと「教」よりも「育」を重視してるかな。

——なるほど。

 mg 0358
「怒らない教育」が人を育てる

中竹 僕が早稲田大学のラグビー部コーチに就任した時は、実績もなければ経験もないということで、選手との信頼度はゼロでした。話は聞いてもらえないし、注意すると下を向いて舌打ちされる(笑)

吉田 うわ〜、それはヤバイっすね(笑)

中竹 でも僕、全然怒らないんですよね。結構「鈍感力」があるみたいで(笑)

吉田 アハハ! でも、なめられちゃうと謀反みたいなものは起きなかったんですか?

中竹 起きましたね。

吉田 あ、起きたんですか!

中竹 それでも、私は怒らないんですよね。すると、選手たちの中から、「このままじゃまずい!」と自発的に考える機運が自然と高まっていったんです。「自分たちで何とかしなければ!」という危機感を持つようになって、そこからうまくいくようになったと思います。

沼田 そうなんですよね。「やれ!」と頭ごなしに言わなくても自然と、子どもたち主体で動くようになる。たとえば、僕は掃除が苦手なんです(笑)。すると、子どもが世話を焼いて、掃除をしにきてくれるようになって。ほかにも「漢字のテストの採点したい人!」と挙手をさせたら、自ら「やりたい!」と手を挙げる子がいる。採点を経験すると、この子は一層学習内容を定着させることができるので、僕としてはしてやったりですね。

吉田 中竹さんも、沼田さんも選手や子どもを怒ることはないんですか?

中竹、沼田 ないですね~。

吉田 私は、以前の会社では結構怒ってましたね。だから謀反があったり……(笑)。でも、前社の経験もあって今は「小心者マネジメント」というか、事前にコミュニケーションを取ってケアするようになりました。もともと会社員の時は、自分を主張するタイプで、目標達成は当たり前。目標を達成できていない上司を突き上げるようなタイプでしたから、大きく変わりましたね(笑)

中竹 かなり尖ってましたね〜。

吉田 アハハハ、そうですね(笑)。でも、いろいろ失敗を重ねてきた中でも、起業することに対する熱意だけは消えなかったんですよね。

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Interview/Text: 宮嵜幸志
Photo: 大根篤徳

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中竹竜二

なかたけ・りゅうじ/日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター、U20ラグビー日本代表監督。
1973年、福岡県生まれ。93年、早稲田大学に入学し、同大ラグビー蹴球部に入部。4年次には主将を務める。2006年清宮克幸氏の後任として早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任。全国大学選手権2連覇を成し遂げる。

http://qreators.jp/qreator/nakatakeryuji

沼田晶弘

ぬまた・あきひろ/国立大学法人 国立大学法人 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭、学校図書生活科教科書著者、ハハトコのグリーンパワー教室講師。1975年、東京都生まれ。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、アメリカ・インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士を修了後、同大学職員などを経て、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校へ。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が話題に。教育関係のイベント企画を多数実施するほか、企業向けに「信頼関係構築プログラム」などの講演も精力的に行う。

http://qreators.jp/qreator/numataakihiro

吉田浩一郎

よしだ・こういちろう/株式会社クラウドワークス 代表取締役社長 兼 CEO。1974年、兵庫県生まれ。東京学芸大学卒業後、パイオニア、リードエグシビションジャパンなどを経て、株式会社ドリコム執行役員として東証マザーズ上場後に独立。ベトナムへ事業展開し、日本とベトナムを行き来する中でインターネットを活用した時間と場所にこだわらない働き方に着目、2011年株式会社クラウドワークスを創業、14年マザーズ上場。15年には経済産業省 第1回「日本ベンチャー大賞」審査委員会特別賞受賞。著書に『クラウドソーシングでビジネスはこう変わる』(ダイヤモンド社)などがある。

http://qreators.jp/qreator/yoshidakoichiro

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