テレビっている?いらない?当事者たちが語る、その本音【前編2/2】

2015.6/17

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「高視聴率を狙わない」が番組を生かす術

ーー視聴率が高いからといって、おもしろい番組だとは、一概には言えないってことですか?

西田 もちろん一概には言えないですね。でも視聴率が高い番組って、やっぱ、おもろいんですよ。20%越える番組には、人の気持ちを惹きつける理由があるんです。10%を切る番組って、半年やろうが1年やろうが、めちゃめちゃおもろくなっても、続けようという声があがってこない。けど視聴率取ってる番組って、そういう声が積みあがってくるんですよ。このあたりっていうのは、難しいとこやな〜と思うんですけどね。だから、数字だけ取りに行くって仕事をしたらええかって言うとそうじゃなくて、数字を取りながらも視聴者を惹きつけるおもしろさを捉えた作りをしないと。

吉田 なるほど〜。

西田 特に、レギュラーでやっている番組は、毎週やっていくもんやから、1回だけやったらええんやなくて、ずーっとビジネスとしてやっていかなあかん。僕の場合、ダウンタウンをどのような形で見せていくかを考えてた。たとえば、「ダウンタウンDX」で言えば、めちゃくちゃおもろいって、思わさへんようにするんですよ。

吉田 え!? めちゃくちゃおもしろいと思わせない? それはつまり、(視聴率)40%取っちゃいけないけど、15%は取り続けるみたいなことですよね? 狙ってできるんですか?

西田 狙わんとダメなんです。ギリギリセーフかな〜ってぐらいのところで、行き切らないで止めとく。番組が当たったとしても、その瞬間にスタッフを抑える。スタッフが調子よくなって、番組の企画がおもしろくなりすぎたら、「おもろすぎるー! もっとしょうもないのでええやろー!!」って抑える。うちは芯を外したいからって言って。

吉田 へぇー! つまり、バーンと当たってからすぐ落ちるのと、低くてもずーっと長く続くのでは、その分を面積にすると、後者のほうがすごく大きいということですね。

西田 ものすごく大きいですね。だから、総リーチ数っていうのは、めちゃくちゃダウンタウンDXが取ってるんです。

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アナ雪だって、テレビには勝てない

吉田 確かに「ごっつええ感じ」って終わってしまってますね。「ごっつええ感じ」はその後DVDとか出て買う人がいましたよね。でも、すごく失礼かもしれないけど、「ダウンタウンDX」のDVDを買う人の想像がちょっとつかないですね。

西田 正直、DVDが10万部売れようが、100万部売れようが、僕らのテレビのビジネスでいうと、さほどなんですよ。売れたことはすごいんですけど、うちのテレビ局を守るだけの利益ではないんです。

吉田 尾原さんは、ビジネスの観点から見てどう思いますか? 

尾原 西田さんのおっしゃることはよく分かります。テレビって、日本だけでも全体で2兆円の事業規模なんですよね。でも、たとえばアナ雪って、世界であれだけ売れたビジネスですけど、興行収益は1,500億円なんです。

吉田 そんなもんなんですね!

尾原 CMというビジネスがつくりだす事業規模は、みなさんが思っている感覚よりはるかに大きい。だから、テレビ番組1本あたりに4,000万円とか5,000万円とか費用がかけられるし、ものすごい凝縮性をかけたいいコンテンツが作れるんです。いかにこのテレビCMのビジネスモデルを壊さないで、次世代に渡していけるかって大事なんですよ。

吉田 今の聞いていると、テレビがなくなったら僕らが不幸だって思えてきました。僕、昔クイズ研究会にいて、当時テレビでやっていたウルトラクイズってすごいなって憧れてて。ものすごい予算を注ぎ込んで、手間をかけて作っていて、出演者にとっては、至高の体験だったと思うんです。それをテレビが作ってくれていたんだと。凝縮性が高くて代替のきかない体験を、いかに提供するかっていうのは、テレビのミッションじゃないですか。価値ある体験を生みだせるコンテンツを持続するために、テレビはなくならないほうが僕らも幸せなわけですよね。

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2兆円ビジネスに支えられたテレビのコンテンツ。
至高の経験をくれた価値ある番組もあった。
テレビは、やっぱりないと困る。じゃあ、どうしたらおもしろい番組を生みだし続けられるのか?
中編「テレビがつまらなくなったワケ」ではトークはさらに過熱していく!

Interview/Text: 橋村 望
Photo: 神藤 剛

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尾原和啓

おばら・かずひろ/1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人口知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業などを歴任。近著『ザ・プラットフォーム:IT企業はなぜ世界を変えるのか?』が絶賛発売中。

http://qreators.jp/qreator/obarakazuhiro

西田二郎

にしだ・じろう/テレビ演出家。 1965年、大阪府生まれ。89年、讀賣テレビ放送株式会社入社。『11PM』『EXテレビ』を経て、93年放送開始の『ダウンタウンDX』を演出。98年、製作会社「ワイズビジョン」に出向し、さまざまな放送局で番組を制作。2002年、よみうりテレビに戻ってからは、意欲的に新しいジャンルの番組を手掛ける。15年1月より、営業企画部開発部長に就任。新たなビジネスフレームやクリエイティビティの誘発に取り組んでいる。

http://qreators.jp/qreator/nishidajiro

中島啓介

なかじま・けいすけ/TBSテレビ 番組プロデューサー。2009年にTBSテレビ入社。「マッチング・ラブ」「リアル脱出ゲームTV」「ジンロリアン〜人狼〜」など、ネットやテレビの融合などを積極的に取り入れた企画を多く手がける。

https://twitter.com/nkj0903

吉田尚記

よしだ・ひさのり/ニッポン放送アナウンサー。第49回ギャラクシー賞DJ・パーソナリティ賞受賞。著書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)が発売3ヵ月で10万部を突破。 99年の入社以来、今に至るまでオールナイトニッポンほか深夜放送のパーソナリティを務め続けている。現在は毎週月曜日から木曜日深夜24時から放送中のワイド番組『ミューコミ+プラス』を担当中。

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