QREATORS

「アート=芸人なんです」その真意とは?【後編1/2】

2015.6/16

Hakunetu title1200 0528

アートってなんなのか?
3回に渡ってお送りしてきたトークに、ひとつの結論が出た!
(前編はこちらから)
(中編はこちらから)

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いいデザイン→ヒット→消費されるループが大きなジレンマ

――芸術家と社会活動は結びつきの深いものだという印象があるのですが、3人はどう考えますか?

田中 別にいいんじゃないですか。でも、「アートで社会貢献します!」ってあからさまなものは引いてみてしまうかも。

千原 うん。結果的に社会貢献になるというのがいちばんいい形なんだと思います。「社会貢献のためにアートをやろう」という考え方に至ってしまうのは見当違いに感じますね。

田中 でも、子供たちに教えるワークショップとかはすごく共感できる。子供の将来や経験のため、が根底にあるから。あと、チャリティーオークションのようなものもいいと思いますよ。ただ、「デザインで世界を救う」という考え方や思想はよく分からないかなぁ。

千原 アートで社会活動っていう風潮は確かに多いけど、実は僕らが仕事で関わっている広告デザインって、基本的に“消費を促すもの”だと思うんです。以前、中島英樹さんが缶コーヒーのデザインを手掛けて「いいデザインができた!」と思っていたそうなのですが、後から「俺はこんなに捨てられるものを世の中に発信しているのか」って自責の念に駆られたらしい。そこの葛藤ってすごく共感するんですけど、僕らはそれを言い出したら何もできなくなってしまいますよね。

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アートだって売れなアカン!

――でも、それって消費される=売れているということでもありますよね。表現者のなかには、「売りたい、世間に認められたい」という気持ちが強い方もいれば、「貧乏になってでも今やっていることをとにかく突き詰めたい」といった考え方もあるように思います。

千原 でも最終的には、やっぱり売れないと「アート」を続けることもできない。だから、西野さんが言っていた「100万部売る」という気持ちってすごく大事だと思うんです。商業としても成立していないと、ただ「アート」って言っているだけのヤツになる可能性があるから。

西野 ただ言っているだけの人はいっぱいいますからね。

田中 「売れなくてもいい」という考え方でものを作ったらどうなるか、じっくり考えてみたいですね。最近よく思うんですけど、あの有名なピカソが晩年のキュビズムにたどり着くまでに何を考えていたのか推察すると、どうも“売ることを前提にしている”ような気がするんですよね。あくまでも主観ですけど。

西野 「俺は売れなくてもいい」って言うなら、売れてから言いたいですよね。僕もいち表現者として、お笑いの単独ライブで漫才を7本やるとき、6本は絶対笑わすネタを入れるけど、1本くらいは「ホンマにごめん、これだけはやりたい」と押し通して演じるときがある。でもそれが7本続くのはお客さんの不満を生むだけやし、そういうのを放り込むなら、ちゃんとウケるものもないと説得力がないと思うんです。だから、自己満足の延長線上の「売れなくてもいい」という考え方は好きじゃないですね。

千原 そこはいちばん難しいところですよね。友人にレディー・ガガの靴を作っている人がいて、彼は商業的にも大成功しているうえで「売れないとアートって呼べない」と言っているんです。売れるってことが、人の心に届くことだからって。一方で、“お金に走っている感”がないほうが「アート」に見えたりする場合もあるし、結局はブランディングなのかもしれません。

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Interview/Text: 中村拓海
Photo: 三橋 優美子

西野亮廣

にしの・あきひろ/漫才コンビ「キングコング」。絵本作家。1980年、兵庫県出身。芸人として活躍する傍ら、絵本作家や俳優としても才能を発揮。最近では自身が校長となり、さまざまな人をゲストに授業を披露する「サーカス!」を主催し、今年秋にも開催予定。また今夏には個展を、8月1日には日比谷公会堂で独演会を開催予定。

https://twitter.com/nishinoakihiro

田中紫紋

たなか・しもん/映像作家、デザイナー。1979年神奈川県生まれ。 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒。「BABYMETAL」のアートワークやCM、「報道station」をはじめとするテレビ番組の映像制作など、数々のクリエイティブで知られる。

http://qreators.jp/qreator/tanakashimon

千原徹也

ちはら・てつや/アートディレクター、グラフィックデザイナー。1975年、京都府生まれ。京都でデザインをはじめたあと、2004年に上京。11年にデザインオフィス「株式会社れもんらいふ」を設立。広告、装丁、ファッションブランディング、WEBなどデザインのジャンルは多岐にわたる。 主なアートディレクションは、スターバックスのイベント、Zoff SMART、Zoff CLASSIC、菊地凛子web、きゃりーぱみゅぱみゅの振袖デザインなど。また、近年はラジオパーソナリティ、アーティストのMVやCMの監督など、さらに活動の幅を広げている。

http://qreators.jp/qreator/chiharatetsuya

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