いきものがかり水野とCMプランナー福里が参戦。ヒットのつくり方を語ります!【前編1/2】

2015.6/10

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へそ曲がりな僕たちが、それでもヒットを望む理由

世代や性別問わず、趣味嗜好の多様化が進むいま。
ひとつのモノ・コトが大多数の人から支持されることが難しい時代ともいわれています。とはいえ、いつの時代もヒットは求められ続けている……。
そこで、「さとうの勉強会。」第二弾は、BOSS「宇宙人ジョーンズ」、トヨタ自動車「TOYOTOWN」など、これまで1000本以上のテレビCM企画、制作に携わってきたCMプランナーの福里真一さん、幅広い世代に愛される楽曲で知られる3人組音楽ユニット「いきものがかり」でリーダーを務める水野良樹さんをゲストに、「ヒットってどうやったら生まれるの?」を聞きたいと思います。

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学生時代の「のけ者感」の反動が今にいきている?

――本日のテーマは “ヒットの法則” ということで、ヒットを世に送り出し続ける福里真一さん、水野良樹さんにお越しいただきました。

水野 いやいやいや(笑)。ほんと僕、全然ヒット出せてる感覚ないので。

福里 そんなことないでしょう。 いきものがかりじゃないですか。

佐藤 でも、僕は水野が音楽やってるって実感湧かなかった(笑)

――そういえば、水野さんと佐藤さんは大学の同級生なんですよね?

水野 僕はふたつの大学に通ったんですけど、佐藤と知り合ったのは最初に通ってた明治大学にいた頃で、同じクラスだったんです。

佐藤 でも仲いいとかじゃなかったよね。あ〜顔分かるな、くらい。

水野 そうそう、そのとき僕は仮面浪人していて、1年くらいして大学も変わってしまったので。それからはお互い全然接点なかったよね。

佐藤 今では定期的に飲みに行く仲なんですけど、それも偶然再会したのがきっかけ。僕が吉本興業に入った後、イベントにスタッフとして関わってて、そのときにたまたま出演者のTシャツ着た水野がいたんです。「なんで出演者のTシャツ着てるの?」みたいな(笑)

水野 僕も「なんで佐藤がいるんだ?」みたいな(笑)。そこから、近い業界で働いていることもあって意気投合しました。

福里 ちなみに、水野さんが通われたふたつ目の大学というのが一橋大学で、もちろん年代は全然違いますけど、学部も僕と一緒なんですよね。一橋という選択もちょっと変わってますし、その中でもなんで社会学部を選んだんですか?

水野 勝手なイメージだったんですけど、社会学部って世の中を斜めに見てる印象があって、しかも何でもやれそうでおもしろそうだな、と高校生ながらに感じていたんです。それで目指したものの、現役では合格できず……。

福里 なんであんな地味な大学を、わざわざもう一度受験したんですか?(笑)

水野 僕、中学の時野球をやっていて、結構まじめにプロを目指して練習していたけど、部活の先生と喧嘩したことがきっかけで部活を辞めてしまったんです。それが15歳の僕にとっては大きなことだったんですよね。そして、大学受験も落ちちゃって。なんかいろいろ中途半端だな、人生でひとつくらいちゃんと結果を出さなきゃなと思って、もう一回一橋を受験しようと思ったんです。

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福里 でもお話を聞いてると、野球部の先生とぶつかってみたり、斜に構えているから社会学部を選んだり、もともとは喧嘩上等タイプだったりするんですか?(笑)

水野 アハハハ! 全然喧嘩上等じゃないですよ(笑)。僕、すごい暗いというか、友達も少ない人だったので。中学校の時もひとりで弁当食べてたし、高校1年の時は半年間くらい、クラスの誰とも話せなかったし、全然コミュニケーションが取れなかったですから(笑)。なんか、学校って必ず“与党”がいるじゃないですか、バスケ部とかバレー部とか。僕は学校内のメジャーじゃないところにいて、しかもメジャーじゃない人たちの輪にも入れずというタイプの人間でした(笑)。僕、福里さんの著書(『電信柱の陰から見ているタイプの企画術』)を拝読させていただいて、「クラスの喧噪を横から見ていた」と書かれていたところとか、勝手にシンパシーを感じています。

福里 うん、なんか同じですね。僕の大学時代のしゃべらない加減とか、尋常じゃないですよ(笑)。1カ月くらい誰ともしゃべらないみたいなこともざらにありましたから。ひとり言以外に何もしゃべらなかったですから。でも水野さんは今、メジャーな楽曲を手がけられていますよね。それはどういう経緯だったんですか? 音楽はメジャー系がもともと好きだった?

水野 当時の僕って、根暗なのにすごい目立ちたがり屋で(笑)。集団に馴染めない反面、自分を認めて欲しいという欲求は強くて。そのときの自分の武器が何かというと、曲を作ったりギターを弾いたりすることだったので、それを使って見返してやりたいという気持ちが強かった。「音楽で自己表現をして、社会に何かメッセージを残すんだ!」と思ってましたね。

福里 なるほど。やっぱりちょっと喧嘩上等ですね(笑)

水野 ただ、それが途中で変わっていったんです。自己表現するほどのものが自分にはないなという思いと、グループには女の子のボーカルがいて、主張するのは彼女であって、自分が自己表現する場ではないという思いが生まれはじめた。それから、みんなが持っている個人の物語がうまくつながるような曲を書いていったほうが、自分の存在感を発揮できるなと。最初はドロドロした音楽をやりたかったんですけどね(笑)

福里 あまりにもへそ曲がり過ぎて、一周してメジャーな路線にたどり着いた。そういうことでしょうか?(笑)

水野 そうですね(笑)。あと、誰かを疎外する音楽を作りたくないなと思って。中学とか高校の時にロックが好きな子って、自分の言葉を代弁してくれているからロックに共感しているところがあるじゃないですか。僕はそこにも入れなかったんです。なんか、のけ者にされてる人のためにある音楽、みたいな気がして。だから、誰でも入ってもらえる疎外しない音楽を作りたいなと思ったんですよね。

次ページにつづく

Interview/Text: 末吉陽子
Photo: 神藤 剛

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水野良樹

みずの・よしき/3人組音楽ユニット「いきものがかり」のギター&リーダー。メジャーデビュー10年目の幕開けとなる全国ツアー「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2015 〜FUN! FUN! FANFARE!〜」を開催中。30枚目のシングル「あなた」も絶賛発売中。

http://ikimonogakari.com

福里真一

ふくさと・しんいち/CMプランナー、コピーライター、文筆家。1968年生まれ、神奈川県鎌倉市出身。一橋大学社会学部卒業後、92年電通入社。2001年よりワンスカイ所属。これまでに1000本以上のテレビCMを企画・制作。主な仕事に、樹木希林らの富士フイルム「フジカラーのお店」、サントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ」、トヨタ自動車「こども店長」「ReBORN 信長と秀吉」「TOYOTOWN」など多数。著書に『電信柱の陰から見てるタイプの企画術』(宣伝会議)、『困っている人のためのアイデアとプレゼンの本』(日本実業出版社)。月刊『創』に「このすばらしき、ろくでもないCMプランナー」連載中。

http://qreators.jp/qreator/fukusatoshinichi

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