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キンコン西野「打倒ウォルト・ディズニー」を語る【中編1/2】

2015.6/8

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白熱QA教室 アートについて【中編】

前編に引き続きお送りします、ぶちゃけアート論。
さらに盛り上がりを見せた中編、「ディズニーランド」や「スターウォーズ」にまで話が発展していきます!

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プロダクトにではなく「思い出」にお金を払う

――近年はSNSを使って若手からベテランまで、すぐにアーティスティックな表現に携われますし、何でも発信できる時代になっています。3人は「誰に向けて、どう発信する」ことを意識して活動していますか?

西野 僕が最初に絵本を作った時は、「絵本描くタレントとか嫌いやわー」って言っていましたし、自分でそれを発言したからには、絵本作家さんにも勝たなきゃいけないと思っていました。だから、誰に向けてという対象はなかったかもしれないけど「プロに勝つ」という目標でやっていたところはありますね。

ーーいきなりハードル高いですね!

西野 そうなると、勝てる部分って、副業でやっているからこそ、どこまでも制作期間を伸ばせることだけやと思い、0.03mmのボールペンであえて時間がかかるように絵本を描いた。1冊目は4年かけて140ページくらいのものを作りましたね(笑)

千原 でも、それぐらい極端なほうがいいのかもしれない。

田中 とはいえ、そんなに時間かけたら、最初に描いた絵と最後に描いた絵のタッチが変わりませんか?

西野 そう、全然違うんですよ(笑)。でも、逆に1冊でこんなに画風が変わっていくものも珍しいから、それはそれでアリかなって。

――対絵本作家に向けて作ったのが絵本だとすると、個展はどういう目的で開催したんですか?

西野 1冊目は「これは100万部売れる!」って本気で思っていましたけど、3万部しか売れなかった。絵本では結構売れているほうなんですけど、これはダメだと。2冊目は、クリスマスの話をちょうど思いついたので、あざとく売れるようにクリスマス時期に発売設定して(笑)

千原 なるほど。

西野 でも、これがまた2万部しか売れなくて。次第にスタッフなど関わる人が増えていったときに「ここまでやって売れないのはカッコ悪いな」と考えるようになった。でも編集者の方が「今は本が売れない時代だから…」とつぶやいているのを聞いて、「本を本として売らず、『売れたらラッキー』」と考えるようになり、SNSを使って170点くらいある原画を無料でリースしました。手を挙げてくれる人がいれば、中学生からサラリーマンまで、「個展でもなんでも勝手にやってください。その代わり出口で絵本置かせて欲しいです」と条件つきで送ったら、原画展での絵本の売り上げが伸びたんです。原画展に来てくれた方は、お土産として絵本を買ってくれるのに気づいて、本を本として売る方法と、本をグッズとして売る方法があると確信しました。

千原 絵本が「原画展行ってきたよ」っていう証明になるんですね。思い出の品というか。僕も映画のパンフレットとかは結構買っちゃいます。

西野 そう! みんな本に1500円払うのは渋るのに、映画や舞台のパンフレットに1500円払うのはそんな抵抗ないですよね。あんなぺらっぺらなの、本屋に置いてあったら絶対売れないでしょ(笑)。だから、商品っていうより、思い出にお金を払うって感覚なのかなぁと。

田中 ライブの物販が異常に混むのもそういうことなんでしょうね。僕がアートワークを担当している『BABYMETAL』は、会場を一周するくらいの行列ができるのもざら。

西野 すげー!

田中 絵本の場合だと、最終的に手もとに残ったものを見てまた原画展を思い出せますからいいですね。いまもその手法を続けてるんですか?

西野 海外の場合は自分でスタッフを集めて行うんですけど、基本は先ほどの手法を継続してます。個展を一週間でもやれば、絵本が400〜500冊売れるので、半永久的にやりたいなぁと。

田中 でも、そうすることによってキングコングを知らないようなおじいちゃんが原画展に行き、絵本を子どもに買っていくという出来事も起こったりするんですよね。それってすごくいいなぁ。

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Interview/Text: 中村拓海
Photo: 三橋 優美子

西野亮廣

にしの・あきひろ/漫才コンビ「キングコング」。絵本作家。1980年、兵庫県出身。芸人として活躍する傍ら、絵本作家や俳優としても才能を発揮。最近では自身が校長となり、さまざまな人をゲストに授業を披露する「サーカス!」を主催し、今年秋にも開催予定。また今夏には個展を、8月1日には日比谷公会堂で独演会を開催予定。

https://twitter.com/nishinoakihiro

田中紫紋

たなか・しもん/映像作家、デザイナー。1979年神奈川県生まれ。 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒。「BABYMETAL」のアートワークやCM、「報道station」をはじめとするテレビ番組の映像制作など、数々のクリエイティブで知られる。

http://qreators.jp/qreator/tanakashimon

千原徹也

ちはら・てつや/アートディレクター、グラフィックデザイナー。1975年、京都府生まれ。京都でデザインをはじめたあと、2004年に上京。11年にデザインオフィス「株式会社れもんらいふ」を設立。広告、装丁、ファッションブランディング、WEBなどデザインのジャンルは多岐にわたる。 主なアートディレクションは、スターバックスのイベント、Zoff SMART、Zoff CLASSIC、菊地凛子web、きゃりーぱみゅぱみゅの振袖デザインなど。また、近年はラジオパーソナリティ、アーティストのMVやCMの監督など、さらに活動の幅を広げている。

http://qreators.jp/qreator/chiharatetsuya

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