「腸内フローラ研究の最前線」と「自分でできる腸内フローラ改善法」の決定版!

2016.01.27

%e3%82%ab%e3%83%8f%e3%82%99%e3%83%bc %e5%b8%af
腸内環境のスペシャリスト、腸内環境研究者/慶應義塾大学先端生命科学研究所所属の福田真嗣先生が初の著書「おなかの調子がよくなる本」を出版しました。

著書内では、精神的なストレスと腸内環境の関係や、即、役に立つ腸内フローラをよくする食べ物についてなどを分かりやすく解説しています。その中から一部を、特別に「QREATORS.JP」で公開。

141127 ysm0033
———腸はいかに大切かを日本人は経験的に知っていた!

日本には、昔から〝腹〟に関係する言葉がたくさんあります。「腹に落ちる」、「腹黒い」、「腹に一物」など挙げていったらきりがないほどです。これらの言葉の多くは「腹=心」として形容されているのが特徴です。それくらい体の中で「腹=おなか」は重要なところだとされていました。私たち人間にとってとても大切なおなか、つまり腸をコントロールしているのは、そこに棲む微生物、数百から1000種類、数にして100兆個もの腸内細菌です 。彼らは腸の中にびっしりと、まるでお花畑のように生息しているので「腸内フローラ (腸内細菌叢ちょうないさいきんそう)」と呼ばれています。この腸内フローラのバランスによって、私たちは健康を維持できたり、健康を損なったりすることが、経験だけでなく、科学的にもわかってきました。
そこで腸の中の微生物を知り、彼らと仲良く共存することで、体も心も健康になる知恵をご紹介したいと思っています。当然のことですが、おなかの調子がよくないと、健康や生活にさまざまな影響があります。腸のコンディションが悪いと日常生活にどのような影響があるかアンケートを取ってみると、「おなかが張り、おならが出まくり、肌にできものが出る」、「仕事に集中できない」、「気力がなくなる」、「吐き気がして気分が沈む」などのこたえがありました。どうやら腸は体のあちこちと関係し、心ともつながっているようです。たしかに常時おならとげっぷが出たら、もはや仕事どころではないでしょう。21世紀になって、科学的にも、おなかの中、つまり腸の働きの大切さが科学的に証明されるとともに、「腸内フローラ」という言葉を耳にする機会が多くなりました。腸内フローラとは、小腸から大腸にかけて生息している腸内細菌全体の総称です。

141127 ysm0008
———朝、駅のトイレにはなぜ長蛇の列ができているのか?

通勤途中、突然トイレに駆け込みたくなる人が多いのは、都会に住む30〜40代の働く男女に多い過敏性腸症候群が原因だと考えられます。出勤時に限らず、学生ならテストの前、大切なスポーツの試合や発表会の前、社会人なら大事な交渉や会議、プレゼンの前に起こることが多いようです。つまり、過敏性腸症候群は、神経質な人、まじめな人、責任感の強い人であればあるほど悩まされてしまう病気なのです。

141127 ysm0027
———精神的にストレスを抱えている人は腸も悪い?!

「あなたはいま精神的にストレスを抱えていますか?」とアンケートを取り尋ねると、7割の男女がストレスを抱えているという返答でした。2013年に厚生労働省が行った調査(平成25年国民生活基礎調査)でも、30〜39歳の男性の48.6%、女性の59.6%が、40〜49歳の男性の50.3%、女性の59.7%が日常生活での悩みやストレスを抱えていると答えています。つまり過敏性腸症候群、およびその予備軍といえるわけです。

141127 ysm0045
———腸と脳は迷走神経やホルモンで密接な関係にある

もし腸の環境が整っていれば、過敏性腸症候群も緩和されると私は考えています。心に負荷がかかっても、腸はタフに受け止めてくれるはずです。実際、過敏性腸症候群にはストレスが大きく関与しているとされているものの、多くの場合、腸内環境もよくないと考えられます。「脳腸相関」という言葉があるように、腸は脳と密接に関係しており、迷走神経やホルモンで常にやり取りをしているのです。まだ詳細は解明されていませんが、脳がストレスを感じると、腸に伝わり、蠕ぜん 動どう 運動という、腸の内壁がうんちを運ぶために細かく収縮を行う運動が変化します。その結果、下痢や便秘が起きてしまいます。下痢や便秘によって腸内環境が変わると、腸内フローラのバランスも変わり、さらに腸内環境が悪化します。このような悪循環が重なって、下痢や便秘をしやすい体質になってしまうわけです。

141127 ysm0013
———心も体も腸内フローラのバランス次第

ある種の自閉症は腸内フローラの悪化が原因だと言えるかもしれません。腸内細菌たちは、人間の消化酵素の力だけでは消化できない成分を、消化できる状態にまで分解したり、栄養素を作ってくれたり、あるいは逆に毒素など体に悪い物質を出したりと、腸内環境の中でさまざまな活動をしています。
そして、栄養素も、場合によっては毒素も腸から吸収されて血中に移行し、全身をめぐり各臓器に供給されるので、腸内フローラはその宿主である人間の生命活動に大きな影響を与えています。
こういった観点から腸内フローラは、私たちの体のなかの「もう一つの臓器」 といってもいいでしょう。つまり腸内フローラのコンディションは、腸だけにあらず、全身のコンディションに深く関わっているのです。その一つが、脳です。脳と腸は迷走神経でつながっており、またホルモンでもやり取りをしていることから、以前から腸は「第二の脳」とも呼ばれています 。マウス実験での話ですが、腸内フローラの存在が脳機能の活性化につながることもわかっています。

141127 ysm0026
———花粉症・アトピーなどのアレルギーに効果あり

アレルギーと腸内フローラにも密接な関係があります。特定の抗原に対して免疫システムが過剰に反応してしまうのがアレルギーです。免疫システムというのは、外部から体の中に入ろうとする非自己(抗原)を認識して攻撃し、排除することを目的とした仕組みです。病原菌感染やウイルス感染から、私たちの体を守ってくれる仕組みです。
日本人にアレルギーが増えている理由の一つは、生活環境が清潔になっているからと考えられています(これを衛生仮説といいます)。清潔も度を超して、潔癖症のレベルになると、腸内フローラにも影響が出てしまうようです。私は、自宅で食事中に食べものを床に落としても、3秒以内に拾って食べる〝3秒ルール〟を実践しています 。いろいろな細菌を腸内に取り入れることで、多様性の増加を目論む、というなんとも安易な発想ですが、ある種の腸内環境強化術とも言えるかなと個人的には思っています。少しまじめな言い方をすれば、私たちの免疫システムの発達は、腸内フローラによって促されるわけですが、どういった腸内細菌によって促されるかというと、実は「チョイ悪 」くらいの菌であることが少しずつ明らかになっています。
つまりワクチンと一緒で、「チョイ悪」腸内細菌が私たちの体にほんの少し悪さをすることで、私たちの免疫システムが教育され、その後本当に悪いやつがやってきても対応ができるようになるわけです。

141127 ysm0063
———腸内フローラのバランスをよくする食べもの

私たち人間の腸内環境はとてもロバスト。つまり頑健性があります。昨日は焼き肉を食べて、今日はお刺し身を食べて、明日は野菜中心の食事にしたからといって、腸内フローラのバランスや腸内環境自体はそれほど大きくは変わりません。肉も魚も主な栄養素はタンパク質です。タンパク質は、胃で分解され、その分解物の多くは小腸で吸収されるため、大腸まではあまり届きません。大腸まで届くのは、胃や小腸で消化吸収しきれなかった難消化性のものばかりです。
だから、肉を食べても、魚を食べても、大腸に届く内容物はそれほど大きく変わりません。ハンバーガーを食べても、フィッシュバーガーを食べても、もっといえば、ステーキを食べても、寿司を食べても、大腸に届く内容物はそれほど大きくは変わりません。
また、日本に住んでいる限り、お米や、味噌汁や、お漬物などをある程度のサイクルで食べる家庭が多いはずです。そこに肉が加わろうが、魚が加わろうが、さらにバナナやリンゴや、あるいはマンゴーやパパイヤが加わろうが、大腸に届くものががらりと変わってしまうことはないでしょう。腸を健康にする食べものとしてまず取り上げたいのは、わたしが大好きな海藻です。海藻類の魅力は不溶性と水溶性、両方の繊維が含まれていることです。不溶性の食物繊維はうんちをふかふかにします。そして、水分を抱き込む性質があり、うんちの量を増やし、スムーズな排泄を促します。

141127 ysm0012

一方、水溶性の食物繊維は不溶性の食物繊維と同様に人間の消化酵素では分解されづらく、胃を通り、十二指腸や小腸を通り、大腸まで届きます。水溶性の食物繊維はそこで腸内細菌のエサになります。腸内細菌は食物繊維を発酵して、短鎖脂肪酸という体にいい成分をたくさん作ってくれます。これほど体にいい海藻類ですが、好んで食べるのは実は日本人とその他ごく限られた国の人々だけのようです。

知れば知るほど勘違いや思い違い、知らなかった事が多い腸内環境。正しく知っておなかの調子を整えて、健康な毎日を送りましょう!

この記事の話にも出てきた著書の詳細はこちらへ。
「おなかの調子がよくなる本」

このページが気に入ったら「いいね!」

Qreatorsの最新情報をお届けします

福田真嗣

ふくだ・しんじ/腸内環境研究者
2006年明治大学大学院農学研究科を卒業後、独立行政法人理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、2012年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授。2011年にはビフィズス菌による腸管出血性大腸菌O157:H7感染予防の分子機構を世界に先駆けて明らかにし、2013年には腸内細菌が産生する酪酸が制御性T細胞の分化を誘導して大腸炎を抑制することを発見、ともに『Nature』誌に報告。2013年文部科学大臣表彰若手科学者賞、2015年文部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術への顕著な貢献2015(ナイスステップな研究者)」受賞。同年、バイオサイエンスグランプリにてビジネスプラン「便から生み出す健康社会」で最優秀賞を受賞し、株式会社メタジェンを設立。専門は腸内環境システム学、統合オミクス科学。

http://qreators.jp/qreator/fukudashinji

SPECIAL

Top mg 9493

オープンから2カ月!世界最速でミシュランを獲得したレストランプロデューサーの「企画力」

SPECIAL

Shutterstock 325148765

キレイな人はやっていた!肩こりを治せば「小顔」が手に入るという驚きの事実

SPECIAL

Sato title0608

いきものがかり水野とCMプランナー福里が参戦。ヒットのつくり方を語ります!【前編1/2】