QREATORS

障害を持つ子供の代わりを親がすることは出来ない。だからこそ、子供の無限の可能性を広げたい。

2015.12.18

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こころのバリアフリークリエイターの『加藤さくら』、パラリンピック銀メダリストアスリート/NPO法人D-SHiPS32代表『上原大祐』、世界ゆるスポーツ協会代表の『澤田智洋』。“障害”という共通のテーマと向き合いながら活動を続けるクリエイターたちによる対談が実現!三人の対談は思わぬ方向へ向かって行き・・・!?

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親がヘコんでどうする!? 障害を持つ子供の親には、親の役割がある!


——まずはそれぞれの活動を通じて、障害とどう向き合っているか語り合って頂けますか?

加藤:そうですね。私は、筋ジストロフィーっていう障害を持つ娘に対して、最初のうちは「代わってあげたい」と思っていました。でもそれが勘違いだと気づいたんです。娘には娘の人生がある、私もこうして、抱っこしてあげられる身体をもっている。その抱っこする事が、親としての私の役割なわけで、その役割を果たさなければならないと思いました。親が代わろうとするのがお門違いなんですよね。

澤田:自分も視覚障害を持つ息子に対して、代わってあげるじゃないですけど「目を移植できるのかな?」と最初は思っていましたね。でも今は無理というのが分かって、結局無理なモノは無理で、その「代わってあげたい」という思いを、早めに“成仏”させてあげるのが良いかもしれないですよね。

加藤:無理な事はしょうがないから、「次いこう」って感じなのかな。本人が幸せそうに生きているのになんで親がヘコムの?って思っちゃいますね。

澤田:そうですね。世の中の見方も少し変われば、もう少し状況がよくなる気がしますけどね。僕も息子の事を話すたびに毎回「え?」と悲しい顔をされるのが面倒くさいというか。

加藤:うん面倒くさい。同情とか、悲しいリアクションとか、可哀想っていうものよりも、今後役に立つようなアドバイス的なものを貰えたらいいですけどね。

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パラリンピックの日本代表の衣装はスーパーダサい!?


加藤:ちなみに澤田さんのやってる活動ってなんですか?

澤田:僕は『ゆるスポーツ』という色んな人たちが混ざり合って、笑いながらできる新しいスポーツジャンルの取り組みをやっています。他にも『切断ヴィーナスショー』という義足の女性たちがファッションショーのモデルになるイベントとかやっています。先日は、リオパラリンピックを目指す選手たちを中心に、スポーツウェアを取り上げました。

上原:スポーツウェアって言えばさ、パラリンピックの時に着るダウンとか、手袋とかあるんだけど、日本代表のウェアってダサいんだよね。アメリカとか、フランスって超カッコ良いんだよ。

澤田:でもたぶん、それって、日本の体育教育的に“スポーツとは神聖なものである”っていう日本の根強くてややお堅い文化があるからだと思うんだよね。そういうのがあって、あまり衣装とかで遊べないような、見えない圧力のようなものがあるんだとおもうよ。

加藤:誰か主張する人はいないの?「ダサいんですけど」って。

上原:いつも自分は選手の立場として、主張してますよ。衣装だけでもモチベーションにつながるから。

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不満からクリエイト!?当事者たちだからこそわかる世の中の変えたいモノたち!


澤田:スポーツウェアの他に、身の回りのモノや事柄でダサいなーと感じるものってある?

加藤:ハイ!あります!私が感じているのはスタイ(よだれかけ)。私は娘に3歳以上になっても付けさせているんですけど、スタイそのものが、やっぱり乳児用のものがほとんどなんです。今娘が付けているのは、スタイリッシュなつけ襟みたいな、スタイっぽくないスタイなんだけど、やっぱりまだまだ普及してなくって、3歳以上でも使えそうな、赤ちゃん用に見えないスタイが広まって欲しいですね。

澤田:なるほど。すぐプロジェクト開始しましょうよ。単なるオシャレなスタイを作るだけじゃなくて、そのスタイを見るだけで、人の意識が変わるようなメッセージ性を入れたりしても面白そうですね。

上原:あと俺もあります!靴です!今履いている靴もそうなんだけど、俺みたいな生まれつき障害を持ってる車いすの人が履く靴って、小さいから、ビジネスシューズが無くて、高校生が履くようなローファーみたいな靴しか無いんだよ。小さい靴を探そうとすると女性ものしか無くて、今度はヒールがついてしまっている。本当はもっと色々選びたいんだけど。しかも、すぐ脱げてしまうんです。ハイカットのブーツっぽい靴があれば良いんだけど、それもない。非常に困ってます!

澤田:確かにこの間二人で車いすに乗って走ったときに、すぐ脱げることは実感したかも。ヒール履くのもおかしいしね(笑)

上原:レインコートや傘にも言えることなのですが、一番はジャケット!車いすに乗っている人は普通のジャケット着てると、下の部分をタイヤで擦っちゃう事が多いんだよね。他にパラリンピアの立場としては、車いすアスリートの人って、基本的に上半身のガタイが大きくなっちゃうから、ジャケット買うときも、普通の紳士服売り場ではあんまり売っていないんだよね。そう言いだすと、キリが無くなって、オーダーメイドにしないといけなくなっちゃう。

澤田:乗った時に不便は感じたかも。数時間で袖の部分が真っ黒になったりして。袖の部分だけ丈夫なものとかできたらいいね。それをどうメジャー化するか考えないと。

加藤:そうですね。福祉視点で見ちゃうと、機能的ではあるけど、デザイン性は重視されていないものが多い気がしますね。

上原:そうなんですよ。実用性重視過ぎるんだよ、福祉機器って。そこにオシャレ要素が入ってくるだけで、福祉そのものの概念が変わってくると思うんだよね。本来実用的なメガネだったのが、敢えて、度を入れないダテメガネとして概念を覆したように、自分たちが使う車いすを、オシャレに“ダテ車いす”みたいなモノとか出ても良いと思うし。

澤田:視覚障害者や聴覚障害者に色々と話を訊くと、個々に細かいニーズがいっぱいあって、それらにこと細かく対応できるような仕組みがないかな、と考えています。最近では障害者起点で、モノやサービスを作って、それが引いては皆の役に立つ「インクルーシブデザイン」なものもできつつあって、それは良い流れなんだけど、逆視点に考えて、“あなたに役に立つ”ような“Made For You”のようなものがいっぱいあっても良いと思いますね。個別最適なシステムを考えたいですね。

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三人のクリエーターの対談から「ブランド」が立ち上がる!?


上原:オシャレにしても何にしても基本的に身に着けるもので生活の幅が狭まってしまうものは多いんだよね。靴、ジャケット、ズボン、リュック、傘…その他色々だけど、選択肢が無いんだよ。無いからこそ見つけづらい、どこに売っているか分からないという流れが多いかな。

加藤:それに関して思いついた事があります。私の長女がデザイナーになりたいと言っていた時期があって、それは周りにオシャレなモノがあるからデザイナーになりたいという夢が見られるんだけど、障害を持つ子供達って、見に付けるモノとか身の周りのモノは、まずオシャレなモノが無いから、デザイナーになりたいっている発想すら生まれないのかなと思いました。

澤田:僕はどうしても仕組みを考えちゃうんですけど、ひとりの障害者のために作る“Made For You”のシステムって、たったひとりの為に周りが投資するような仕組みがあるといいですよね。クラウドファンディングも僕はなかなか支援したいプロジェクトが無いんだけど、二人の「スタイ」とか「ジャケット」の話を聞いてると、その発想で考えると触手がうごきますね。

上原:俺の周りでも特に女性なんだけど、車いすの人が付ける手袋のニーズが凄い高いんだよね。雨の日とか、車いすだと手袋がすぐ濡れてしまう。だから濡れないゴム製の手袋を付けるんだけど、オシャレじゃないから、女性は中々抵抗があるんだよね。「そういう可愛い手袋あったら教えてください」って言われて探しているんだけど中々無いんだよ。

澤田:だったらこっちでプロジェクト立ち上げて、ブランドを作っちゃいましょうか。 今の服がダサいと思ったり、もっとオシャレなモノが欲しいと感じるんだったら、僕達三人でプロジェクト立ち上げて“Made For You”なブランドを2016年作って行こうよ。この対談は、対談で終わらせるんじゃなくて、プロジェクトを始める意味があるものにしていきたいね。

上原:確かに対談って、そこで話して終わりが多いけど、今回のはそうではなくて、続けていきたいよね。

澤田:それこそQAにいるクリエイターさんと協力していろんな企画が出来る気がするよね。なんだろうね。僕ら三人で「有言実行部」を立ち上げるみたいな?

加藤:「有言実行部」イイですね!有言実行部が立ち上げたブランドの第一弾として、「スタイ」で…(笑)。

澤田・上原:スタイで!(笑)




“障害”という共通項で結ばれている三人の対談。何かしらの課題や問題点、日ごろの不便さに直面している。その立場から、課題解決の為には可及的速やかに行動しなければならない。その発想から行動までのスピードが活動の名前に「有言実行」が付いている。今後の有言実行部の話から飛び出す発想やアイデアは、世の中を一変させるものが生まれる要素になるのかもしれない。今後の有言実行部に注目である。

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Interview/Text: 吉原博史
Photo: 森弘 克彦

加藤さくら

かとう・さくら/こころのバリアフリークリエイター
親業インストラクター。心理カウンセラー。「Mom time to live your life 81」主宰。英会話スクールで営業、クライアントケア、エリアマネージャーを務めたのち、日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラーを取得。2007 年、結婚、長女出産、2010年に次女出産後、親業訓練協会認定インストラクターになる。次女、真心の筋ジストロフィーという難病に向き合いながら、笑顔 で前を向いて生きている姿は、ドキュメンタリー映画「えがおのローソク」として、全国各地で自主上映され、老若男女問わず多くの人たちに「えがおは宝物」 であることを発信し続けている。
2015年8月に初の著書『えがおの宝物~進行する病気の娘に教わる「人生で一番大切なこと」~』(光文社)を刊行。

◆加藤さくらHP「SAKURA KOTO@home」
http://www.sakurakato.com/
◆ドキュメンタリー映画「えがおのローソク」HP
http://www.egaonorosoku.com/

http://qreators.jp/qreator/katousakura

上原大祐

うえはら・だいすけ/社会起業家/パラリンピック銀メダリストアスリート/NPO法人D-SHiPS32代表
1981年、長野県出身。生まれながらに二分脊椎という障害を持ちながら、そのバイタリティと明るさでリーダーシップを発揮してきた。19歳で出会ったアイススレッジホッケーに熱中。2006年トリノパラリンピック日本代表として選出され、日本人選手最多のゴールを決めた。10年のバンクーバーパラリンピックでは、準決勝のカナダ戦で決勝ゴールを決め、銀メダル獲得に貢献。現在はアスリートとして、会社員として、そしてNPO法人「D-SHiPS32」の代表として多方面で活躍する。

http://qreators.jp/qreator/ueharadaisuke

澤田智洋

さわだ・ともひろ/世界ゆるスポーツ協会代表/福祉クリエイター
1981年生まれ。幼少期をパリ、シカゴ、ロンドンで過ごした後17歳の時に帰国。2004年広告代理店入社。映画『ダークナイト・ライジング』の「伝説が、壮絶に、終わる。」等のコピーを手掛けながら、多岐に渡るビジネスをプロデュースしている。世界ゆるスポーツ協会代表。義足女性のファッションショー「切断ヴィーナスショー」プロデューサー。高知県の「高知家」コンセプター。日本ブラインドサッカー協会のコミュケーションプランナー。口説き文句研究家。漫画「キメゾー」連載中。著書「ダメ社員でもいいじゃない。」

http://qreators.jp/qreator/sawadatomohiro

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