世界中が敵になっても、最愛の人の理解があればいい。だって、昆虫はワクワクするから。昆虫食・篠原祐太が本音を初告白

2016.7.20

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2013年にFAO(国際連合食料農業機関)が発表した『昆虫の食料保障』と同時期に、幼少期から昆虫を食べてきたことをカミングアウトし、昆虫食の魅力を伝える活動に邁進する篠原祐太が、その時と現在の想いにギャップがあったことを初告白。その真意とは・・・

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世界の食糧危機が篠原に与えた追い風。


———過去と現在で自身の想いに、どんなギャップがあったのですか?

篠原:そうですね。昆虫食について、昆虫食について、これまでFAOのレポートや食糧問題にも言及してきたのですが、あのころの自分は非常に弱かったなと今になって思いまして。

———弱かったとは?

篠原:はい。FAOのレポートなどが発表された当時、自分と共感しあえる人が世界にいるんだと思い、すごくうれしかったんです。(中略)でも、まだあの頃は昆虫を食べることに対して、確固たる自信が持てていなかったんだと思います。そういった意味で弱かったと思いまして。最初はもちろんFAOのレポートに励まされ、それを皮切りに昆虫食を掲げて活動し始めたのですが、やっていくうちに自分の方向性が変わってきているなと感じました。

———方向性とは?

篠原:ただ純粋に、昆虫食は魅力に溢れていてものすごくワクワクするものなんだということを伝えたかったのに、食糧問題などの話になり、どんどんスケールが大きくなっていきました。そうしているうちにいつの間にか、僕の想いと言っていることに乖離が生じてきていることに気づきました。あのときの自分は、昆虫食が世界の食糧難の切り札的になることを大義名分に、発信することで自分が昆虫を食べるということを肯定していたと思うんですね。そうでもしないと、 自分の存在や考えに自信を持てなかったんです。誹謗中傷も少なくなかったですし。でも今は胸を張って、昆虫食の素晴らしさについて正直に話すことができるようになりました。

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昆虫食に共感してくれる。最愛の女性との出逢い。今は2人プラス数万匹で同棲中


———自身の思う方向性に発信を変えられたきっかけとかあったのですか?

篠原:そうですね。 ありました。以前、虫や珍獣を含むありとあらゆる生き物を具材として扱った鍋を振る舞う『闇鍋イベント』を行ったのですが、その時のことをツイッターでつぶやいたんです。そのツイートに関して、『食べ物を粗末にするな』とか『ふざけている』などの否定的なコメントを多数いただきました。その反面、自分の思っていたことに共感してくれた人からのコメントもいただきました。この時に自分のことをわかってくれる人がいるんだなと思ったんですね。特にその中の1人は「全ての生き物に壁を作ってないことに共感した」というメッセージをいただき、会いに来てくれました。そして、話していくうちに一番の理解者というか、かけがえのない存在になっていきましたね。その方が、現在お付き合いしている彼女になります。彼女が僕のパートナーとして、心の奥でつながっているという安心感からすべてさらけ出し、正直に話せる心を与えてくれましたね。

———パートナーの存在がきっかけになったのですね。

篠原:はい。知り合った当初、彼女は別の地域に住んでいて、学生だったのですが、この3月に学校を卒業してこっちに引っ越してきて、今では一緒に暮らしています。 彼女は、全ての生き物に壁を作らずに接することの出来る素敵な方で、自分の気持ちをこんなにも理解してくれる人がいるんだなと思いましたね。現在は、彼女と、数千匹の生き物たちとともに同棲しています(笑)。とても料理も上手な人で、昆虫採集はもちろん、新しい虫料理の開発も積極的に手伝ってくれています。大げさな話になりますが、そんな彼女が自分をわかってくれていれば、他の人に理解されなくてもいいかと吹っ切れまして、自分の伝えたいことを正直に、正々堂々と話すようにしようと思いました。

———正直になって、何か変わりましたか?

篠原:気持ちが楽になりましたね。自分の思っていたことをストレートに伝えることができるようになったので。僕は、第一に食糧問題解決のために動いているわけではなく、昆虫食は忌み嫌われているけれど、美味しいし楽しいしワクワクする、魅力に溢れたものである、と伝えたいだけなんだと。変な大義名分なく話せるようになったのは彼女の存在が、やはり大きいですね。

———それを話すことによって、今後の活動は何か変わったりするのですか?

篠原:いえ。世の中の人に、昆虫は美味しいんだよということを伝えたい気持ちは変わらないので、活動が何か変わるかと言われれば変わらないと思います。ただ、自分の発信の仕方が変わるくらいでしょうか。昆虫たちは決して多くの人が敬遠するようなものではないということを素直に伝えるだけですね。

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ただ素直に美味しいものを伝えるということ。


———新たな気持ちになって、これから『昆虫食』について発信していきますか?

篠原:そうですね。昆虫というものが、しっかりと食材として認知されるように、少しずつでもいいので広めていきたいですね。(鞄の中から袋を取りだし)これは海外から取り寄せたものなのですが、コオロギを乾燥させたものになります。実際に出汁が取れたりして美味しいんですよ。(タガメの入ったパックを取りだし)このように、食用のタガメも販売していたりします。よければ匂ってみてください。梨のようなフルーティーな香りがするんですよ。

———(匂いを嗅がせてもらい)確かに梨のような香りがする。味はどうなんですか?

篠原:美味しいですよ! 昆虫の中でも食べやすいほうの部類に入ると思いますね。よくテレビ番組でタガメを食べて、マズイと言ったリアクションをしていますが、美味しくないということはないと思いますよ。もし、本当に美味しくないのであれば、よっぽど鮮度が落ちていたり、傷んでいるのではないかと思います。まぁ、視聴者に楽しく見てもらうためにオーバーなリアクションを取っているのではないでしょうか。

———そういったリアクションにカチンときたりすることはありますか?

篠原:昔は思ったこともありましたが、今はしないですね。芸人さんやタレントさんもお仕事ですし、仕方がないと割り切っています。僕は、この昆虫が美味しく食べられて、食材なんだということを伝えればよいのだと思っています。でも、昆虫に抵抗がある人が、僕のSNSの画像を見て不快に感じる人もいることは確かです。なので、そういった方にもしっかりと配慮しながら発信するということを模索しています。

———今後の活動の抱負はありますか?

篠原:そうですね。生きていく上で食べるという行為は必要不可欠ですが、食事ってもっと楽しいものだと思うんですよね。なんとなく、時間が来たからご飯を食べるという流れ作業のようなものではなく、ワクワクするし好奇心も満たしてくれる。そして、何より幸せを感じられる。その楽しさや面白さを、昆虫食という手段を通じて、表現していきたいです。食べるということは命をいただくということだと思っているので、同じ命をいただくという意味ではほかの生き物の肉を食べるのと同じではないかと思っています。

最後に

篠原さんと話していて、『生命』というものに大きさはないと諭された気がした。また、自分が美味しいと表現しているものを否定するような演出にも寛大で、若いのにとても懐の深い考えを持っていた。しかし、この『昆虫食』というものが、一般的に普及したとき、『ラーメンに虫が入っている』や『虫を食べる罰ゲーム』と言ったものが通用しなくなる時でもあり、これは一種の革命に近いものになるのではないかと思った。篠原さんの進める『昆虫食』について、今後の動向に目が離せない。

Interview/Text: まつじゅん。
Photo: 森弘克彦、shutterstock

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篠原祐太

しのはら・ゆうた/地球少年
1994年地球生まれ、21歳。慶應義塾大学在学中。地球の自然や生き物を心から愛する。現在は、数千匹の生き物と同棲する傍ら、昆虫食の魅力や可能性を伝える活動に奮闘中。多様な虫料理企画の主催から、虫料理のケータリング、記事執筆、イベント登壇、世界初の虫ラーメン販売や虫を使ったフレンチ料理などと幅広く手掛けメディア出演も多数。赤坂サカスでの虫ラーメン販売は、2日で600杯を完売、大きな話題を呼んだ。衣食住の再構築と自分自身の探求がテーマ。地球を感じながら全力でいきていきたい。

篠原裕太公式HP
篠原裕太公式FB
篠原裕太公式twitter

http://qreators.jp/qreator/shinoharayuta

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