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これまでに1万回以上参拝をしてきた「神社学」教授・中村真が語る「神社の楽しみ方」

2015.12.31

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日本にはコンビニより神社の数の方が多いって知ってますか?

近年「パワースポット」として注目され、山ガール、釣りガールに続き「御朱印ガール」なども登場するほど神社ブームが過熱している。しかしそんな神社ブームが来るはるか以前より、神社に注目し愛し続けてきた人物がいる。それが尾道自由大学校長にして、自ら「神社学」の講義を行う中村真氏だ。神社ブームの要因、参拝の際の心構え等々、近くにありながら、みんなが意外と知らない神社の魅力について語っていただいた。

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神社の名前も知らないで毎日参道を掃除していたおばあちゃんが神社の魅力に気づかせてくれた


———そもそもなぜ、中村さんは神社に興味を持ったんですか?

海外を旅した事がきっかけです。海外の神様と日本の神様の概念は違うなと感じて、日本自体に興味を持ち始めたんですね。それで日本といえば温泉だろうという事で、最初は秘湯巡りばかりしていた。
そんなある時、長野県の山奥にある、家が10数件しかないような限界集落を訪れたら、神社が3つも4つもあったんです。なんでこんな限界集落に神社がたくさんあるんだ?と気になって、参道を掃除しているおばあちゃんなら何か知ってるかもと「このお社の名前を教えてください」と声をかけたんです。そしたらおばあちゃん「名前なんて知らない」って言うんです(笑)

ただ詳しく話を聞いていくと、「生まれた時から自分の母や祖母も毎朝ここを掃除することから1日が始まっていて、ここにいるお宮さんの神様が私たちの集落を守ってくれているから、私たちは今日も幸せでいられる」とおっしゃったんです。
つまり、おばあちゃんは神社の名前には興味がないように神道という宗教には興味がない。そこにあったのは「神様がいて神様に守られている日々の暮らし」という事実だけ。
これが日本人の信仰だという核心に触れた時に、「神社ヤベー、かっこいい!」って一気に心惹かれましたね。

———神社はかっこいい!?

それにね、色々話しましたけど、頭で考えて「ああ、いい考え方だなあ」というのは後付けで、純粋に神社ってすごい格好いいんですよ!
僕は山によく登るんですけど、すごく辛い思いして山に登ったところで誰も来ないだろうという岩場をくぐると「バーン」と神社が現れる。これ街中にあるどんな人工的なビルよりすごい格好いい!あのセンスは半端ないですよ。

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神社を好きになった20年前、親や友人に心配された!


神社・神道は明治以前はずっと良い信仰とされてきて、明治で一度切られ、そして第二次世界大戦でもう一度分断される。さらに戦後教育で神道が宗教にされてしまってからは、この辺の話は日本人の話としては持ち出されなくなった。
だから、宗教の勉強をすれば全て出てくる。でも宗教として抑え込められたから、普通の人は近寄らなくなった。

実は戦前までの教科書には神話が載っているんですよ。それくらい神社・神道はメジャーな事だったんです。
でも第二次世界大戦は宗教のせいで戦争に入っていったという教育を受けている。だから宗教である神道は教えていけないという風潮があったんです。このような話ができるようになったのはここ20年くらいで、それ以前はタブーな話だった。私が神社を好きになった20年前は親や友人に心配されたくらいですから(笑)。
でもその時に、みんながここまでナイーブになるなら何かあるなと思ったんです。

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近年の神社ブームは神様が起こしたものだった!?


———近年の神社ブームはなぜ起こっていると考えてますか?

客観的に見ると2013年に伊勢神宮の「式年遷宮」があったことが大きいと思います。
「式年遷宮」というのは20年に一回、社殿の内宮と外宮の2つの正殿、14の別宮のすべての社殿を造り替え遷す、昔でいうところの国家プロジェクトなんですね。
そこに、ここ十年来続くスピリチュアル・ブームが影響した、という流れでしょうか。さらに、2012年は古事記編纂1300年に当たります。神社や神道も根っこを辿れば、古事記や日本書記に記された神話から始まっていますから、これも関連してると思います。

ただ本来であればそれだけだったはずなんですが、ここに出雲大社の60年に1回の大遷宮も重なるタイミングとなった。
面白いのが20年と60年であれば60年に一回は「式年遷宮」と「大遷宮」は重なるはずだろう?と思われがちなんですが、実は有史以来はじめてのことなんです。
なぜかというと出雲大社のほうは修繕工事なので60年に1回は目安なんです。社殿や神様の状況によって数年ずらして行われていたりした。そういった事情で今まで重ならなかったのが2013年で初めて重なった。

この出来事を神々の融合が行われた年として表現する人もいます。
伊勢神宮の神・天津神(あまつかみ)と出雲大社の神・国津神(くにつかみ)は神の系統的に常に相反してきたのですが、八百万(やおよろず)の精神で「一つになろうよ」としたのではないかとね。こういった2012~13年と神事に関わる大きな出来事が続いたことが、すごい盛り上がりを生んだ要因でしょうか。

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おすすめの神社や参拝でまわったほうが良い所は?


———おすすめの神社はありますか?

自分の家の近くに神社があったりしますよね?
そういう神社には必ず元々の神社があります。例えば東京の赤坂に日枝神社がありますが、あれは日吉大社(滋賀県大津市)が本宮(※神霊を他に分けて祭ったもとの神社の事を指す)なんです。そこの御霊を分けてこちらに持ってきている。明治神宮だったら神宮というくくりで言うところのお伊勢さん(伊勢神宮)とかね。
そういう元の神社がわかるところだったら、せっかくなのでそこまで足を運ぶのも本質的なお参りになるんじゃないかな。

———参拝の仕方でおすすめはありますか?

神社には奥宮があるところがあります。
例えば宇佐八幡神宮に行くと観光客がいっぱいいますが、実は4キロほど離れた御許山(おもとやま)の頂上にある御許神社が宇佐神宮の原点の神社で奥宮なんですよ。
ただ、奥すぎるから行けない人たちのために里宮というのが開かれました。それはそれでいいのですが、だからといって奥を忘れるのは寂しい。奥宮ある神社だったら是非ともそこまで行ったほうが参拝に深みは出る。
出雲大社や伊勢神宮など歴史の古い神社なら、大抵は奥宮がありますよ。

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神様がいると思っているとポジティブになれる!

「神社」という言葉を知らない人はいないと思う。ただ、詳しく知っている人が少ないだけ。神社への思いや知識が繋がっていくという現象が日本人や、日本で暮らしている人なら絶対ある。これがブームにつながっている気はします。
神様なんていないという人にとっては、絶対神様はいません。
しかし、神様がいると思っている人にとったら毎日の日々の出来事を、良いことも悪いこともメッセージと捉えているうちに基本的にポジティブになっていくんです。
ずっとポジティブでいると、いい事が起こりやすいし、これが神様のおかげだとかお天道様のおかげだと思うようになるんです。



静かに理路整然とした語り口で神社について語ってくれた中村氏。しかしながらその胸の内には神社への熱い愛情が込められているのが伝わってきた。私たちの生活の中に普段何気なく近くに存在しながらもいまいちわかっていなかった神社の魅力。中村氏の話を聞いていると、もっともっと神社の事を知りたくなってくるから不思議だ。
ということで中村氏にさらに詳しく「目からウロコの神社学」についてお伺いした様子は後半で!

Interview/Text: 飛田周平

中村真

なかむら・まこと/イマジン株式会社代表取締役/尾道自由大学校長 「神社学」教授
1972年東京生まれ。雑誌『ecocolo』や書籍『JINJABOOK』などを発行する出版社の代表を務め、現在はイマジン株式会社代表として「Five Sence Project」を展開し、五感に響く出版、イベント、広告などのプランニングや、社会貢献プログラムなど様々なメディア活動を展開中。また2013年より広島県尾道市に「尾道自由大学」を開校し、校長に就任。学生時代より世界を旅し、外から見ることで日本の魅力に改めて気づき、温泉と神社を巡る日本一周を3度実行。神社をこよなく愛する日本男児。登拝と献笛を生きがいとする。

http://qreators.jp/qreator/nakamuramakoto

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