たった数分でアナタの人生を好転させる。TVプロデューサー角田陽一郎式発想術——前編

2015.01.18

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2015年12月に法政大学の学生に向けて行われた特別講義で、「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」など、TBSで数々の人気番組を手がけたTVプロデューサー角田陽一郎が、セルフプロデュース術から企画立案まで、就職や学業で知っておいて損はない情報を特別講義で大公開。その様子に迫ります。

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学生と社会人の違いを知ることでこれからの学生生活の質が大きく変わる!


TBSテレビで「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」などのバラエティ番組を制作していました。現在は、いとうせいこう・ユースケサンタマリアがMCの深夜番組「オトナの!」を制作しています。せっかくお時間を頂いて、大学生の前で話す機会を頂いたので、知っておけば就職や学業に役立つかもしれない話をしたいなと思います。まずは、学生と社会人の違いについて話します。

学生の場合、問題を出されて、それをいかに効率的に答えるかを考えていればいいと思うのですが、社会人の場合は、問題を出してくれる人はいません。という事は、自分で問題を見つけて解決策を考える。これが『企画』というものになります。

テレビ局の場合、視聴率でCMを売るビジネスモデルなのですが、たとえば、スポンサーさんに視聴率100%分を1億円で買ってもらったとしましょう。僕らがこの1億円をいただくには、視聴率20%の番組を作っていれば、5本分の番組にCMを流せばよいのですが、これが10%の番組だった場合、10本分の番組にCMを流さないといけない。でも、1日は24時間で番組の本数も決まっている。つまり視聴率を上げることは、CMの売り場面積を広げることなのです。僕たちはCMの売り場面積を広げるためにどうやれば視聴率が上げられるのかという問題を自分で作って、その解答を日夜考えるわけです。このように、自分で問題を見つけ、自分で解決策を考える作業が発生するという事が社会人なんですね。だから皆さんは今まで出された問題を効率的に解いて、点数が取れたから合格、取れなかったから不合格という世界で生きていますが、それは学生までで、社会人になるとそういったものはほとんどなくなります。

社会や会社が要求するものを満たすために、それを解決するための問題を自分で作成する能力が求められるのが社会人という事です。

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おもしろい企画を生み出す方法はたったの2つしかない。

私はさんまのスーパーからくりテレビを作っていた時に、『ご長寿早押しクイズ』というコーナーがありました。ただ面白いお年寄りがいて、出演していただいてもあまり面白くないわけで、それは企画ではありません。 ご長寿の方の面白い部分を使わないといけないなと思うわけです。それをどういう風に僕たちは考えるかというと、『組み合わせ』を考えるわけです。お年寄りの場合、動きがゆっくりじゃないですか。機敏な動きはできないですよね。そんなお年寄りが早押しクイズをやるとどうなるか?という「ご長寿×早押し」・・・こうした組み合わせが企画なんですよ。

たとえば、皆さんが日々取り組んでいる学業でもテレビでも同じですが、称賛を受けるものは新しいものなんですね。実はこの新しいものは2種類に分かれます。まずは本当に新しいもの。これはビートルズだったり、ES細胞だったり、Facebookを作ったザッカ―バーグのように、本当に新しいものを世に出せば、皆に支持され大成功を収められるかもしれません。でも、新しいことを見つけるなんてことはそうそうできません。それができるのが天才だと思うのですが、ではそんな天才じゃない凡人の僕らがどうするかというと、組み合わせを使うんです。●●が××をするという新しさを作るんですね。音楽もそうですよね。ドレミファソラシドしかないけれど、世の中に新曲がジャンジャンいろいろと出ていますよね。これは基本のメロディーにどういうアレンジをするかという組み合わせで新しい曲というものが生まれているんですね。

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一言多いとモテない。ただし、二言多いとモテる。

これは僕の経験談です。僕には妹がいるのですが、子どもの頃からぼくは結構口が立つ方なので(笑)、よく妹を泣かせることがありました。その時に、父親から『お前は一言多いなぁ。二言多ければ落語家になれるのに。』と言われたんですね。最初は何を言っているんだと思いました。それが社会人になって、さんまさんと仕事をしたときに、『あっ!』って思ったんですね。さんまさんって、二言が多いんですよ。たとえば、ゲストのアイドルたちを相手にめちゃめちゃイジるとするじゃないですか。でもそのあと、『そんなにかわいいのに!』とか言いません?それまでめちゃめちゃイジってて、ボロカスに言っていたとしても、最後の『そんなにかわいいのに』でチャラになるんですよね。それが二言目なんだとわかったんですよ。ツイッターなんかでも、誰かがちょっと過激な発言をすると、すぐ炎上しますよね。ツイッターは140文字という制限の中でやっているものなので、一言で埋まってしまって二言目が言えないんですよ。だからすぐ批判が来るんですね。でも、一言文句を言うのはとても簡単な事なんですよ。何も組み合わせられていないから。つまらないと思ったことに、批判することが知性と勘違いされているんですよ。つまらなかったことに、二言目の何かを組み合わせてみることで面白くすることが本当の知性ではないかと思うんですね。

たとえばテレビ局の採用試験を受けたとします。その時の質問で、「うちの番組を見てどう思いますか?」って聞かれるわけですよ。普通は、無難な批評までしか言わないか、「面白いと思います。」といったおべっかみたいな一言目しか言わないと思うんですよ。そんな人は面白くないですよね。二言目がある人は、これだから面白くないとか、さんざん文句を言った後にさらっと「でも●●の部分は面白いですよね。」と二言目を組み合わせることで、「ほう、なぜですか?」と面接する側もその理由を聞きたくなりますし、「あなたの観点は面白いですね。」という評価につながる可能性が広がります。だから、つまらないものはなぜつまらないかを分析して、組み合わせ+二言目を付け加えるという行為を、学生時代の今から考えることができたら、これから先、異性にもモテるでしょうし、勉強にしても、就職にしてもきっといい人生が送れるのではないかと思います。

このように講義の序盤から、テレビのことや就職活動のことに触れながら学生の心をつかみ、企画や面白いということについてわかりやすく伝える角田の講義は進められていくのだった。

———後編へつづく。

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Interview/Text: 松下純

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角田陽一郎

かくた・よういちろう/バラエティープロデューサー・TBS「オトナの!」プロデューサー
TBSテレビ メディアビジネス局スマートイノベーション推進部兼制作局制作一部所属。1970年千葉県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業後、1994年にTBSにテレビに入社。TVプロデューサー、ディレクターとして「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」など、主にバラエティ番組の企画制作をしながら、映画『げんげ』監督、「ACC CMフェスティバル」インタラクティブ部門審査員、その他多種多様なメディアビジネスをプロデュース。現在は、いとうせいこうとユースケ・サンタマリアがMCを務めるオトナのためのトーク番組「オトナの!」を担当している。成功の神はネガティブな狩人に降臨する――バラエティ的企画術に続く、新作著書「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史が絶賛発売中の他、水道橋博士が編集長を務める有料メールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』で「オトナの!キャスティング日記」を好評連載中。

http://qreators.jp/qreator/kakutayoichiro

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