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ブームはまだこれから?著名人も巻き込む「人狼ゲーム」の人気の秘密に迫る!後編

2015.11.29

Jinro top2

(前編の記事はこちら)

後半は事前に頂いた安藤氏、勝間氏、堀江氏の人狼に関するアンケート内容にも触れながら、人狼をやりこんだ児玉健イシイジロウさんのお二人だからわかる人狼の魅力や、人狼ゲームの広がりを支える考え方、更に愛好者を増やすために必要だと思うことなどを伺った。

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人狼ゲームの広がりを支えるのは「大乗人狼」の思想?

――前編では初心者でも感じられる人狼ゲームの魅力についてうかがいましたが、やりこんだからこそ感じられる魅力というものはありますか?

イシイ これだけやっても「人狼ってこういうもの」と完全にわからない、回答が見つからないのが楽しいんですよ。

児玉 それはほんとに思います。何度やってもあり得ないことが起きるんですね。考えられる選択肢をすべて予想して正解を選んだはずなのに、実は思いもしなかった選択肢がありそれが真実だった!というようなことが起こるんです。習熟したプレイヤーたちはいろんなことを試すので、ボクシングでいえばパンチの応酬のよう。
そうやってみんながいっぱいやる中から、まるで1点差のバスケットボールの試合でゲームセット直前に放たれたシュートが決まるような、そんな奇跡のプレイとしか言いようがないすごいことも起こるんです。そういう時はどっちが勝ったとかどうでもいいし、そんなプレイが見られただけで楽しいですよね。

イシイ 舞台「人狼 ザ・ライブプレイングシアター」(TLPT)やアルティメット人狼のような、見ている人を楽しませる人狼はまさにそれだと思います。

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――アンケートでは「人狼が強い人」について推理力がある人、無邪気な人などの回答が上がっていますが、人狼が強いとはどんな人だと思いますか?

児玉 まず人狼が「強い」という時に、その「強い」は将棋などの強さとは絶対的に違います。僕と将棋のプロが対戦したとして、100回指せば僕は必ず100回負けますが、人狼は勝率という面ではやりこんでいる僕が初心者より必ず高いかといえばそういうわけではないんですよ。

イシイ そうですね。多少高いとは思いますが、平均値より少し上ぐらいのものだと思います。

児玉 ですから「人狼が強い」というのは少し違和感があって、「人狼が強い人とは?」という質問に答えるのはすごく難しいですね。
けれど「人狼が上手い人とは?」なら、それは一緒にプレイする周りを楽しませることができる人だと思います。立ち回りに近くなりますが、たとえ騙されても素直に「すごい!気づかなかった!」と思わせてくれる人。
例えばどんな小さなことでも推理に結びつけるとか、直感型と推理型を自由に切り替えながら誰にも考え付かないようなことをして「ああ、こういう戦い方をしてもいいんだ!」と周りに伝えられるとか。こう言う人とは、もう一度一緒にプレイしたいと思いますね。

イシイ 今すごく変な言葉を思いついたんですが、同じ「人狼」というゲームをプレイするにしても、自分を楽しませるための「小乗人狼」と、みんなを楽しませるための「大乗人狼」の2つがあると思います。
本来ゲームというのは自分が勝つかどうかにこだわるものであり、勝ちたいと思って行うものです。けれど人狼のような言葉を使うゲームは、一歩間違えるとケンカやイジメになってしまう可能性だってある。
児玉さんはその危険をよく分かった上で、「大乗人狼」の文化を作ろうとしているんですね。その意識はお客さんにも共有されていて、そういう「人狼の上手い人」が増えていき、そんな人狼をプレイできる空間がたくさんできれば人狼人口はすごく増えるんじゃないかと思います。

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「あの人の人狼ゲームを見てみたい」ニーズ

イシイ 朝まで生テレビみたいなものでよくディベートがありますが、あれは勝ち負けが決まらないじゃないですか。あの人たちが人狼をやるとどうなるか、「どっちが頭がいいの?」とか「どっちが口がうまいの?」とか注目する人もたくさんいると思うので、そういう可能性は感じていますね。
同様に「堀江さんや勝間さんが人狼をやったら上手いの?」と気になる人はいっぱいいると思いますし、お二人とは一緒にプレイさせていただいて、とてもワクワクしました。政治家の方とかの人狼は見るのも、一緒にプレイするのも面白いと思います。

児玉 どんな人のやる人狼ゲームが見たいかということになると、僕らはどうしても世の中の人が見たらおもしろいと思うだろうなという人を考えちゃいますね。誰と一緒にゲームをしたいかなら僕は誰でも、初めての人ともお客さんとも1人でも多くの人とやっていきたいと思っています。
毎回本気でやりますし、対決した時にどうしようと考えるのも好きだし、積極的にぶつかりあうのも楽しいですよ。見せる人狼という点で考えるなら、注目したいのは肩書きですね。例えば世間では「政治家=言葉がうまい」というイメージがある中、どんな人狼になるのか。

イシイ 大阪維新の会の橋本徹さんとかは抜群におもしろそうですよね。日本トップクラスの弁が立つ人というか。

児玉 しっかり人狼を教えてちゃんと練習した上でやればすごくおもしろいものができると思うので、見せる人狼の方もいろいろな人とやってみたいです。
例えばトップのホストやホステス、ママが本気で人狼を好きになって、のめりこんでやったらどうなるんだろう……とかも考えるとドキドキしますね(笑)。

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プレイ環境とエンターテイメント性の充実で更なる進展も期待できる

――人狼ゲームがさらに広まり、ブームから文化として根付いていくには何が必要だと思いますか?勝間さんはフリーでやれる場所、堀江さんは人狼TLPT専用劇場、安藤さんはユニバーサルスタジオジャパンなどでのアトラクション化などを提案されていらっしゃいますが。

児玉 そうですね、まずは遊ぶ所がないとダメだと思います。自分たちができるからおもしろいわけですし。自分がやるにはハードルが高いなという人は、TLPTやニコニコ生放送で中継しているアルティメット人狼をどうぞ、というスタンスなので、TLPTの地方公演ができるようになり、ネットでも配信できるようになったことは大きいと思います。
いろんな人に人狼をやってもらいたいというのがありますね。それが著名人だったりすると、その分野の方が見てくれますし。

イシイ 僕は広がるのであれば一種の頭脳スポーツとしてだと思っているので、将棋や囲碁にタイトル戦があるように、見るものとしての人狼は、そうしたものがしっかりあるべきだと思います。
その上で、自分もやりたいとなった時には、将棋会館のように行ける場所があることが重要じゃないでしょうか。あともう1つ言えば、テレビで観戦できるプロ戦があり自分がやれる場所もある囲碁、将棋、野球、サッカーなんかは全部学校に部活や同好会があるんです。
なので、プロ的な放送と各都道府県ごとの人狼ルーム、子どもたちがはじめたいと言った時に同好会はあるよという、囲碁や将棋に並ぶような扱いになってほしいと思います。

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児玉 「見る人狼」は格闘技に近いですよね。

イシイ 演劇的なスポーツというか、プロレス的な見せる要素もあるので、「頭脳のプロレス」のようなところがありますよね。例えば実は人狼なのに、どんなに責められてもボロを出さない。
「ここまで技を食らってもまだ立っているのか?!」というもので、今ほかにそのようなハッタリもありで戦える頭脳ゲームはないですよね?

児玉 見ることから入った後は、ぜひ自分でもプレイしてみてほしいですね。人狼ゲームは、まず言葉だけで戦えるのがおもしろいところ。
それを怖いと感じるかもしれないけれど、競技人口が増えているのにはやっぱり理由があるわけで、つまらないものに人は集まらないということは信じてほしいです。1回やってみることで、見る方も「あそこで発言するのは怖いのに……すごい!」とか、より楽しめるようになります。

会社が終わりのメジャーな娯楽であるカラオケ、ダーツ、映画、ボウリング、飲み会……の隣りに「人狼」を入れるのが僕の夢です。
もし仕事の後にドリカムのコンサートとか初デートが待っているとしたら、何としても仕事を早く終わらせて行こう!ってなりますよね。
娯楽とはそういうもので、人狼やボードゲームもそれぐらい娯楽として成り立ってほしいと思っています。日本人が「娯楽=好きなこと」にもっとお金と時間を使うようになったら、仕事も効率的にできて毎日が楽しくなりますよ。
ずっとそれがやりたかったし、人狼TLTPやクリエイター人狼もそう。いい大人が本気で時間を取って遊んでくれるというのが僕の求める世界であり、それができれば日本はもっと変わると思います。

Interview/Text: 橘 夢人
Photo: 森弘 克彦

児玉健

こだま・たけし/プロけん玉パフォーマー/人狼ゲームマスター
1980年大阪府生まれ。リクルート系不動産会社を退社後、仕事を遊びに、遊びを仕事にするべく活動開始。大人がリアルに遊べるゲームスペース「ドイツゲームスペース@Shibuya」「人狼ルーム@Shibuya」を経営。また、舞台「人狼ザ・ライブプレイングシアター」のゲームアドバイザー、TBSテレビ番組「ジンロリアン~人狼~」やカードゲーム「はじめての人狼」の監修、リアルイベント「アルティメット人狼」「大人狼村」などを主催。
また、けん玉パフォーマンスコンビZOOMADANKEとして、年間100ステージを超えるパフォーマンスを行う。ハワイ、ブラジル、ミラノ、台湾、マレーシアなどでパフォーマンスを行い、日本だけでなく世界からも高く評価され、活動のフィールドを拡大中。NHK、Eテレ「ニャンちゅうワールド放送局」でけん玉侍としても出演中。
著書「人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学
監修本「ZOOMADANKEとあそぼう!けん玉」「DVDで完全マスター! けん玉テクニック
監修DVD「ZOOMASTYLE

http://qreators.jp/qreator/kodamatakeshi

イシイジロウ

いしいじろう/ゲームクリエイター/原作・脚本家
1967年生まれ。日経映像(1994年入社)、チュンソフト(2000年入社)、レベルファイブ(2010年入社)を経て2015年に株式会社ストーリーテリング設立。
2014年。原作を提供したインディーズアニメ「UNDER THE DOG」が米国クラウドファンディング”キックスターター”のアニメーションジャンルにて世界最多の出資金額を集める。
2015年。アニメシリーズ/3DS版『モンスターストライク』 のストーリー・プロジェクト構成を担当する。
2016年1月より放映されるTVアニメ『ブブキ・ブランキ』にシリーズ構成・脚本(北島行徳氏と共同)として参加する事が発表されている。
代表作は『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』(監督/チュンソフト)、『428~封鎖された渋谷で~』(総監督/チュンソフト)、『TRICK×LOGIC』(企画・プロデューサー/チュンソフト)、『タイムトラベラーズ』(ディラクター/レベルファイブ)など

http://qreators.jp/qreator/ishiijiro

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