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ブームはまだこれから?著名人も巻き込む「人狼ゲーム」の人気の秘密に迫る!前編

2015.11.27

Jinro top

「人狼(じんろう)」というゲームをご存知だろうか? ゲームに詳しくない人でも名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれない。「人狼ゲーム」とは架空の村を舞台に、プレイヤーは村民と人間を装った狼(人狼)に分かれ、会話を重ねながら正体を隠している人狼を見つけ出していくロールプレイングゲーム。
日本では2012年から徐々に人気が出はじめ、今では安藤美冬氏、勝間和代氏、堀江貴文氏など起業家や著名人も参加。個人で遊ぶだけでなく舞台や中継動画などエンターテイメント性も加わり、その輪は益々広がりを見せている。その人気の秘密は何なのか? 事前に3氏に人狼ゲームについて答えてもらったアンケートを参考に、人狼専用のスペース「人狼ルーム」などを経営し、舞台「人狼 ザ・ライブプレイングシアター」(TLPT)ゲームアドバイザーの児玉健さんと、ゲームクリエイターで人狼ゲーム好きとして広く知られるイシイジロウさんに、人狼ゲームの魅力を語ってもらった。

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会話によりゲームが進む、攻略法のないリアルな世界

児玉 「会話型コミュニケーションゲーム」と説明したりもしますが、特徴的なのは大人数でやる「言葉」を使うゲームだというところです。だからプレイする度に、またメンバーが変わる度にゲームの内容が変化するのがおもしろいところです。誰を信じ誰を疑うか、どう自分のことを信じてもらうか、どうやって正体を隠すかに「こうすれば間違いない」という攻略法もありません。

例えば、ある回では僕とイシイさんが論理対決「さあ、どっちを信じる!」という展開になるかもしれませんし、別の回ではいっぱいやりこんでいる僕と初心者が2人同時に「自分こそ占い師(*ゲーム中の毎夜、怪しいと思う人の正体を1人だけ確認できる村民側の重要人物)」と主張する戦いになるかもしれません。
そうするとほかのプレイヤーはどっちが本物か判断しなければならないわけですが、僕が論理的証拠をいくつも挙げて1分間熱弁をふるったとしても、初心者に「いや私が占い師なんですけど……」と言われたら、その純朴さにはとても勝てなかったりするんですよ。その自由なところ、日常生活に近いリアリティがリピーターを生む人狼の魅力なんじゃないかと思います。あと勝つと単純に嬉しいと感じられるところもいい。

イシイ ゲームクリエイターは元々モノづくりの中で脳の快楽を得らえる仕事。なのに人狼にはまるということは、それ以上に脳に快楽が生まれているんだと思うんですよ。途中の「ばれるかも……、負けるかも……」というストレスあってこその勝った時の嬉しさですが、これは他のものではなかなか体験できないと思います。
また現実世界では、真実はグレーなことが多いですが、人狼ゲームは「占い師が確認して人狼ならその人は間違いなく人狼」と真実がとてもはっきりしている世界。けれど、「自分は人狼じゃない!」という主張を含め、その真実は必ずしも信じてもらえるとは限らない……ということもある。こんな体感をする場はちょっとないですね。

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エンターテイメントとしての「見る人狼」

――お二人は、何がきっかけで「人狼ゲーム」を知り、はまっていったのですか?

イシイ 10数年前にネット上で行う人狼に出会い、会社で研究という名目で毎夜プレイしたのが第一次個人ブーム。
その後アナログカードゲームセットが出たのを機に、こんどは対面人狼が流行ったのが第二次個人ブームです。
しかし、プレイするには時間もかかるし人数も必要、脱落者も出ると、とにかく手の掛かるゲーム。すぐに飽きてしまい、海外出張の時にみんなでするぐらいになっていました。そのまま10年ほど経ったある日、友人のゲームクリエイター2人から「人狼のアドリブ芝居を見たんだけど、すごい」というTwitterの書き込みがあり、早速見に行ったのが人狼TLPTです。
人狼ゲームをそのまま芝居にして見せているものなんですが、これがもの凄くおもしろくて!

それを見るまでは「戦略ってこんなもの、定石はこう。だからこのぐらいしかおもしろくないだろう」と人狼というゲームを分かった気でいたんですが、「人に魅せるプレイ」の想像を超えるおもしろさと、実際にそれを見た人が感動する様をまざまざと見せ付けられて、「ゲームクリエイターたちで同じような見せる人狼をしてみたい!」と思ったのが三度目の人狼にはまったきっかけです。
そして児玉さんと知り合い、「魅せる人狼」は簡単じゃないよと言われたんですが、内容は全部納得できるもので。「人狼ルーム」でゲームクリエイター人狼会の練習をさせてもらったり、一緒にゲームクリエイターと役者が人狼で戦う「アルティメット人狼」をやったりとお付き合いが始まって、今3年ぐらいですね。

児玉 僕はもともとドイツを中心とした世界のボードゲームで遊べる場所「ドイツゲームスペース」を4年半ぐらい前にはじめ、片っ端からいろんなゲームをプレイしていました。その中で、良いゲームとして教えてもらったものの1つが人狼でした。
プレイするのに8~9人は必要で、参加者とは別にゲームマスター(GM。ゲームには参加しない進行役)も必要。カードは最初しか使わず、後はすべて会話で繰り広げられる……といった特性から、はじめ思ったのは「変わったゲームだな」、「このゲームは自力で遊ぶには人を集めたり、場所が必要だったり大変だろうな」ということ。
けれど、場所はうちのスペースを提供して、参加者もうちで募集し、GMは僕、来てくれた人にはもちろんルールも全部教えるとしたら、結構うちに合っているし需要もあるかもしれないと考えて、初めて人狼イベントを開いたのが約4年前です。

そこからどんどん人気が出てきて、3年前に人狼専門ルームを作りました。初対面の人たちが一緒にプレイして、気がついたら仲良くなっているというのはパッケージとしても最高ですし、僕自身も対面で初めて会う人たちとゲームをするのが本当におもしろくて。
そこから舞台の人狼TLPTや今イシイさんと一緒に主催をやらせていただいているニコ生イベント「アルティメット人狼」にもつながり、今対談までできています。今回アンケートに答えてくださった安藤さん、勝間さん、堀江さんたちとも人狼を通して知り合いました。これが対面式のゲームの良さかと思います。

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普段出会わない人たちとのコミュニケーションが生まれる

――「対面式」というのは人狼ゲームの大きな特徴かと思いますが、その魅力はどこにあるのでしょう?

児玉 その時間は職業も給料も人間関係も関係なく、知らない人たちが集まって一緒に楽しめるところです。
「人狼ルーム」でも大学生とIT企業の有名社長が戦っているかもしれないし、何よりそれでみんな対等で、終わった後に「お前すごかったな」とか「あれにはだまされた!」とか言い合いながら仲良くなれるんです。
いろいろな人と3時間遊んで、扉を出た瞬間に「あ、ここ渋谷だったんだ」と思い出し、帰り道に「あの時ああいう風に言えば信用されたのになあ……」と考えて、よし今度はこうしようと決意する。けれど次回違うメンバーの中で実践すると、上手くいかなかったりするんですよ。そのループも楽しいし、素の自分を客観的に見直すきっかけになったりするんです。

人狼ゲームをやることでプレイヤーの個性がわかると堀江さんが回答されていましたが、「疑われると顔が真っ赤になっちゃう」とか「いつもこういう場面で勇気が出せなくて一言がいえない」とか、自分のいい所・悪い所がゲームの中で自然に見えてくるというのはあります。
でもゲームですから今できなくても次がある、そして次はまったく違うキャラになることも自由。例えば1回目は全然しゃべれなくて早々に疑われ殺されてしまったなら、次は開口一番に誰かを疑ってみるというのもありです。そういう自分を発見する楽しみは、ゲーム初心者のほうが大きいと思いますよ。

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――これから人狼ゲームをやってみたいという人は、まずどうやって入っていけばいいでしょうか?

児玉 うちに来てもらうのが一番早いかと(笑)。
もちろんルールを動画で見たり調べたりすることはできますが、プレイ中のドキドキ感や、勝った時の嬉しさはプレイしてみないと分かりません。
このゲームのいい所は何もしなくても話が進んでいくことで、全員が必ず参加する投票(ゲーム中では1日に1人、人狼だと思われる人を処刑する。その一人を選ぶための多数決投票)以外何もしなくても、疑われたり信用されたりするところがほかのゲームと少し違うところ。実は他のものに比べて敷居は低いと思うので、一度「人狼ルーム」に来てやってみてほしいと思います。

イシイ TLPTやアルティメット人狼など見るだけの人狼もあるので、僕はまずは見ることから入るのもありだと思います。
そしてプレイしたくなったら、東京の人なら人狼ルームに来るのがいいと思いますね。プライベートの会の中には初めての人にあまり優しくなかったりする場合もあると聞いているので、初めてやる方にちゃんと人狼のおもしろさを伝えてくれるところ、付いていけなそうな人がいたらフォローしてくれたり、死んだ人に解説やアドバイスもしてくれたりする安心できるところがいいと思います。

(後編の記事はこちら)

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Interview/Text: 橘 夢人
Photo: 森弘 克彦

児玉健

こだま・たけし/プロけん玉パフォーマー/人狼ゲームマスター
1980年大阪府生まれ。リクルート系不動産会社を退社後、仕事を遊びに、遊びを仕事にするべく活動開始。大人がリアルに遊べるゲームスペース「ドイツゲームスペース@Shibuya」「人狼ルーム@Shibuya」を経営。また、舞台「人狼ザ・ライブプレイングシアター」のゲームアドバイザー、TBSテレビ番組「ジンロリアン~人狼~」やカードゲーム「はじめての人狼」の監修、リアルイベント「アルティメット人狼」「大人狼村」などを主催。
また、けん玉パフォーマンスコンビZOOMADANKEとして、年間100ステージを超えるパフォーマンスを行う。ハワイ、ブラジル、ミラノ、台湾、マレーシアなどでパフォーマンスを行い、日本だけでなく世界からも高く評価され、活動のフィールドを拡大中。NHK、Eテレ「ニャンちゅうワールド放送局」でけん玉侍としても出演中。
著書「人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学
監修本「ZOOMADANKEとあそぼう!けん玉」「DVDで完全マスター! けん玉テクニック
監修DVD「ZOOMASTYLE

http://qreators.jp/qreator/kodamatakeshi

イシイジロウ

いしいじろう/ゲームクリエイター/原作・脚本家
1967年生まれ。日経映像(1994年入社)、チュンソフト(2000年入社)、レベルファイブ(2010年入社)を経て2015年に株式会社ストーリーテリング設立。
2014年。原作を提供したインディーズアニメ「UNDER THE DOG」が米国クラウドファンディング”キックスターター”のアニメーションジャンルにて世界最多の出資金額を集める。
2015年。アニメシリーズ/3DS版『モンスターストライク』 のストーリー・プロジェクト構成を担当する。
2016年1月より放映されるTVアニメ『ブブキ・ブランキ』にシリーズ構成・脚本(北島行徳氏と共同)として参加する事が発表されている。
代表作は『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』(監督/チュンソフト)、『428~封鎖された渋谷で~』(総監督/チュンソフト)、『TRICK×LOGIC』(企画・プロデューサー/チュンソフト)、『タイムトラベラーズ』(ディラクター/レベルファイブ)など

http://qreators.jp/qreator/ishiijiro

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