女子高生起業家のルーツを探る!【椎木親子の場合。前編2/2】

2015.5/20

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子どもの「やりたい!」に、親はどう向き合えばいいのか?

──育児において、隆太さんが心掛けていたことは何でしょう?
 
隆太 「子どもの夢や可能性を萎縮させる言動は絶対にしないこと」です。これだけは徹底していました。とはいえ、子どもが望む夢に対して、親としては「そうなって欲しくない」と思う場合もありますよね。そんなときでも、頭ごなしに否定するのではなく、別の可能性・選択肢を示せるようにしています。
 
里佳 それって、私が“タレント”になりたいって言ったときの話?
 
隆太 分かりやすい例だとそれだね。小学校高学年の頃、里佳が「タレントになりたい!」と言い始めたことがありました。しかし、自分としては「芸能界はちょっと……」という気持ちがあったので、何とかしなくてはと。その頃、ちょうど僕の会社は『ネクストプリンセス』(※1)というテレビ番組の準備期間中で、タレントの卵のオーディションをやろうとしていた時期でした。そこで、里佳をオーディション会場に連れて行き、受ける側ではなく審査員として参加させることにしました。
 
里佳 みんな、本当に可愛かったよね。
 
隆太 でしょ? 容姿はもちろん、手足が長くてスタイルもいい。そんな女の子が何十人と参加するけど、オーディションだからほとんどの子が落とされてしまう。この現場を見せることで、僕は里佳にふたつのことを学んで欲しかった。ひとつは「どれだけ容姿が優れていても、オーディションで落とされてしまうほど、芸能界は競争が激しく厳しい世界である」ということ。もうひとつは「華やかに見える仕事でも『使われる側』と『使う側』がいて、あくまでもタレントは使われる側であり苦労が多い」ということ。このふたつが伝われば、「タレントになるよりも、作り手側に回るほうがおもしろいのでは?」と思ってくれるんじゃないのかな……と考えていました。
 
里佳 まさしくパパの考えた通りになったよね。オーディションの見学後、「自分で可愛い子を見つけて、アイドルグループをつくってデビューさせたい!」とか言うようになったし(笑)
 
隆太 父親としては「しめしめ」といった感じです(笑)。ダメと言わない代わりに、いろいろな体験をさせて、知見を深めさせる。それによって、別の選択肢を与えられるようにする。これが子供の成長にとっても大切だと思っていたので、彼女に限らず長男に対しても一貫してそんな育児方針でした。
 
──もしも、お父さんから反対されずにタレントを目指していたら、里佳さんは今頃どうなっていたと思いますか?
 
里佳 絶対に成功していなかったと思います。あと、私は起業したことで人間的に成長できた部分も多いので、もしもタレントを目指し続けていたら、その成長はなかったとも思う。夢見る少女というか、地に足のついていないような夢見がちな高校生になっていたんだろうなぁって。
 
隆太 でも、選択肢を与えるなかで、彼女を起業へと誘導したことはありませんでした。もちろん僕個人としては、起業家という仕事は世の中に付加価値を生み出して貢献するという崇高な職業だと思っています。だから、結果として彼女が起業家になってくれたのは嬉しいですけどね。
 
──非常に良好な父娘関係だと思いますが、反抗期はなかったのでしょうか?
 
里佳 年頃の女子中高生のように「クサイ!」とか「キライ!」とかはなかったですね。父から「好きな人とかいるのか?」とか、面倒なことを言われなかったのも大きかったのかな?
 
隆太 これは家族だけでなく社員に対しても同じですが、プライベートに過干渉するのがイヤなんですよ。娘の学校行事には必ず参加しているので、周囲からは「娘を溺愛する父親」や「娘の結婚に猛反対しそう」と思われていますが、娘の恋愛などには案外ノータッチです。
 
里佳 あと、父の平日の帰宅時間が深夜だったので、反抗期になるほど接する時間がなかったというか……。
 
隆太 休日は置いておいて、基本的に娘とのコミュニケーションは「平日の朝」です。毎朝、学校まで車で送っているのですが、その車中の20分間は父と娘だけの時間。ここで夢や将来の話をするのが日課だったので、もしかしたら年頃の娘さんを持つ父親としては、良好かつ濃密なコミュニケーションができていたほうなのかもしれませんね。
 
里佳 毎晩、リビングでテレビを占領されたら煩わしいと思うけど(笑)、「週5回、朝だけの20分間」という距離感が、私たち親子にとってはよかったんだと思います。

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子育ては正解がないからこそ、本当に難しい。
こんな子を育てたい、こう育って欲しいという親の思い(エゴ?)と、
子どもを尊重すること……多くの親はそのバランスで悩んでいる。
本連載が、そんな人たちのヒントになれば!

親子の本音トーク、後編につづきます!

※1『ネクストプリンセス』…テレビ東京で2009年10月〜10年3月まで放送されていた、女子中学生をターゲットとするガールズエンタテインメント番組。

Interview/Text: 松本晋平
Photo: 森弘克彦

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椎木里佳

しいき・りか/1997年、東京都千代田区出身。株式会社AMF代表取締役。中学3年のときにAMFを創業。マーケティングサポートや、女子中高生の「かわいい文化」を世界に発信する「JCJK調査隊」のほか、スマートフォン向けアプリの開発や各種イベント企画プロデュースなどの事業活動を展開している。

https://twitter.com/rikashiikiamf

椎木隆太

しいき・りゅうた/1966年、静岡県磐田市出身。91年にソニー株式会社に入社。2001年に同社を退職し、有限会社パサニア(現:株式会社DLE)を設立。数々の世界的な人気TVシリーズのプロデュースを手がけ、米国プロデューサー組合会員の肩書きも持つ。株式会社DLE代表取締役。DLE-ERA(台湾)取締役、DLEAmerica(米国)の代表取締役など、その活動は世界規模に及ぶ。

http://www.dle.jp/jp/  

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