鎌田安里紗×岡田有加「人のためじゃない。自分のためのエシカル・ファッションを広めたい」

2015.11/13

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現役慶應大学院生モデルであり、エシカル・ファッションの情報発信、途上国支援と、モデルの他にも活動の場を広げている鎌田安里紗さん。2015年2月からエシカル・ファッションブランドの『INHEELS(インヒールズ)』とコラボレーション企画を行っています。

INHEELSはエシカル・ファッションでありながら「who said ETHICAL is not SEXY?」と挑発的な姿勢で物作りを行うブランド。
このコラボレーションのきっかけやエシカル・ファッションに対する想いを、鎌田安里紗さんとINHEELS共同代表の岡田有加さんに聞きました。

また、INHEELSの2015-16AWのファッションを身にまとった“ありちゃんスタイル”も大公開しちゃいます!

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自分のための「エシカル・ファッション」

岡田 先日、エシカル・ファッションというものを完全否定している人に会ったんですよ。
「『ペルーの貧しい村を助けます』などと言って、変なものを高い値段で売りつけるなんて、ありえない」って。

鎌田 その人は、何か捨てるに捨てられないようなものをもらってしまった経験でもあるのかな。

岡田 「エシカル・ファッション」というだけで嫌悪感があるようで、説明しても全く受け入れてもらえなくて。
エシカル・ファッションを実体の伴わない売り言葉のように使っている人たちがいるから、胡散臭いと思われてしまうこともあるのかも。

————「エシカル・ファッション」という言葉の定義がはっきりしていないから、どんなものかよくわからない、ということも理由の一つかもしれませんね。
お二人にとっては、「エシカル・ファッション」とはどんなものなのでしょうか。

岡田 INHEELSとしては、持続可能な物作りができて、服の着方が変わるものを「エシカル・ファッション」と呼んでいます。「持続可能」という言葉に尽きると思っています。

鎌田 「このまま続けていけるかどうか」。いいですね。わかりやすいです。

岡田 オーガニックコットンを使って作っていても大量に生産して大量に捨てられるようなやり方では持続可能だとは言えないし、リサイクルをしていても人に喜ばれないような無駄なものを作っていたらエネルギーの無駄遣い。
「そのやり方で続けていけるか」で照らして、YESかNOかでエシカル・ファッションと言えるかどうかを考える。それに尽きると思います。

鎌田 INHEELSのエシカル・ファッションの定義にはすごく共感します。
私も、フェアトレードとかリサイクルといった方法にこだわってエシカル・ファッションかどうかを判断するというよりも、ものの買い方や暮らし方を考え直すきっかけになるものをエシカル・ファッションとして考えて発信していきたいと思っています。

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岡田 INHEELSでは、以前は「自爆回避」という言葉を使っていたんですよ。
エシカル・ファッションを着るのは、人助けのためじゃない。30年、40年後に地球環境が悪くなってしまうとしたら、まだ自分も生きている可能性が高いですよね。
子供の環境のため、将来の地球のためというよりは、自分のためといったほうが、私にはしっくりきます。
正直、人助けというのは自分に余裕があるときしかできないと思うんです。

鎌田 人助けだと思ってエシカル・ファッションを買ったりすると、「あれ、私、この服を偽善で買っているのかな」みたいな余計な疑問もわいてきますよね。

岡田 そうそう。「感謝されているのか、されていないのかわからない」みたいな不安も生まれてくるし!

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————「貧困問題を改善したい」「地域の文化を残したい」などと、様々な理由でエシカル・ファッションのブランドに関わる人がいますが、お二人はなぜエシカル・ファッションに関わっているのでしょうか。

鎌田 14歳のときにインドネシアのバリ島に行って、貧困問題に関心を持つようになったんです。そこから、貧困を解決するためにどうしたらいいのかを考え始めました。
ボランティアなどをやりながら考えて、高校2年のときにたどりついたのがフェアトレード。ビジネスで対等な関係を築くことができれば、一緒に向上していけるじゃないか、と。
そして、エシカル・ファッションに興味を持ちました。

ただ、自分の興味関心が変わるごとに、エシカル・ファションとの関わり方、エシカル・ファッションの意味が変わってきて。
勉強していくと、資本主義のあり方とか、消費社会の仕組みによって生み出されている問題も見えてきて、新しい側面から貧困や環境の問題と向き合うようになりました。
だからその問題に気付く入り口の一つとして、エシカル・ファッションを紹介したいなと思っています。

岡田 私は、何かを伝えるためにエシカル・ファッションのブランドをやっているわけではないんです。
むしろ、何も伝わらなくてもいい。「服がかわいいからほしい」と言ってもらえるだけでいいんです。
それなのになぜ私が従来のアパレルではなく、エシカル・ファッションをやっているかというと、ファッションのいろいろな害を知ってしまったからなんです。
ファッションの裏側には、児童労働や素材作りの過程での環境負荷など、いろいろな問題があります。
INHEELSだって、完璧にできているわけではないけれど、自分たちができる限りのことをやっていけば、人を傷つけながら服を作っているという重荷を背負い込まずに軽やかに生きていけますし、そういう選択肢を他の人にも提供したいと思うんです。

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エコ仙人でなくてもいい。30%エシカルでいこう!

鎌田 有加さんとはよくエシカル・ファッションの見せ方について話し合いますよね。
たとえば、今までのエシカル・ファッションのイメージは、「クリーンで優しくて、ハッピー」って感じ。
でも、エシカル・ファッションに関わっている人たちだって、実際にはお酒を飲んだり、夜遊びしたり、悩んだりして、「クリーンで優しくてハッピー」じゃない部分もあるはず。
それがリアルなのだから、リアルな姿を見せていきたいねって。

岡田 グリーンとか、スマイル、アース、クリーンみたいなキラキラしてピュアなイメージ等はINHEELSには合わないしね。

鎌田 エシカル・ファッションには、そういうクリーンで真面目なイメージが付きすぎていて、「完璧にクリーンじゃない私は入れない村」みたいなイメージがあります。
しかも、そこにいる人たちも「完璧じゃない人は受け入れない」という顔をしているように見えてしまう。
私、このあいだ肉を食べたことをツイートしたら、「エシカル・ファッションについて発信しているのに、肉を食べるんですね」ってコメントをもらってしまいました。

岡田 笑。フェアトレード、サステナビリティを考えるなら肉食はNGっていう発想なのかな。

鎌田 もちろん、食肉産業の問題は知っていて、肉食を避ける人の気持ちも良く分かります。
社会における問題を知れば知るほど、日常生活で行っていることが何かしらの形で社会の問題に加担してしまっている事実も見えてしまう。
かといって、全ての行動を倫理的に正しく行おうとすると息苦しくなって、問題から目を背けたくなってしまう。
ですから「続けていける」という意味でも、自分にとって心地よいバランスでエシカルな選択を取り入れることを重視しています。

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鎌田 もちろん、衣食住全てにおいて倫理的な選択をすることは素晴らしいです。
でも、それを全員に要求していたら、誰もエシカル・ファッションをはじめとする、エシカルな選択を取り入れたいと思わなくなっちゃう。
そんなにハードルを高くしすぎずに、ちょっと生活に取り入れてみると思えるような見せ方をしたいねって話していました。

岡田 そう!ただ、最近気づいたことがあったんですよ。
今までは、エコ仙人というか、ベジタリアンでライフスタイルを完全に変えて天然素材の洋服しか着ないというような、完璧にストイックな人たちが、エシカル・ファッションの市場を作ってきてくれたと思います。
でも最近、周りに「ニューエイジ」が増えてきたように思うんです。

INHEELSを立ち上げた当時、私の仕事を知りながら、私の前でファストファッションの話をする子はいませんでした。
でも、最近は「見て!この靴1900円だったの」と言ってくる子がいる。そういう子はファストファッションも着るし、エシカル・ファッションも着る。リサイクル、伝統工芸にも興味があるけれど、普通に買い物をして肉も食べるし、ファストフードも食べ、オーガニックフードも食べる。
こういう子たちが増えてきていて、これからは、この市場をこういう子たちが牽引していくのかなって思うんですよね。

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鎌田 3、4年くらい前、有加さんに初めてあった時に、私はまだエシカル・ファッションとかフェアトレードについての発信をあまりしないようにしていました。
なぜかというと、エシカル・ファッションのコンセプトには100%共感しているけど、私の生活は100%エシカルだとは言えないから。発信したら中途半端だと誰かに怒られるかもって思っていました。
でも、有加さんが「そんなエコ仙人にならなくてもいいじゃない」って言ってくれて。

そのときに有加さんが教えてくれたのが「100%取り入れている人が3人いるより、30%取り入れている人が100人いた方がいい」ということ。
確かにそうだなあって思って。だったら私は、ちゃんと考えているけれど、薄く取り入れているという、リアルな状態を発信したいなと思ったんです。肉も食べるし、109にも行く、みたいな。

岡田 『IPAT』という言葉があるんです。
「Impact=Population×Affluence×Technology」を意味していて、「インパクトは、何人行ったかと、一人一人がどれくらい行ったかと、テクノロジーの掛け合わせで生まれる」ということを表しています。
100%取り入れている人が3人いたら、インパクトは300%。でも30%取り入れている人が100人いたら、インパクトは3000%になる。そっちのほうがいいじゃないかって思うんですよね。

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コラボ企画は自然の流れだった

————発想が非常に近いと感じるお二人ですが、INHEELSと鎌田さんとのコラボ企画は何がきっかけだったのでしょうか。2015年2月にコラボバッグを販売し、11月上旬にコラボエッセイを発表、そして鎌田さんがINHEELSの2016年秋冬新作のデザインをすることになっていますよね。

鎌田 私がINHEELSをずっと好きだったんです。なぜかというと、INHEELSのスタイルに衝撃を受けたから。
エシカル・ファッションを初めて知ったとき、思想にはすごく共感するのに着たいと思える服がなかったんです。
当時17歳だった私には、エシカル・ファッションブランドがメインターゲットとしている30〜40代向けのデザインでは物足りなかった。
でも、INHEELSの洋服は背中がばーんと開いていたり、スカートの丈が短かったり。エシカル・ファッションの従来のイメージを見事に壊してくれた。それで、ずっと何か一緒にやりたいと思っていました。

岡田 基本的に、ありちゃんとINHEELSはエシカル・ファッションに対する考え方が似ているから、必然的に一緒にやっている感じです。
エシカル・ファッションというとボランティアやNPOなどのイメージを持たれがちですが、INHEELSはそういうものをなくして、ビジネスとして成り立つものにして、仲間を増やしながらやっていきたいと思っています。
こんなにかわいいモデルさんが来て、INHEELSを知らない若い層に知ってもらえるチャンスがあるなら、絶対に一緒にやりたいと思いました。
ありちゃんはエシカル・ファッションになかったテイストでやっていきたいというINHEELSの思想にも共感してくれていますし。

————エシカル・ファッションについてのスタンスも考え方も似ているから、おもしろいコラボレーションができそうですね。後編ではコラボレーションでの物作りの方法やコラボレーションで目指すものをお聞きします。

後編に続く》



《背中が開いたワンピースのコーディネイト》
ブラックロングワンピース(INHEELS)1万4580円/手首に巻いたスカーフ(私物)
《ブラックトーンのコーディネイト》
ブラックワンピース(INHEELS)1万1880円/その他すべて私物
商品お問い合わせ先:INHEELS

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11月23日(月祝)開催!「六本木アートカレッジ〜クリエイティブシャワー〜」に鎌田安里紗氏が登壇
「セルフブランディング〜自分自身を利用する〜」をテーマにトークします。
参加申し込みはこちらから


鎌田安里紗×INHEELSコラボエッセイ「午前0時のハイヒール」はこちらから

Interview/Text: FELIX清香
Photo: 神藤 剛

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岡田有加

INHEELS 共同代表 千葉県銚子市出身、慶応義塾大学総合政策学部卒業。大学卒業後外資会計事務所系コンサルティングファームにてM&Aコンサルタントとして勤務。退職後渡英、ロンドンにて大手フェアトレードファッションブランドのホールセールエグゼクティブを勤める傍ら、夜間学校にてファッションデザイン、パターンカッティング等を学ぶ。英Environmental Justice FoundationデザイナーTシャツコレクションの担当を経て、2012年エシカルファッションブランドINHEELSを共同代表の大山と共に起業。2012年アシックス33DREAMSエル・オンライン賞、2013年ソーシャルプロダクツアワード受賞。ファッション業界新聞デジタル版繊研プラス及び季刊誌TRUNKにコラム連載中。

http://jp.inheels-ef.com/

鎌田安里紗

かまだ・ありさ/モデル。タレント。1992年、徳島県生まれ。高校進学と同時に単身上京。在学中にギャル雑誌『Ranzuki』でモデルデビュー。撮影などの活動を続けながら、2011年に慶應義塾大学・総合政策学部に現役合格。現在は同大学の大学院に進学、芸能活動も続けている。途上国の支援活動に関心が高く、自身のブログでも情報を発信。JICAの『なんとかしなきゃ!プロジェクト』のメンバーにも選出され、フェアトレード製品の制作やスタディ・ツアーの企画などを行っている。

http://qreators.jp/qreator/kamadaarisa

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