やっぱり、みんな一回仕事やめたほうがいい!【さとうの勉強会。中編2/2】

2015.05.18

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人より足りない「カケラ」こそが、成功へのワンチャンス

一岡: 「その道、かっこいいよ」とかなると、急に東大卒のヤツとかが入ってきちゃう(笑)。プロセスが見える道は、受験勉強が得意だったヤツの格好の標的ですから。それこそ、テレビの世界も〝安心〟に見えますもんね。

: 安心に見えるけど実はウソくさいっていう、いちばんよくない媒体だけどね(笑)。すべてがウソなんですよ、テレビって。視聴者との距離が離れすぎちゃったんですよ。今回のこの対談だって、このまま生放送しちゃうのがいちばんいいじゃないですか。

一岡: それは危ないなぁ(笑)

: だから、編集という作業が入る。都合のいいとこしか使わなくなる。つまり、そんなものはおもしろくない。

一岡: だからテンプレ化しちゃんですよ。

: メディアの人間がそんなんだから、視聴者はネットに頼っちゃう。だからいま、ものすごい過渡期ですよ。でも「カトキだ! カトキだ!」って言うと、テレビの人間に「お前、黙ってろ!」って怒られちゃうんですよ。「お前だってこっち側の人間なのに、そんなに煽るな」ってことなんでしょうけど。

一岡: ホント、いろんな大人に怒られてるんですね(笑)

: 「いま何とかしないと、本当にヤバイ!」ってあまりにも危機感が募りすぎてると、旧体制の人たちに殺されちゃうんで(笑)。「尊王攘夷だ!」って言えない空気感(笑)。

——先ほどから「モチベーション」という言葉が何度か出てきましたが、佐藤さんの仕事のモチベーションは?

佐藤: おもしろい人に会いたい、ということですね。この「おもしろい」っていうのは広義であって、僕が吉本に入ったのも芸人さんが好きで入ったわけじゃないんです。エンタメ全体として「おもしろいことがしたい」という意味で、入っただけであって。それこそ淳さんとかロバートの秋山さんとか、「欠けてる部分こそがおもしろい」という人に出会っちゃったんで、これから先もそういった人の横にいたいなっていう。小学校のころから、クラスで目立つ人の横に行って耳打ちするのが好きだったんですよ。そこがモチベーションですね。

: 軍師だね。

佐藤: だから、おもしろい人に会いたいので会社を作りました。

一岡: でも、自分の好きなことに向き合ってますよね。

: 正直だよね。

佐藤: え、一岡さんは自分の好きなことに向き合ってないんですか?

一岡: 向き合ってるからこそ、こんなんになってるんですよ(笑)。僕は仕組みを作るのが好きなんですよ。会社始めたときは「お金が欲しい」と「かわいい子に会いたい」でしたね。ただ、頑張れば会えるらしいってことが分かってきて(笑)。そうなると、本当に自分がやりたかったことは何だろう? ってことと向き合わないといけなくなったんです。そこを深く考えたら、いろんな人がいる空間を作るのが好きというか。買う人も嬉しいし売る人も嬉しい、世間全般もよくなる。それをコンセプトに何をできないか? という思いが最大のモチベーションですね。そういう大きい仕組みをバチコーン当てはめて、社会のインフラにできるかどうか。そしてそれをデザインできるかどうか。だから、こういうこと言うとまたアレなんですけど……会社経営とか興味ないんですよ(笑)。

: アッハッハッハ!!

一岡: びっくりするぐらいなくって(笑)。経営より、フレームワークをデザインするほうが好きなんです。だって、それ作ったら地方のイチゴ農家が副業でイラスト描いてるんですよ(※詳細は前半の記事に)。経営より、そっちのほうがおもしろいじゃないですか。

: そのイラスト見てみたいなぁ。イチゴに引っ張られたキャラ描いてんのか、それとも違うのか。

一岡: それがねえ、乙女系なんですよ。

: へーーっ!!

一岡: イチゴを愛してるからなのか、どうしても甘い系、乙女系なんですよね、その方の描くキャラって。

: それ、ただの『とちおとめ』じゃん(笑)。

一同: 爆笑

一岡: あとウチの会社でいえば、萌えキャラ描いてる86歳のおじいちゃんがいるんですよ。

: 人材、濃いなぁ(笑)。

一岡: もともとヤマハでデザインをしてた方なんですけどね(笑)。その方が描いた萌えキャラで、萌えてる人もいるわけで。86歳のおじいちゃんが描いたって知ったら驚くだろうなぁ、っていうおもしろさ。

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仕事は人を殺す。しかし、人を生かすこともある

佐藤: さっきのホウキの話もそうですけど、結局は“人”ですよね。

一岡: ホント、そうだと思います。会社や業界じゃないです、人です。いま世の中プラットホームだらけなんで、自分がコンテンツとしてどの領域で実力を発揮できるのか。そのことこそが重要だと思います。ただ……しつこいけど、自分の会社には興味がない(笑)。

: なんで、そこまで誤解を招くような物言いするかな(笑)。経営には興味はないけど、それを凌駕する才能があれば会社は回っていくってことでしょ?

一岡: フォローありがとうございます!

: 経営に向いてる人が側近にいれば、それでOKだしね。

一岡: ウチにも、そういうヤツはいます。だから「経営はそいつがやればいい」って真剣に言ったことがあって、そうしたら大炎上しちゃいました(笑)。お金を出してくれてる人たちが、「おい、飽きたのかよ!」って。そういうことじゃないんですけどね。「自分というキャリアを考えたときに、ほかの業種にもチャレンジできると思うんです。たとえば、こういうことを考えてます」ってプレゼンしたら、「まずは今やってる仕事で、ある一定の評価を受けた後じゃないとダメなんだよ」と諭されたりして(笑)。

佐藤: 一岡さんは、恐らくこれからもいろんなシステムを作っていきますよね?

一岡: 作ります! 人が新しく行き交うシステムを作るのが大好きなんで。それだけずっとやっていきたいです。あとは何もいらない。

: 一岡さんもやっぱり「人が好き」ですよね。

一岡: はい。

: 俺はテレビで、ひとりでも多くの人に会いたいんですよ。芸能人という枠の人と会ってても、あまり楽しくはないし。話す内容も性格も分かってるから、ガムと一緒で味なくなっていく。噛み応えはあるけど、味はしないというか。それは俺にも言えてて、だから多ジャンルの人に会うことによって自分の新たな部分が出れば、俺の味が増えるだろうし。日本の人口って1億2千万人ぐらいでしょ? 全員に会いたい(笑)。

一同: 爆笑

: だって、ひとりひとりが違うおもしろさを持ってるはずだし、それはやっぱ会って話してみないと分からない。それに地方のテレビって規制とか割とユルめだから、いま、大阪と福岡で街ブラの番組を実はやってるんですよ。それでマネージャーに、「札幌と名古屋でも街ブラの番組できないか?」って聞いてもらってるところなんです。

佐藤: 全国で街ブラ(笑)。

一岡: 話変わりますけど……淳さんって、投資家に向いてると思います。

: マジっすか!? 俺、いろんな人に「投資家に向いてます」って言われるんですよ(笑)。

一岡: 別に投資といっても株のようにリターンを求めるものではなくて、「こいつおもしろいから、とりあえずプロダクトするまでお金を出す」といった、いわゆるエンジェル投資。そこに向いてると思いますね。

: ああ、そういうのだったらやりたいかも。

佐藤: しかも淳さんは、プロモーション能力が高いですし。

一岡: 投資の世界のよくないところは、プレイヤーが同じなんです。さっきの芸能界の話と一緒で「会う人は決まってる」みたいな。僕らの世界も、大体20人くらいしかいなんですよ。逆に言えば、その20人から嫌われたらもうやっていけない。そんなところに違う業界で成功された方が入って来ていただけると、もっといろんなものが生まれると思うんです。さっき「職業じゃなくて、人ですよね」という話がまさにそうで、垣根をなくしていけば、いろんなチャンスが生まれますから。

: チャンス、ね。

一岡: チャンスといってもビジネスだけじゃなく、生きるチャンスというか。昔、ウチのクリエイターさんで「画風が昔だから」ということに悩んで、かなり思いつめてた人がいて。

: 仕事がなかったと。

一岡: 要はマッチングできてなかったんです。その人は「ゲーム以外のところでやりたい」というポリシーがあって、ずっと自分の世界の中だけで生きてきた。でも彼の絵柄は好きだったので、「こういう仕事もありますよ」といろいろ振っていたら、あるコンセプトアートに使われたんです。でもそれは彼の意図しないゲームだった。ところが彼は、「自分の世界観を作りたかったので、そこがゲームだろうがもう関係ない」って、生きる糧にしてくれたんです。

: 彼は視野が狭かったんだろうね。だから「ここでダメなら、俺はもうダメなんだ」って思っちゃったんだろうなぁ。でも違うところに行ったら、違う求められ方をする。でも、そこを開けるって、相当ですよ。生きるか死ぬかレベルで悩んでる人間に「その道もあるのか」という扉を提供できたんでしょ? その扉を開けて、射してくる光をいっぱい浴びた彼の、やる気といったらなかったろうね。

このご時世、定職を持たずとも食ってはいける。腹は満たされる。
しかし「働く」を間違えると、心は痩せる。死に至る場合もある。
そして「働く」は、死にかけの人間を生き返らせることができる。
3人の考える、「仕事」の本質、未来——。

以下、後編へ!

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Interview/Text: 村橋ゴロー
Photo: 森弘克彦

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田村 淳

たむら・あつし/ロンドンブーツ1号2号。
1973年、山口県出身。「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)をはじめ、さまざまなバラエティ番組に出演。2015年4月14日からは新番組「淳・ぱるるの◯◯バイト!」(フジテレビ系)がスタート。バラエティのみならず、ラジオ「田村淳のNews CLUB」(文化放送)では社会派番組へも積極的に取り組む。Webサイト「淳の休日」でもさまざまな企画を展開中。

https://twitter.com/atsushilonboo

一岡亮大

いちおか・りょうた/株式会社MUGENUP 代表取締役。
1986年、北海道出身。大学在籍時にシステム受託の会社を設立、システム開発に従事する。2010年、三井住友銀行入行、法人営業に従事。フリーランスエンジニアへ転身後、2011年6月に株式会社MUGEN UPを設立、代表取締役に就任。「Job Creation 2014」で1位を受賞。「プロダクトがデータから作られる時代の、デザインデータメイカー」をテーマに法人向け2D・3D制作プラットフォーム「MUGENUP station」(https://station.mugenup.com/)を展開している。

http://qreators.jp/qreator/ichiokaryota

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