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SEALDsだけじゃない!若手政治活動家が語る“社会を変える方法”

2015.10.16

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学生団体「SEALDs」。都内の大学生が中心となり結成された組織だ。
今年の夏、安倍政権の安全保障関連法への抗議活動で、大きな存在感を見せ、話題となった。

そして、彼らのほかにも若くして政治活動をしている学生がいる————。

今年の6月、改正公職選挙法が成立し、70年ぶりに選挙権年齢が引き下げられた。この「18歳選挙権」実現や、若者の政治参加を促す活動をしていたふたりの政治活動家、町田彩夏さん(20歳)と青木大和さん(21歳)に、“社会を変える方法”について語ってもらった。

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若者と政治を近づける活動

————おふたりはこれまでにどんな政治活動をされてきたのでしょうか。

町田 大きくわけて2つの活動をしてきました。
ひとつは、高校3年生のときに始めた「Teen's Rights Movement」(以下、TRM)という18歳選挙権実現を目指し活動を行う団体です。
ふたつ目は、高校3年次に始めた女性の社会進出に関する活動「女子高校生未来会議」(以下、未来会議)です。

青木 僕は高校2年のときに、「僕らの一歩が日本を変える。」(以下、ぼくいち)という、若い人の政治的関心を高めるための活動を始めました。去年まで代表を務めていました。

町田 青木さんと初めて会ったのは……私が高2のときでしたっけ?

青木 そうだね。僕は高3の頃でした。

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————おふたりはどこでお会いしたんですか?

町田 早稲田大学で行われた、社会問題の討論会が初対面でした。
そのときは既に青木さんがぼくいちの活動を始めていて、「高校生って学校の外でもいろんなことができるんだ」「高校生がこんなに大きなイベントを開けるんだ、すごい!」ってとても驚きました。
私が政治に興味を持ち、行動を起こすきっかけにもなった出会いでしたね。

青木 僕たちがすごいというより、タイミングが良かっただけだと思うんです。
今もそうなんですけど、あのころは特に、高校生が社会問題や政治について話すという文化がなかった。
「政治×高校生」という組み合わせがなかったので、そこを上手くつなげて、どんどん広がっていっただけで。
でも、自分たちが始めたことがきっかけで、町田さんのように政治に関心を持つ人が増えたのは、すごいうれしいですね。

————それぞれの活動では、具体的にどのようなアクションがあったのでしょうか。まず町田さんからお願いします。

町田 18歳選挙権の実現のために、仲間を集めてTRMを立ち上げたんです。
法律を変えるには国会議員の方々に直接アピールするのが重要だと思って、高校生と国会議員を交えてシンポジウムを開いたり、街頭で模擬投票を実施しました。
ほかにも「党に問う」というテーマで、国会議員の方々に、若者目線で考えた質問をインタビューし、その様子を動画に収めて、ネット上にアップしたり。
多くの若者が関心を持っていることをアピールしながらロビイングをしたことが、今回の法律改正にもつながったんじゃないかなと思います。

未来会議では、高校生が社会問題について“熟議”するイベントを企画しました。
女性の有識者を招いて、女性の社会進出を、労働面はもちろん、法律や健康、国会、震災復興など様々な面から、女子高校生の目線で考えることを目的としています。
グループに分かれてディスカッションを行い、最終的には「Girls’マニフェスト」を策定します。

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————活動が広がっていく実感はありましたか?

町田 最初はごく少人数ではじまった活動が、徐々に友だち以外の全然知らない人たちからの反響が届くようになりました
シンポジウム開催についても、始めの頃は協力してくれる議員の数が少なかったのですが、少しずついろんな方が来てくれるようになって。
回を重ねるごとに、当選回数の多い議員さんも来ていただけるようになりました。
未来会議でも、第1回から約150人の女子高生が集まって、ファーストレディの安倍昭恵さんを筆頭に、約30人の女性有識者の方々から協力していただけました。
メディアにも取り上げていただいて、このテーマの活動は世の中に必要なんだと実感しました。

青木 活動開始すぐの段階から、内閣府の大臣と面会したり、いろんな方の協力を得ていてすごかったよね。
あと第2回でフリーアナウンサーの内田恭子さんがゲストに来たときは、ファンなのでうらやましかったな(笑)。

————青木さんはどのような活動をされていたのでしょうか。

青木 ぼくいちでは、若者と政治をつなげるための活動をしていました。
一番反響が大きかったのは、「高校生100人×国会議員」というイベントです。高校生100人が政治家と討論して、結果をマニュフェストとして発表します。
ほかにも、「票育」という主権者教育プログラムを普及していて、中学校や高校と連携して、iPadを使った模擬投票なんかを行なっていました。

————「票育」はどのくらいの規模で行なっていたのでしょうか。

青木 僕が代表のころには、都内で数校程度の中高で授業をやっていました。
最近では、岡山の学校でも授業をやったみたいなので、徐々に全国に広がってきていますね。まず実行例を作って、いろんな自治体に提案していくことを目標にしていました。
最近、現在のぼくいちの代表が、内閣府委員(内閣府地方創生推進室RESAS専門委員)に就任したんです。
「票育」プログラムがさらに広がりつつあるので、目標に少しずつ近づけていますね。

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政治や社会問題を語ることがタブーである日本を変えたい!

————おふたりとも、若者の政治・社会参加を促進するという活動をされています。活動を始めるきっかけは何だったのでしょうか。

青木 15歳のときにアメリカに留学をしたんです。学校の授業で、オバマ大統領の演説を聞いて討論したり、政治を語ることが当たり前なことにとても驚きました。
「政治を語れないとカッコ悪い」くらいの雰囲気だったんですね。
留学先のウィスコンシン州が教育的に進んでいる場所だったこともありましたが、生徒たちが自分の意見をしっかりと持っていることに衝撃を受けました。
僕が日本の学校で政治の話をしていると、「変なヤツ」「キモい」みたいに扱われることもあったで。

町田 本当にそうですよね。

青木 社会の一人ひとりが自分の意見をしっかり持つ。そのためにまず政治・社会的関心を高めたい。そう思ったのがスタートです。

町田 私の目標も、「政治や社会問題を語ることがタブーである日本を、語ることが日常である日本へと変えたい」ということです。
私が高校1年生のとき、生徒会長に立候補したら、教員から「女のくせに生意気だ。」って言われたんです。そのときに初めて性差別を肌で感じて。
学校という教育現場でさえも性差別が存在しているのなら、自分が社会に出たときに、その性差別はもっと広がってしまうのではないかな……と思ったのが女性の社会進出に興味を持ったきっかけでした。

青木 元々は男子校だったのが共学に変わった高校なんだよね。

町田 そうなんです。一学年の定員の男子生徒の数が、女子の2倍という学校で。
男子校時代が長かったその教員にとっては、女子生徒が生徒会長に立候補することは、受け入れがたいものだったのかなとも思います。
女性の社会進出は、現在の安倍政権でも成長戦略に組み込まれていますが、「意識」が大きく関わってくる問題は、みんなが一体となって取り組まなければ、変えることができません。

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SEALDsの活動がもたらした影響と懸念

————「一人ひとりが自分の意見を持つべき」という考えは、国会前のデモで大きな存在感を見せた学生団体のSEALDs(シールズ)の主張と似ています。彼らの活動は、おふたりから見ても、望ましい動きということですか?

青木 SEALDsのように、あれだけ多くの若い人が声を上げるということは、いままでの日本にはなかった。非常に重要なことだと思います。
ただ、僕個人の考えでは、もっと違うやり方を模索していきたいです。
高校生のときに、「18選挙権が必要だ!」っていうデモをやるっていう選択肢もありましたが、戦略的にどうロビイングしていくかとか、実際に法案をどう通すかという具体的な目標を立てて行動していたんです。
応援はしているんですけど、自分は違う方向から活動を模索していきたいなって思ってます。

町田 青木さんと同意見で、それぞれがやりたい方法で実行すればいいと思います。
これから私がやりたいと思っているのは、“20代の池上彰さん”的な、若い人にもわかりやすいニュース解説です。
新聞とかニュースをしっかり見る中高生があまりいないと思うので、スマホでさくっと見られるような、コンパクトなメディアを作ったりしてみたいです。

青木 なるほど……それもいいだろうけど、そのやり方だと限界があるような気もしますね。
池上彰さんの本はとても売れているし、いろんなメディアでの注目度も高いけれど、元々関心がある人からしか目に入らないんです。政治を語る人をキモいって思うようないわゆる“普通の人”たちには届かない。
もうひとつ、ひとりのカリスマの言うことだけを信じているのでは、思考停止してしまって、自分の頭で考えることもできなくなる。
結局のところ、地道に一人ひとりに語りかけていくような、草の根的な活動が必要なのかなと思うんです。

町田 上からの情報発信と、草の根的な活動の両方ですね。

青木 その意味では、SEALDsの活動にはすごく良いポイントがあるんです。
これまでの社会活動の場合、代表をトップにしたピラミッド型の組織づくりがほとんどでした。
でもSEALDsの場合は、奥田(愛基、SEALDsの代表メンバーのひとり)君がメディアによく出ていますが、彼は一度も「代表」と名乗っていないんです。
誰かひとりのカリスマを祭りあげて影響力を広げていくのではなく、各々が声を上げる形で活動が全国に広がっていった。
誰でも参加しやすくなり、裾野を広げていくのに非常に効果的だったと思います。

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————SEALDsの活動の広がりが大きい一方で、「組織としての目標を立てていないことから活動や主張が一貫していない」「ただ声を上げるだけでいいのか」といった批判もあります。
おふたりの活動も、「社会的関心を高める」ことを目標にしているので、無視できない声ではあると思います。

青木 SEALDsの活動を見ていて、ひとつ懸念していたのは、活動全体の最終的なビジョンが見えないことでした。
例えば安保法案に対しても、目標は廃案にすることなのか、それとも次の参院選で落選運動をすることなのか、その時々で意見が分かれていました。
組織の目標がはっきりしていたら、もっと大きな動きになっていた可能性はあると思います。

町田 確かに。18歳選挙権でも、明確に目標を立てたのが良かったのかもしれないですね。

青木 そうだよね。実は20年くらい前からこの問題に取り組んでいた人たちもいて。なかなか結果が出ないので、その人たちも半ば諦めていたような感じもあったんです。
その中でも、町田さんたちを中心に、当事者世代が「難しいかもしれないけど、なんとかしよう!」と無理やりでも旗を立てたからこそ、いろんな方々から応援していただけたはずです。
目標がはっきりしていると、応援する側も乗りやすいんですね。

町田 メディアにも声を拾ってもらいやすくなりましたね。

青木 そうそう。あとは、最初は乗り気じゃなかった議員さんたちも、話をしているうちに、この問題に関しては一枚岩になるしかないという機運が高まり、最終的には、与野党6党の合同提出になりました。
目標を明確に定めて、地道に説得していくのが重要です。

《後編に続く》




町田彩夏さんも参加されているミスiD2016の投票期間は10月18日(日)まで。

ファイナリスト進出への審査内容は、
自己PR動画の再生回数      https://www.youtube.com/watch?v=gg5whz2Sd20
アー写販売数           https://www.ar-sha.com/event-24220.html
CHEERZ(無料アプリ)での得票数 https://cheerz.cz/post/89932
Twitterでの発言内容など     https://twitter.com/ayaka_m_y

Interview/Text: 森 祐介
Photo: 大根篤徳

青木大和

あおき・やまと/1994年03月09日生まれ。政治活動家/慶應義塾大学法学部政治学科在学中。15歳にて単身渡米。米国の社会活動へ参加する中でオバマ大統領誕生を目の当たりにする。日本と米国の若者の社会参加、政治参加の差を実感し、帰国後2012年「僕らの一歩が日本を変える。」を創設。「高校生100人×国会議員」、「未成年模擬選挙」「全国行脚」などの数多くの仕掛けを行った。2014年に同団体を法人化し、2014年秋に代表辞任。以後世界各地を渡りながら現地の社会運動、若者の動向などをレポートしている。また、aokiyamato.comを運営し、執筆など個人による若者、政治、社会などのテーマを中心に活動を行っている。

http://qreators.jp/qreator/aokiyamato

町田彩夏

まちだ・あやか/政治を語ることが「タブー」である日本を、政治を語ることが「日常」である日本へと変えたい。1995年、千葉県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科在籍。女性の社会進出と、18歳選挙権に強い関心をもち、高校時代に女子高校生未来会議やTeen’s Rights Movement の発起人として立ち上げる。特に先の18歳選挙権の実現に尽力した。schoo講師、朝日子どもニュースキャスター、ニッポンのジレンマ出演を通して、発信する傍ら、新世代にふさわしい女の子を発掘するオーディション、ミスiD2016のセミファイナリストとして、ファイナリスト進出を目指して奮闘中。(投票期間は10月18日まで)

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