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子どもが生まれて幸せなのに孤独!?「ママたちの孤立」問題、解決法はどこに?

2015.8/26

Qameeting hoikuen

「女性が輝く世の中を!」「産めよ育てよ」の風潮があるなか、一向に解決しない待機児童問題。
子どもの数は減っているのに保育園が足りないってどういうこと?それって解決法はあるの?子どもやママの将来はどうなるんだろう…?

そこで今回はタレントのMEGUMIさん、クリエイティブディレクターの中村洋基さん、フォトグラファーの花盛友里さん、「遊び学」研究者の松田恵示先生をお迎えして、待機児童問題について、そして保育園のあり方や新しいカタチの保育園についてなど、お話しいただきました。

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ママは小さい子どもを預けることに罪悪感を感じる!?

──今回は「新しいカタチの保育園」をお考えいただきたいと思っています。ですが、まずはみなさんの実体験などをもとに、現状の問題点についてご意見をお聞かせください。以前より、首都圏や都市部を中心に「待機児童問題」が叫ばれています。花盛さんは今年4月からお子さんを保育園に通わせているそうですが、すぐに保育園は見つかりましたか?

花盛 私は、かなりがんばったと思います。早く仕事に復帰する必要があったので、何度も区役所に通って入念に準備を進めていました。

中村 保育園って、私立・認証・認可の3種類がありますよね(※1)。どちらに入園したんですか?

花盛 認可です。

中村 すごい! 認可保育園って人気が高いから難しいじゃないですか。何区ですか?

花盛 目黒区です。

中村 うわ、同じだ! 僕も目黒区ですが、認可保育園には入れなかったんですよ。

花盛 でも、時間がかかりましたよ。去年の7月に出産して、10月頃には保育園に入れようと考えていたんですが、目黒区は認可以外の保育園もいっぱいの状態で……。
いろいろと準備を進めながら、それまでは友人に預かってもらうこともありました。

MEGUMI 認可保育園はなかなか入れないですよね。

中村 うちは出産と同時に妻が専業主婦になったので、その時点で認可保育園は無理でした。「離婚しないと入れない」とか、絶望的なことを区役所に言われましたね(笑)

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松田 僕は「学芸の森保育園」という東京学芸大学内にある認証保育園の理事長を務めているのですが、運営目線から見ても大変なんですよ。
有り体に言えばオカネの問題で、たとえば保育定員40名などと決めると必然的に保育園の総収入も決まってしまう。
そのなかから必要な数の保育士さんにお願いして……などとやっていると、簡単に子供の数を増やせないのが現状なんです。

MEGUMI 保育園を増やしているはずなのに、それでも足りないんですよね。中村さんは認可保育園に入れなかったあと、どうされたんですか?

中村 認可も認証もあきらめて私立保育園に入れたんですが、当初は「火曜と金曜ならOKです」と、バイトのシフトみたいなことを言われて(笑)

花盛・松田・MEGUMI (笑)

中村 結局、現在はその保育園もやめてインターナショナルスクールに通わせています。MEGUMIさんはどうでした?

MEGUMI 私は授かってからの結婚だったので、とにかくノープラン。とりあえず「近い方がいいかな」といくつか見学して、家から近い幼稚園に決めたのですが、幼稚園って保護者の負担が大きくてビックリしました。
とくにうちの園は保護者が積極的に参加するところで、図書室の整理・カードの整頓・机を拭く……などなど、私も週4で通っていましたね。
でも振り返ると、子どもが幼稚園で何をしているのかというプロセスを見ることができたのはよかったし、「いろんな子どもがいて、いろんな親がいる」ということを知ることができたのもいい経験だったと思います。

花盛 それはいいですね。保育園だと子どもの様子がそこまで分からないかも。写真も撮っちゃダメだし、送迎のときに少しだけ内部の様子を覗くことくらい。

中村 最近は、私立保育園で定点観測カメラとか導入してますよね。それを保護者はパソコンとかスマホから見ることができるという。

花盛・MEGUMI ある!

花盛 あれ、いいですよね。

松田 やはり、様子が分かると安心しますか?

MEGUMI 単純に子どもの様子を見られる安心感もありますが、カメラがある以上は先生たちも問題を起こさないように配慮するでしょうし、そこに対する安心感も大きいと思います。

花盛 あとは「罪悪感」が消えるかな?「よかった。ちゃんと保育園で楽しんでんねんな」と分かれば、安心できる。
周囲から「そんな小さい頃から保育園に入れて、子どもがかわいそう」と言われることがありますし、もちろん私自身も思うところはありました……。

中村 はじめの頃は、親と別れるときにすごく泣きますもんね。

MEGUMI 泣きますよねぇ。自分が悪いことをしているような気持ちになるんですよね。

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子どもが生まれて幸せなのに「孤独」なママが多い事実

松田 小さい子どもを預けることの「罪悪感」については、根本から考える必要があるかもしれません。
そもそも「生みの親が子供を育てる」という文化が定着したのは、ほんの200~300年前のこと。それまでは「乳母」がいて、他の人が育てるのが一般的だったんです。

MEGUMI 育児の文化が変わった理由は「生みの親が育てることが大事」という認識になったからですか? どちらがいいとかあるんでしょうか?

松田 どちらも大事だと思います。幼児期に、一番の理解者が実母であるという関係が築けるのも重要だし、その一方で親から離れて集団の中で学ぶことも重要です。でも、現在はこのバランスが偏りすぎていると思うんですよ。
さきほどの「罪悪感」は、「子どもを育てるのは親だけ」という風潮が強いからではないでしょうか。さらに言えば、母親が「自分ひとりで育てなくては」という強迫観念みたいなものに縛られている気がします。

花盛 それはあるかもしれない……。

松田 この「お母さんが孤立している」という問題は、厚労省や文科省などで育児の政策について考える際、頻繁に取り上げられる内容です。

花盛 たしかに最初は孤独だったかも。

MEGUMI 子どもが生まれて幸せなはずなのに、なぜか孤独感を感じる。生後1カ月は免疫がないから、家にずっといなきゃいけないって、すごく特殊な環境ですよね。同世代で働く女性を見ながら「私はなんで家にいるんだろう」って考え込んでしまう。

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松田 そんなとき、頼りになるのはお父さんの存在なんですけどね。

中村 父親は子どもと接する時間が短いから、甘やかすだけになりがちですね。「アンタはずるいわよね」と言われて、妻が軽い育児ノイローゼに陥っていたことがありました。

MEGUMI どこも同じですね(笑)。接する時間が長い母親は叱る役目も担っているので、父親は甘やかすだけになってしまうことが多い。

花盛 お父さんと接するときだけ笑ったりするから、悔しくなりますよね(笑)
だから、ホンマに保育園には大感謝です! 先生たちも一緒になって考えてくれるから、それまで「これでいいんやろか?」と不安に感じていたこともかなり解消されました。

MEGUMI 親が教わることも多いですよね。何も分からないところからスタートするので、どのように育てたらいいのかすら分からないんですよ。それこそ、おむつにしても種類が多いから「どれを選んだらいいの?」という状態。
そういうところも含めて、保育園や幼稚園の先生から教わることができる。子どもだけじゃなくて「親も親として成長できる場所」だと思う。もちろん、通う場所によって変わると思いますが、そんないい保育園に通えたら、親子そろって成長できる気がします。

松田 そうなんですよね。だから「子どもはみんなで育てる」という状況に立ち返るのが理想だと思うんです。
親だけでなく、保育園はもちろん、近所の人も含めて「地域社会で育てる」という考えが浸透すれば、お母さんの孤立問題は必ず改善されるはずなんですよ。

中編に続く》

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※1『私立保育所・認証保育所・認可保育所』……「認可保育所」は、児童福祉法の条件(定員・対象年齢・面積など)に基づいて都道府県または政令指定都市・中核市が設置を認可した公立の保育施設。一方、児童福祉法上の保育所に該当しないものは「認可外保育所」と呼ばれ、私立保育所もこれに含まれる。なお、「認証保育所」は東京都独自の制度で、大都市では国の基準を満たすことができないケースが多いため、東京の特性に着目した独自の基準を設けている。

Interview/Text: 松本晋平
Photo: 神藤 剛(対談)

MEGUMI

めぐみ/タレント、女優。ドラマやバラエティ、舞台など精力的に活動しながら、一児の母親としての面も持つ。オリジナル&セレクトショップ「CALMA.」をプロデュースする。

http://ameblo.jp/megumi-official/

松田恵示

まつだ・けいじ/「遊び学」研究者、東京学芸大学教授。
1962年生まれ。和歌山県出身。大阪教育大学大学院卒。専門分野は社会学(スポーツ・教育・文化)と教育研究(体育科教育/教育支援)。NPO法人「東京学芸大こども未来研究所」理事長、「中央教育審議会生涯学習分科会」専門委員、吉本興業主催「笑楽校」監修など、教育および教育支援に関する多くの要職を兼任。学校と社会を繋ぐための教育人材の育成や、スポーツ教育の開発を通じて、教育現場との実践的な共同作業を行っている。一方、社会意識論の立場から「遊び文化」を研究。あらゆる場面で「遊び」を取り入れた活動・普及に取り組んでいる。

http://qreators.jp/qreator/matudakeiji

中村洋基

なかむら・ひろき/1979年生まれ。2000年に電通に入社、インタラクティブキャンペーンを手がけるテクニカルディレクターとして活躍後、2011年、4人のメンバーとともにPARTYを設立。最近の代表作に、レディー・ガガの等身大試聴機「GAGADOLL」、トヨタ「TOYOTOWN」トヨタのコンセプトカー「FV2」、ソニーのインタラクティブテレビ番組『MAKE TV』(TBS)などがある。国内外200以上の広告賞の受賞歴があり、審査員歴も多数。共著に『Webデザインの「プロだから考えること」』(インプレスジャパン)がある。http://prty.jp/

http://qreators.jp/qreator/nakamurahiroki

花盛友里

はなもり・ゆり/フォトグラファー。1983年、大阪府生まれ。中学時代から写真の楽しさに目覚め、2009年よりフリーランスとして活動開始。女性誌や音楽誌、広告などで主にポートレートの撮影を手がける。2014年に出産、一児のママに。同年、自身初の写真集『寝起き女子』(宝島社刊)を発売、活躍の場を広げている。http://www.yurihanamori.com/

http://qreators.jp/qreator/hanamoriyuri

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