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逆転の発想×ユーモア!クリエイティブアイディアの使い道。【シモダテツヤ×沼田晶弘】

2015.8.5

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クリエイティビティは身に付けることができる?
クリエイティブなアイディア、発想は何処から生まれてくるの?
特別な人だけの才能?

そんな素朴な疑問のヒントを得るために、様々なジャンルのQREATOR[クリエーター]をゲストとしてお招きし、考え方やアイディアが生まれるまでのプロセスを深堀りする「クリエイティブが生まれる仕組みづくり」セミナー。

第1回目は、バーグハンバーグバーグ代表で著書『日本一「ふざけた」会社のギリギリセーフな仕事術 』(中央公論新社)が話題のシモダテツヤ氏をゲストに、小学校の先生であり、MC型教師として話題の沼田晶弘氏をモデレーターとして開催しました。

WEB業界と教育業界、まったく異なる分野でクリエイティブな発想を次々と形にしているお二人から、クリエイティブな仕事になぜ“仕組み”が重要なのか、その理由を実例を交えながらお話いただきます。

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子供たちの知的好奇心を引き出す授業

ーー本日は、ちょっと外れた思考のプロセスをお二人にお伺いしたいと思います。まずは、小学校の先生として独創的な授業を展開し、MC型教師として話題の沼田先生に自己紹介からお願いします。

沼田 私は小学校の先生をしているので、どうしたら子供たちが楽しく勉強ができるかを常に考えています。そのため、本日はまずその実践例をご紹介したいと思います。

例えば、子供たちに日本や地域の学習をさせたい、表現力を育てたい、といった目的を持って、『勝手に観光大使』という授業を行いました。

これは、「子供は勉強を面倒くさいと思っているかも知れない」という視点から、「勝手に」「Power Point」「知事に送る」というキーワードをもとに、目の前に勉強とは別のAnother Goalを置いてしまうというアイディアでした。

具体的には、子供たちに好きな都道府県の魅力をPower Pointを使って発表させました。これって、調べたいと思って調べたのではななく、かっこいいPower Pointの資料を作りたいという自発的な思いがきっかけになっているのです。活動が進むと、子供たち同士で、Power Pointの機能を教えあって見せ方を工夫します。結果的に、自然と自分たちが担当した地域の情報に詳しくなっているのです。

ちなみに、できた資料とプレゼンした内容はほぼ全都道府県の知事宛に送りました。そうしたら、島根県のゆるキャラ「しまねっこ」が教室に遊びに来てくれたり、ほぼすべての県から色々と反響がありましたね。

2つ目の例は、教室掃除。子供は掃除をできればやりたくない、楽しくないものと考える傾向にありますよね。だから、逆転の発想として、掃除をやらせないことを考えてみました。

『ダンシング掃除』と言って、掃除中に1曲音楽を流し、サビの間は掃除をしてはいけないルールを作りました。例えば、桃色クローバーZの曲で、子供たちはサビに入ると全員ほうきを置いて踊りだすのです。言うならば「おあずけの法則」です。掃除の時間を楽しくしてしまうアイディアでした。

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何でもできる会社ではなくて、“おふざけ”にこだわる会社

ーーそれではシモダさんも自己紹介をお願いします。

シモダ 僕がやってるバーグハンバーグバーグという会社は、ふざけたことしかしないというポリシーを持っています。

WEB制作を中心に広告のお仕事をしている会社でして、独立したときには、すでに競合WEB制作会社は山ほどあって、どうやったら優位性を持てるかを考えていました。それで決めたのが、かっこいいもの、可愛いもの何でもできる会社ではなく、おふざけ1本というわかりやすいスタイルで行こうと。幸い、その戦略がはまってくれたおかがで、多方面からお声がけいただける会社になってきたかなと思っています。

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みんなが思う当たり前とは違う角度からアイディアを考えてみる

ーー今回のイベントでは、「課題に対して逆転の発想でアイデアを出すにはどうすればいいか」をお二人に伺いたいと思います。まずは「お題」として、傘を売るためのアイデアを考えてみてください。

沼田 傘を売るためには、普通なら子供が使っても安心な傘を作ろうなどと考えますよね。アイデアとしては、長さが子供にとってちょうどいい、安全のために先端を丸くするなど。でも、子供にとって傘はチャンバラ遊びをする道具になってしまうことも。それで折ってしまったり、学校に忘れてきてしまって、雨が降ってきた時に持っていない…

シモダ 結果、お母さんに怒られる。あるあるですね。

沼田 そう。だから逆転の発想で、子供が持たない傘をつくろうと考えてみる。例えば、ランドセルにあらかじめ折りたたみ傘が装着されていて、取り外しが簡単にできないようにしてしまう。ねじ回し使わないと取れないみたいな。そうすると失くすことがない。それで、雨が降ってきたら背中から傘をパシュっと開くことができる。

シモダ なるほど。小学生の男子って、パカッて開く筆箱とかにもワクワクしてますもんね。カッコいいのを作ったら大人もほしくなるんじゃないですか。それで晴れの日でもパシュンパシュン開いたりしちゃいそうですね。

沼田 もう1つ考えたアイデアとしては、雨の日って憂鬱じゃないですか。でも、傘って万人受けする黒やビニール傘しか売ってない。同じような傘が多い。なら、いっそのこと“売らない”という発想の転換をする。カーシェアならぬ「傘シェア」

そもそも、常に傘を持って歩くのは嫌じゃないですか。朝の通勤時は雨でも、帰りは雨が降っていないことだって多い。それなら、レンタルできる傘シェア加盟店を作り年間費で運営するなど、傘を売るという発想の逆転を考えてみる。

シモダ 傘って持ち歩くのが面倒くさいですよね。女性は可愛いものが好きとかあるかもしれませんが、僕なんてそもそも傘にこだわりなんてないんですよ。安くてどこでも買えるビニール傘でOK。でも、そういう傘ってコンビニに寄った際とか簡単に盗まれるじゃないですか!?

そのため、逆転の発想で考えると、盗まれないような傘を作ること。盗んだ人が傘を開くと、血の涙を流しながら「やってくれたな」とつぶやいている僕の顔がプリントされている。傘を盗んだことを後悔させてやりたいですよ。
ただ、デメリットとして、盗まれてからで無いと効力を発揮しないんです。盗まれなきゃ、ただの気持ち悪い傘を持ってる人になってしまう。

あと、傘の話じゃないですけど、自転車のかごにゴミを入れられたらむかつくじゃないですか。どうやってゴミを入れられないようにするか考えた結果、先にゴミを入れておけばいいんじゃないかと。そこで、「かごがいい感じで満杯になる量のゴミ」を売ったらどうだろうって考えたこともありました。

沼田 そういえば聞きたかったんですけど、バーグハンバーグバーグが『インド人完全無視カレー』ってカレーを企画して販売した時、何で「おいしさ0.8倍!」にしたんですか?その企画の着眼点も聞きたいです。

シモダ 第二弾はレトルトカレーを作ろうとなって。賞味期限も伸びるし、値段も下げて販売できるってことで。でも、実際のものよりちょっとだけまずくなってしまって。それで、美味しさ0.5まで下げて記載するとイメージが悪くなるけど、0.8なら笑える可愛げのある温度感かなって。ちょっと我慢できそうな数字に(笑)

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数字で考えず、本当にやりたいことをまずやってみる

沼田 今日は傘の話だけで盛り上がってももったいないので、会場のみなさんにも聞きたいことがあれば質問してほしいと思います。

ーー色々アイデアが出た時に、これでやってみようという最終的な判断の基準にするものは何ですか?

シモダ 最終的に数字を見て決めることはないですね。そこばかり気にしちゃうと、みんなと同じようなアイデアになってしまいます。

以前、あるお客様から「新しいアイデアを何かだして」と言われたことがあって、色々アイデアを出したのですが、「いいですねぇ、これと同じような事例はないですか?」と……。この人は何を言っているのか、となりました。

同じ事例のデータを見て判断したい気持ちはわかるのですが、うちはデータに頼らず、本当にいいと思ったアイディアで勝負するようにしています。

沼田 小学校の例で言えば、子供が何かやっている時に、それをやっている理由を聞くと、何となくいいと思ったからと言います。でも、やっているうちに後付けで何でやってるのか、うまくできるようになったのか言葉になってくるんですよね。だから、何となくこれがいいっていう感覚は大事だと思いますね。

シモダ やってからでないと切り拓けない領域というのはあると思います。本当にやってみたいからこそ、競合がいないブルーオーシャンなことができたりして。

沼田 でも、何となくやってみて失敗はありませんでした?

シモダ 実は失敗はあんまりないんですよ。けっこう石橋を叩くようなことやっていて、表ではふざけたようなことでも、やるからには裏で炎上対策をしっかりしていますね。

ーー自分のアイディアをまねされないように対策していることはありますか?

シモダ 自分で何かを作るのは大変ですが、自信になりますよね。アイディアを一回でもパクってしまうと、甘えがでてしまうと思っていて。だから、パクられないようにするより、自分たちがすき間を探して、オリジナリティで作れるようになることの方が大事だと思います。

沼田 なるほど、すき間を探すね。僕は情報は出しますけど、まねない方がいいよと伝えてますね。この仕事って、子供たちと担任の先生のキャラクターで全然違うんで、僕の方法がうまくいったからって、どこでもうまくいくものではないんですよね。しかも1、2年に一度は担当するクラスが変わるので、またそこの子供たちに合わせていく必要がある。

シモダ 確かにな〜。

沼田 さっき、「すき間を探す」って話でピンと来たんですが、親御さんが「何やってるの!」って子供を叱るのを見て、どう思います?

シモダ なにヤッてたからによるかもしれないですね。

会場 笑

沼田 親がそういう時って、あらかじめ親の中に答えがあって知らず知らずに誘導してたりするんですよね。叱られた子供は大人の顔色を伺うようになってしまう。だから、叱ったりしないようにしていると、枠にはまらないオリジナルな考え方が育つと思います。

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ーーアイディアが出るときと出ないときがあるのですが、普段はどこでアイディアを考えていますか?

シモダ 僕の場合、昔は1人で考えるのが好きだったのですが、今は人としゃべるときの方がアイディアが湧きやすいと感じています。人がいたら、何かしゃべりたいと思うじゃないですか。

場所は会社とは限らず、話を聞いてくれる人がいる状態がいいと思っています。その上で、よく笑ってくれる人を会議やアイディアミーティングで置いておくといいですね。アイディアを出す人だけではなく、すごく手を叩いて喜んでくれる人とか肯定してくれる人がいると、自分の中でスイッチが入る気がします。

沼田 何かが生まれるときって、そういうシチュエーションって大事ですよね。

シモダ 周囲にいる人がいいと、テンション上がりますね。

沼田 あと、終電間際とか集中力上がらない?

シモダ たしかに、〆切がある方がいいですね。

沼田 人って〆切伸ばしてもらうと、やらなくなりますよね。

シモダ なんですかね、あれ。人ってみんなそうだと思うんですけど、自分に甘いんですよね。

沼田 自分は何やるか決まっている場合は、お題だけ頭にいれといて、2〜3週間放置することもよくある。そうするとどこかでひらめく。国語の授業しているのに、社会のアイディアがでるなんてこともありますよ。

ーー同じ授業や同じセミナー講義をする時、受ける側は楽しくても教える側は飽きてしまうことがありますが、どうすればいいでしょうか?

沼田 中学校の先生はすごいと思いますよ。担当する科目の授業を全部のクラスでやりますからね。その点、小学校は幅広くできるのですが、まだ良いですが。
でも僕は授業するとき、スタートとゴールしか決めていません。例えば、大阪で待っているよとだけ言って、そのに向う手段は車でいってもいいし、新幹線でもいいし、飛行機でもいい。子供たちは何を知りたいのかというゴールがあれば、それにあわせて柔軟に授業を行っています。

シモダ 僕もセミナーでは、福岡や名古屋と場所は違っても同じ資料を使うことはよくあります。そうすると、基本はマンネリしてしまいますが、最近はトークにアドリブを入れるようにして、ルーティンワークをしないと決めています。会場の方の目を見てアドリブをいれるようにすることで、そのトークを生ものにするようにしています。

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ーー 最後に本日対談されて一言感想をお願いします。

シモダ よかったです! ……一言じゃダメですよね。

学校の先生や教育の場はすごい興味があって、本日話を聞いていて、子供から自分のほしい言葉を誘導してはダメだって考えは面白かったです。TVの撮影なども良い所だけ使いたいといって無理に編集してしまうのが問題になることもありますが、自分はそうならないように気をつけたいなと思いました。

沼田 普段は関われない業界の人と話すと、普通の人が思いつかないようなことに目を向ける、そこに光を当てているといことがわかりました。

ーー本日は、ありがとうございました。

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沼田さん後日談

バーグハンバーグバーグのシモダテツヤ氏との対談。クリエイティブな思考はどこにあったのか振り返ってみます。

まず1つ目は、枠にはまらないその思考。「5W1Hは考えていない」、「今は何が必要か、どんな状況かを考え、それをつないでいく」。結果論として、こういう思考、流れだったと説明することはできても、やっている間は感覚を優先している。そんな姿が伺えました。何をしたいのかゴールが明確になっているから、そこに到達する手段は選ばない。と言うより、その場で直感で最善の方法を選択し続けているといった感じでしたね。

2つ目は、ネガティブから笑いへの転換。「傘を売る」と言うお題に対して、シモダさんは「盗られたくない」という視点から入りました。そのためにどうするか。傘の内側に泣いている顔を描く。もうこの時点でかなりクリエイティブだった。ネガティブ要素さえ笑いの素にしてしまう、それがシモダさんのクリエイティブの根幹だと感じました。


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Interview/Text: 宮嵜 幸志
Photo: 神藤 剛

シモダテツヤ (しもだ・てつや)

株式会社バーグハンバーグバーグ 代表取締役
1981年生まれ。家入氏のスカウトで株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ株式会社)に入社した後、2009年、日本一ふざけた会社を標榜する「バーグハンバーグバーグ」を設立。会社理念は「がんばるぞ!」、採用基準に「炎の洞窟の奥に住む爆炎の魔神 かつやる気のある人」を掲げるなど、他の企業とは一線を画す真面目な会社である。多くのネット著名人を従え、徹底して「ふざけた」斬新なプロモーションが話題に。実績として「イケてるしヤバい男長島」、「Honda黙認!お金をもらって車を宣伝するサイト」、1.5トンの豆を豪快にぶつけ合う「すごい豆まき 鬼リンピックin東京タワー」、インド人のアドバイスを無視した「インド人完全無視カレー」通販など、世の中に斬新すぎるクリエイティブを提供している。著書に『日本一「ふざけた」会社の - ギリギリセーフな仕事術』(中央公論新社)

http://qreators.jp/qreator/numataakihiro

沼田晶弘 (ぬまた・あきひろ)

国立大学法人 国立大学法人 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭、学校図書生活科教科書著者、ハハトコのグリーンパワー教室講師
ハハトコのグリーンパワー教室講師
東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、アメリカ・インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士を修了後、同大学職員などを経て、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校へ。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が読売新聞「教育ルネッサンス」に取り上げられて話題に。教育関係のイベント企画を多数実施するほか、企業向けに「信頼関係構築プログラム」などの講演も精力的に行っている。「パッツン」「CM」「インパクトライティング」など、担当クラスでの斬新な授業が話題。

http://qreators.jp/qreator/shimodatetsuya

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