仕事だって「おもしろいからやりたい!」が大切なわけで…【前編】

2015.05.11

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さとうの勉強会。 働くってどういうこと?

——本日は、お集まりいただいたこのお三方で「仕事」や「働く」をテーマに、鼎談をしていただきたいと思っております。そこでまず、ご自身が「何をしてメシを食っているのか」を、自己紹介してください。著名な方ばかりで大変失礼ですが、田舎のおばあちゃんでも分かるよう、簡潔にお願いします。まずは田村淳さんから!

淳: はい! 僕は衰退していくテレビ産業で……。

一岡: 衰退って! いきなり(笑)。

淳: えー、そこで司会者を生業としている者です。ただ、テレビの未来に明るい兆しが見えないので、そのために異業種の人とたくさん話をして、テレビの新しい改革ができないかと模索している人間です。よろしくお願いします!

一岡: 僕は、モバイルゲームのキャラクターを作っている会社をやってます。でも普通に作っているわけじゃなくて、クリエイターさんに、いまふうにいえばクラウドソーシング……田舎のおばあちゃんにも分かるように言うと、外注して作ってもらっています。そして、それを管理するシステムを運用しています。

佐藤: どれくらいの量を作られているんですか?

一岡: 去年だけで、2万キャラでした。

淳: 1年で!?

一岡: はい。でも、今年の予想だと4万キャラはいきそうです。もう、ギネス申請しようかと思って(笑)。いまクリエイターさんには3万人登録してもらってまして、大体出入りで1000人ほどとお仕事させてもらっています。クリエイティブは東京一極集中の世の中ですが、ウチは東京が半分で、4割が地方、1割が海外。男の多いはずのアニメの世界でも、ウチは女性が7割。何故かというと、セカンドキャリアとして空いた時間に仕事ができるからです。

佐藤: そのほかには、どんな方が登録されてるんですか?

一岡: 農家の人とかもいますよ。その方はイチゴを栽培されてるので、夏は季節外で動けないんですよ。それで収穫が終わったあとに、時間が空いてしまう。今までは、その期間で出稼ぎに行ってたらしいんですが、そこをウチに充ててくれて。「半年だけ働きたい」なんていう、都合のいい働き口は、そうそうないですから(笑)。そのイチゴ農家の方は、けっこう稼いでくれてますね。

佐藤: 僕はまだ会社を立ち上げたばかりなので、ざっくり言いますね。要は「ジャパネットたかた」さんの人版をやりたいと思ってるんです。以前、高田さんの家にお邪魔したことあるんですが、高田さんって、番組で紹介する商品を全部ご自宅で使ってるんですよ。家で使えないものは売らない。でもそれって、実は当たり前の話ですよね。だから僕らもいろんな人に出会い、そこから僕がおもしろいと思った人、たとえば大学の先生。難しいことを研究してるんだけど、それを分わかりやすく定義づけし、より多くの人に知ってもらい、そこでビジネスを作っていく、ということをする会社です。

——実は佐藤さん、もともとは吉本興業にいらっしゃったので、淳さんのマネージャーを担当されてたそうですね。

佐藤: はい。淳さんについてて「この人は、人物を分かりやすく紹介する天才だ」って思ったんです。ジャンルを問わず、いかなる人をも「こんな人です」って紹介できて、しかも万人に伝わる。実は……そこで、いまの会社を思いついたんです。

淳: 人が必死こいて仕事してるときに、ビジネスチャンス思いついちゃったの!? 俺に相談あったのだって、会社辞める寸前に「実は……」って言ってきてさぁ!

佐藤: すいません(笑)。でも僕のビジネスモデルは淳さんですよ、ほんとに。だって芸人さんでありながら、芸人さんじゃないじゃないですか。

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田村淳、〝芸人廃業〟宣言

淳: 俺、芸人じゃないからね。ずっと言ってるけど。

一岡: えっ!? そうなんですか?

淳: だって、板の上に立ってネタを披露してないですもん。それをやってるのが芸人さんであって、俺はすごく尊敬してます。だから俺は芸人じゃなないなって。そう思ったのが、もう22~23歳の頃ですかね。

一岡: そんなに若くして! でもそこから、次の手をどう打ったんですか?

淳: たとえば、師匠レベルの漫才師さんでも、テレビでうまくトークでなきない人っています。テレビでの立ち振る舞いがうまくないから、バラエティには呼ばれない。つまり、板の上のネタのみでは、テレビでは通用しない。でも稀に、明石家さんまさんやダウンタウンさんといった天才が現れるんです。板の上のネタも超一流、テレビタレントとしても超一級品という人が。でも俺は芸ができないから、テレビタレントとして生き抜く術を持たないとダメだと考え、そっちを磨いていったんです。だから、芸人さんよりもテレビに関してはうまいですよ、と。それが唯一、人に自信を持って言えることですね。

一岡: いまの話を聞くと、その都度、仕事を最適化させることが重要だと感じますね。たとえば、昔あって、今はない仕事ってありますよね。そこを埋めることができる人って、すごく価値があるというか。

淳: たとえば、お笑いの世界と全然関係ない分野でアイデアが思いついたとしても、お笑いの世界って古い体質の世界だから、「よくぞそこに気づいた!」って言ってくれないんですよ。だから、そこを分かってくれる人を求めてフラフラしてて。で、フラフラしてたら、今日ここに座ってました(笑)。テレビは大きなお金が動くけど、正直別に楽しい仕事じゃないし(笑)。いまテレビにやりがいを見い出せないので、やめたくなった時期もありましたね。逆に、一岡さんのとこに登録してる人って、やりがいに満ちてるんですよ。

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人工知能とウエディングビジネス

一岡: ちょっと話が変わりますが、バズワードとして「人工知能」って言葉があって。僕自身、人工知能に興味を持ったので、研究室とかに通ったりしてたんです。簡単に言うと、いろんなデータを集めて「こういうことをしたい」を叶える道具なんですね、人工知能って。で、話はちょっと飛びますが、ウチの仕事ですごく人気がないのがあって、それは下ネタや著作権違反といったものをずっとスクリーニングして消していく作業。これ、マジ人気ないんですよ!

淳: アハハハ! でも必要な作業ですよね。

一岡: そう! 必要なんです! だから人工知能を使えば、それができちゃう。つまり、必要なんだけど単純作業でつまんないって仕事は、自動化されていくんだなぁって。

淳: それ、何かすごい分かる。僕、お金がないときに、パン工場のラインでバイトしてたことがあって。

一岡: いろいろやってますね(笑)。

淳: 焼きあがったベーコンをパンの上に乗せるっていう、それを8時間ひたすらやる仕事(笑)。でもね、焼きあがったパンは流れてくるのに、ベーコンを乗せるのは人力なんですよ。そこにすごい違和感があって、大きな会社なんだし、そこも効率よく機械化すればいいのにって。だから人間がやらなくてもいい仕事があるなって、19歳のときに思ったんです。だって、ベーコンが熱々で、ヤケドしそうだったんですもん(笑)。だから余計に、これは人がやることじゃないなって。

一岡: そういう単純作業はオートメーション化されて、仕事じゃなくなっていくでしょうね。ということは、つまりこれから先、人間って働かなくてもOKになっていくと思うんですよ。だって、いま言った「嫌なこと」や「面倒なこと」をする必要がなくなるわけだし。ということは、「じゃあ、なぜ仕事をするのか?」という自分への問いかけが、より一層必要になってくる時代でもある。そう考えると、仕事における承認欲求がすごく大きくなると思うんですよ。人に認めてもらいたいから、仕事を頑張るっていう。ウチのクリエイターさんなんて、まさにそうですよ。だってほかに仕事があるなか、ウチを副業として選んでくれてるんですから。表現したことが認められる場であるということが、大きいんだろうなって。

淳: 本当にそう。だから俺、佐藤がマネージャー時代に「淳さん、別にテレビだけじゃなくてもよくないですか?」「異業種の人と話してみたらどうですか?」って言われて、「おもしろそうだからやってみたい」って。そうなっていくと、俺の職業がよく分かんなくなるけど(笑)、みんなもやりたいと思ったこと、やっていいんですよ、どんどん。いまテレビの司会業をメインとしながらも、ウエディングビジネスをやりたいと思ってて。これは吉本にも何回も言ったんだけど、全然理解してくれないんです。

——具体的に、どういうことですか?

淳: 芸人って、めちゃめちゃ余ってるんですよ。NSCという吉本の養成所に年間約500人入って来て、400人くらいが卒業して、吉本に入ってくる。それが毎年のことだから、10年経てば4000人の芸人がいることになる。途中で辞める人間もたくさんいますけど、それでもかなり多い。でも、実力があるからといって、必ずしも上にあがれる世界じゃないんです。だから実力があるのに、埋もれてる人材が山ほどいるんですよ。となると、その芸人のスキルがもったいないですよね。
で、自分が結婚式を経験したときに思ったのは、結婚式とは“泣き笑いのショー”だと。でも、泣き笑いがあるのに司会者が下手だと、とてもつまらないショーになってしまう。僕のいる会社は、泣き笑いが得意な吉本という組織。彼らは結婚式の司会者に最適なんです。だから「結婚式だけに特化した会社を作りませんか?」って、社長に提案したんです。そうしたら、鼻で笑われて終わり(笑)。「俺をそこの社員にしてください」とも言ったんですよ。吉本が作ったウエディング会社の社員にしてくれと。でも、全然取り合ってもらえなかった。

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「なぜ、その仕事なのか?」その本質が、より問われる時代

佐藤: でも、これからの仕事って、そういうことですよね。ロボットができないところをやっていくという。

一岡: そうですね。というか、生活はすべてロボットに任せていいと思うんです。炊事・洗濯・掃除、別に人がやらなくていいじゃないですか。だってそれが面倒くさくて、機械を発明してきたんですから。だから感情とか、何か心を満たすとか、人にしかできないこと。人間は時代背景によって変化していきますから、その都度最適化された伝え方、提案の仕方……こっちのほうに広がっていくでしょうね、今後は。

淳: だからこうやって話が分かる人たちと話ししてると、すげーー気持ちいいんですよ!!
旧体質の人たちに気づいてほしいんだけど、分かってくれないんだよなぁ。それでバチバチにやりあって、結局はケンカ別れしちゃうという……。そう考えると、ビジネスの根幹は人付き合い、とも言えるわけで。

佐藤: ウチはクリエイターの方のスケジュール管理はしないんですよ、基本。それはもう地方のテレアポ会社とかにお願いしようかなと思っていて。

淳: 離れてても、できちゃうんだ。

佐藤: そうなんです。スケジュール調整は、Facebookのメッセージとグーグルカレンダーでできちゃう。意外にそういう調整や管理とかの“守備面”って時間を取られたりするじゃないですか。だったらそこは切り離して、“攻撃面”を手伝ったほうが効率がいいなと。

淳: 佐藤もそうだけど、クリエイティブな発想ができる人間がいても会社がその感覚を理解できないから、みんな辞めてっちゃう。だから俺の周りからできる人間がいなくなっちゃう。でも佐藤は、自分がやりたい場所を自ら作って、そこに進めたっていうのはすごいよね。そういう人じゃないと、もう残れないというか。

佐藤: 淳さんに誉められた(笑)。

淳: 何か、今まで俺がイジワルばっかりしてきたみたいに聞こえるだろ(笑)。でも、「何かやりたいけど、お給料毎月くれるから、まぁいいか」という人は、やっぱり行き詰まっちゃってうつ病になったり、最悪、自殺とかしちゃうんだと思うんですよ。働くモチベーションというか、それがない人が増えてるんだろうね。「管理職の人は部下の体調管理を」とかよく言うけど、そんなレベルでなく、社員ひとりひとりの光を見出してあげないと。そうじゃないと、やる気が起きないですよね。

一岡: いやあ、すごいっすね、本当にそうだと思いますね。

——どっちが社長なんだか(笑)。

一岡: いや、ホントでそうですよ(笑)。

淳: いや、一岡さんの場合、いい意味でスキがあるからいいんですよ。社員が「もしかして俺でも社長の座、狙えるんじゃねぇか?」って。これは社員にとってある種の光。だからこれからの社長には、絶対スキは必要。「スキルとスキ」、これ両方持ってないとダメです。

佐藤: ベンチャーって、いま未来が明るいじゃないですか。

一岡: 金はないんですけどね(笑)。

佐藤: でも、そこにいる人のドキドキ感はこちらにも伝わりますよ。ドキドキできれば、成長もできるし。

一岡: ルールが何もないところで自分が何かを作っていくっていうのは、楽しいですね。自分の信念や大切にしている部分と、向き合える楽しさというか。

淳: それがなかったら、働き続けることはできないでしょうね。

一岡: さっき「自殺」ってワードが出ましたけど、いまの日本で餓死することは、そうないですよね? でも死んでいく。これって、おかしいんですよ。

淳: 満たされてない。

一岡: 足りてないんだなと、心が。でもその感覚、何となくわかるんです。僕、昭和61年生まれで、物心ついた頃にはバブルが崩壊していた。自分の人生で、日本が下がっていく姿しか見てきてないんです。周りを見ても、同世代たちはお金を使いたがらないというか、遊びにしたってお金を使わないものばっか。でも、無料でできる範囲なんてたかが知れてるから、貧乏なんだと思います、心が。だから、メシは食えても死を選んじゃうんだろうな。

淳: ネットの世界でつながっててそこから明るい希望が見い出せるのに、ネットやってる人自身が暗いニュースや誹謗中傷ばかりに躍起になってるでしょ。そこ、もったいないよね。
だって一岡さんの会社みたいに「こんな働き口あるんだ!」ってポジティブなことを知れるのに、寄ってこない。気持ちが前向きじゃないから。

一岡: 社員を見てて思うんですけど、支配されたがりの人間が多いんですよ。フレームにはまりたがる人のほうが圧倒的に多い。今でこそ社員数が増えましたけど、立ち上げ当時はそんなやつ、ひとりもいませんでしたから。基本、会社に来ないし。

:淳 それはイカンでしょ(笑)。

一岡: でも、勝手に何かいいもの作って、それを会社に持ってくるんで、「それでいいんじゃない?」って、認めざるをえない(笑)。

淳: でも会社が大きくなると、そういう人が少なくなってしまったと。

一岡: だからもう、会社とか要らないかなぁって思うんですよ! ホントに!

一岡氏の口から飛び出た、まさかの〝会社不要〟宣言! その真意とは!? そして、トークはあらぬ方向に……。
本音しか語らない3人の、「そこ言う!?」仕事論、白熱の中編をお楽しみに!

Interview/Text: 村橋ゴロー
Photo: 森弘克彦

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田村 淳

たむら・あつし/ロンドンブーツ1号2号。
1973年、山口県出身。「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)をはじめ、さまざまなバラエティ番組に出演。2015年4月14日からは新番組「淳・ぱるるの◯◯バイト!」(フジテレビ系)がスタート。バラエティのみならず、ラジオ「田村淳のNews CLUB」(文化放送)では社会派番組へも積極的に取り組む。Webサイト「淳の休日」でもさまざまな企画を展開中。

https://twitter.com/atsushilonboo

一岡亮大

いちおか・りょうた/株式会社MUGENUP 代表取締役。
1986年、北海道出身。大学在籍時にシステム受託の会社を設立、システム開発に従事する。2010年、三井住友銀行入行、法人営業に従事。フリーランスエンジニアへ転身後、11年6月に株式会社MUGEN UPを設立、代表取締役に就任。「Job Creation 2014」で1位を受賞。「プロダクトがデータから作られる時代の、デザインデータメイカー」をテーマに法人向け2D・3D制作プラットフォーム「MUGENUP station」(https://station.mugenup.com/)を展開している。

http://qreators.jp/qreator/ichiokaryota

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