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2020年東京オリンピックのエンブレム、ぶっちゃけどうですか?

2015.7/29

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いい意味で「感情移入しない」デザインだった

7月24日、2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムが発表になりました。
オリンピックエンブレム(左)は「TOKYO(東京)」「TEAM(チーム)」「TOMORROW(トゥモロー)」の頭文字「T」をイメージし、パラリンピックエンブレム(右)は平等を表す「=」をイメージしたというこのデザイン。
それぞれの大会の象徴として、街中や競技会場、さらには記念グッズなどさまざまな場面で目にすることになるはずです。

さて、ここからが本題。
みなさんはこのエンブレム、ぶっちゃけどう思いましたか?
いい、悪い、好き、嫌い……いろんな意見がありますよね。だからこそ、プロの意見を聞いてみたい!ということで、アートディレクターの千原徹也さんに、"同業者から見たエンブレムの印象"を伺いました。

千原 デザインに関して言うと、個人的には好きとか嫌いとかをあまり感じないエンブレムでした。「すごい!」と思ったら、同じ職業がら悔しいですし、「なんだこれは!」というデザインだったら、それはそれで悔しい。
今回は「感情移入がしにくいデザイン」だったので、すごく冷静に見られたんです。

このエンブレムを手がけた、アートディレクターの佐野研二郎さんが会見で「1964年の東京大会のエンブレムを継承しながら新しいものを作りたかった」とおっしゃっていたのが印象的でした。
業界内では、1964年のオリンピックのエンブレムは、究極のシンプル。あれを超えるデザインは生まれないだろうと言われています。
当時の日本は、「最先端の日本の姿を見せたい!」という想いを、オリンピックに集結させたそうです。エンブレムもそうですし、ポスターひとつにしても素晴らしいものが生まれました。
東京オリンピックが、日本のグラフィックデザインの幕開けと言われるほど、重要な出来事になっているんです。

だから、この言葉を聞いて、佐野さんが重きを置いたのは、1964年が持つ「普遍性」を継承することだったのかなと納得したんです。
瞬発力こそないかもしれませんが、10年、20年、50年と経った時に、次の世代のデザイナーたちが「あれってやっぱすごいよね」と振り返って評価できるデザインなんだと思いますし、実際にそうなってほしいと思っています。

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「グラフィックってすごい!」ってことに気づいてほしい

千原 そもそも、今回はテレビの全チャンネルで会見の様子が放送され、アートディレクターの佐野さんが表に出ていたことに価値があると思っていて。
今、新国立競技場の問題が取り挙げられていますが、いい意味でも悪い意味でも、建築や音楽、映像などは規模が大きく、注目されやすいコンテンツなんです。
ですが、「グラフィックデザイン」はそれらの"パーツ"のひとつに思われがち。実は骨格を作っているのに、骨格の部分すぎて表には見えにくい

104つの作品の中から、佐野研二郎さんのグラフィックが選ばれましたが、勝ち抜いて選ばれるまでのプロセスには、佐野さんは命をかけていると思うんです。
作り上げる過程やアプローチは違うかもしれませんが、新しいアイデアを考えるということにおいては、グラフィックも建築や音楽などと同じ苦しさを味わっています。

平面グラフィックがこれだけ話題を席巻できて注目されるのは、そうそうないと思いますし、デザインを仕事にする私自身も、デザインの可能性を改めて感じました。
今回をきっかけに、少しでも多くの人に「こういう人が作っているんだ」「アートディレクターってこういうことをするんだ」「グラフィックってすごいんだ!」ということが伝わればいいなと思っています。

Interview/Text: 水野綾子

千原徹也

ちはら・てつや/アートディレクター、グラフィックデザイナー。1975年、京都府生まれ。京都でデザインをはじめたあと、2004年に上京。11年にデザインオフィス「株式会社れもんらいふ」を設立。広告、装丁、ファッションブランディング、WEBなどデザインのジャンルは多岐にわたる。 主なアートディレクションは、スターバックスのイベント、Zoff SMART、Zoff CLASSIC、菊地凛子web、きゃりーぱみゅぱみゅの振袖デザインなど。また、近年はラジオパーソナリティ、アーティストのMVやCMの監督など、さらに活動の幅を広げている。

http://qreators.jp/qreator/chiharatetsuya

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